洒落怖
最後の一鳴き

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おいらです。
殊更に、かの人々のことを悪し様に誘導しようとは思ってません。
ですが、当時の記憶を忘れることが出来ない人が居るのも、また事実です。
似たような昔の話を、もう一丁。
結構、昔の話、戦時中の話が多いです。宜しければ。

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満州から引き揚げて、新潟に居を構えたおいらの母方のじいちゃんは、犬を飼いはじめた。
終戦後の混乱はいまだに尾をひいていた。
特に日本海に面している新潟辺りでは、他にも大陸から色んな人々が上陸しており、治安は決して良い方ではなかったという。
家族が住んでいた家の近くにも、それらの人達の集落が出来上がっている。
当然、番犬としての役割もあって飼いはじめたのだ。
雑種の仔犬の名前はピンジと命名された。
当時の写真を見せて貰った。誰が付けた名前か、おいらははっきり聞いてない。
伯母さん、お袋、小母さんの三人で可愛がっていたそうだ。引き揚げて来て、恐らくは始めてのペットと言うか、家族の一員が増えたと、みんなで大切に育てた。

何年か経ったある日、ピンジがいなくなった。じいちゃん含めて家族全員で探して廻った。だが、見つからなかった。
数日して、もう見つからないのかと諦めかけていた、ある日。

33 本当にあった怖い名無し sage 2009/11/18(水) 22:10:53 ID:l4uDzEKo0
お袋達三人の姉妹が歩いていると、畦道の向こうに、誰のものか判らないスコップが
転がっているのを、小母さんが見つけた。
その先に何か載っているのが見えたという。
小母さんは小走りに、何か確かめに行った。

ギャーーーーー!
という小母さんの声が聞こえた。
ピンジーーーー!
スコップの先に載っていたのは、犬の頭。
間違いなくピンジだった。
小母さんが取り落としたスコップから転がり落ちたその首は、きゃんと一言、哀しそうに鳴いたという。
三姉妹は泣きながら、そのスコップでピンジの頭を埋めた。

あいつらは犬を喰う。
人のウチの飼い犬でも平気で盗んで喰う。
じいちゃんは、そういうこともあって、今でもあの国の連中を許さないのだ…と、
後年、お袋から聞いたことがある。

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