洒落怖
割り込む着信

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378 本当にあった怖い名無し 2011/09/12(月) 16:43:33.01 ID:45ZQmBLC0
敢えてレス番は書かないけど、このスレの中に俺の経験と似たようなものを見つけたよ。
忍者帖の文字数規制でレスがかさむけどゴメンね。

俺の職場には仲の良い先輩がいた。二人で飯を食いに行ったり飲みに言ったりするような仲だ。
ある時、俺は先輩と連絡先を交換する。仕事帰りにではなく、たまには休日に飲もうという話になったからだ。
先輩が携帯の番号を聞いてくるので、俺がそれを教えると、先輩は俺に電話をかけて直ぐに切る。赤外線で送ればいいのにと俺が言うと、先輩は機械音痴であることを話して笑っていた。
土曜の夜、待ち合わせ場所の神田駅に早めに着いた俺は、先輩に電話する。携帯には通話中の文字が見えていたのだが、先輩を呼んでも応答が無い。電波が悪いと相手の声が聞こえないということが多々ある。俺は連絡を諦めて改札口の前で待つ。
暫くして先輩の姿を見つけた俺は落ち合って終電ギリギリまで一緒に飲んだ。へべれけに酔っ払った俺は駅のホームで寝てしまって終電を逃し、公園で夜を明かすという醜態を晒して翌朝に帰宅することになる。 
アパートに帰った俺は水を飲み、昨日の酒が残る不快さの中すぐに寝てしまった。
。携帯の画面には先輩の名前が表示されている。

380 本当にあった怖い名無し sage 2011/09/12(月) 16:48:55.31 ID:45ZQmBLC0
そして、俺が次に目覚めたのは昼前頃だった。携帯の着信音が俺を起こした要因だ。携帯の画面には先輩の名前が表示されている。
「ああ、先輩、お疲れ様です」
俺は寝ボケと二日酔いの気だるさの中、上擦った声で電話に出る。
しかし先輩は無言だ。携帯の機能のお陰で環境音すら聞こえない。肉声に近い音しか拾わないのだ。確かノイズキャンセラとかいうやつだ。
「どうしたんですか先輩?」
「……ァ…………」
耳を澄ましてやっと聞こえるくらいの擦れた呻き声が電話先から聞こえてくる。俺は何だか気味が悪くなってきて、眠気も酔いも覚めてしまう。
「あ……ああ。あああ。ああ゛ああああ゛あああああrkrrrkrrrrrkr」
その時、電話先から轟音と共に男の濁った絶叫が響く。最後のほうは声になっていなくて、湿気を帯びた含嗽音になっていた。
「rrrrkrrrrrrrrrrrrrrkrrrrrrrrrrrrkr」
喉元で唾液を震わせる耳障りな音に耐えかねて俺は電話を切ってしまう。

382 本当にあった怖い名無し sage 2011/09/12(月) 16:59:49.63 ID:FMqbxXJCO
先輩の身に何が起きているのか。何か、事件に巻き込まれたのか。不安が募る。でも、俺には電話をかけ直す勇気が無く。臆病風に吹かれて、終日身を強張らせていた。
後日、俺は朝早くに出社して先輩を待つ。もし来なかったら、と不安になっていたが先輩はちゃんと来た。俺は安堵に胸を撫で下ろす。
「先輩。心配しましたよ。昨日変な電話がかかってきたから」
しかし俺の言葉に先輩は首を傾げる。
「なんのこと?」
先輩は全く心当たりの無い体を装うが、俺は食い下がる。
「見てくださいよ。ほら、着信履歴に先輩の名前が残っているじゃないですか」
「本当だ、おかしいな。俺はまだ一度もお前に電話をかけていないはずなんだけど」
先輩が嘘を言っているようには見えなかった。でも、履歴が残っている以上、昨日先輩の携帯から電話がかかってきたことは揺るぎのない事実だ。もしかしたら、他の誰かが先輩の携帯を使って俺に悪戯をしたのかもしれない。
ほら、発信履歴にも残っていない。俺の番号を間違えて登録しちゃったんじゃないか?」
 先輩はそう言うが。俺は先輩からかかってきた電話の番号をそのまま登録したのだから、間違いなど起こり得ない。

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