洒落怖
死者に会える方法

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786 甥 ◆4wXKovjUIc sage 2008/01/18(金) 16:58:00 ID:tvNSEzDC0
青年がそう思い、女が顎が外れんばかりに損壊した口を大きく開けた瞬間、
凄まじい雷か破裂音の様な音が室内にこだまし、天井が崩壊してきた。女は上を見上げ、
青年はとっさに後方に飛びずさる。崩壊して落下する瓦礫と共に、大量の水が流れてきた。
女は「ギッ」と一言だけ発し、瓦礫と大量の水に埋もれて消えた。
崩壊は、天井の一部だけで済んだ様だった。青年が唖然として立ち尽くしていると、
上から寝巻き姿の若い神父が、驚愕の表情で穴を見下ろしていた。

その後、アパートは、消防・警察・深夜に爆音で叩き起こされた野次馬達、等で大わらわとなっていた。
調べによると、2Fの神父の教会兼自宅の、バスタブと下の床が腐食しており、それが崩壊の原因だと言う。
ただ、確かに腐食はしていたが、今日の様に急に床ごとブチ破る様な腐食では無い、という点に、警察消防も、首を傾げていた。
さらに、神父は月に1度、聖水で入浴していた。その日、バスタブに浸っていたのは聖水だったという。
もちろん、青年は女の事など誰にも話さなかったし、瓦礫の下にも誰もいなかった。ただ、血の混じった泥の様な物が一部見つかったという。

そして、青年は不思議な事に気がついた。部屋の至る所に散りばめていた、
彼女との思い出の写真立てが、全て寝室に集まっていたのだと言う。
まるでベッドを円形に囲む様に。青年は、部屋を覗き込む野次馬の中に、微笑む彼女を見た様な気がした。

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