洒落怖
真夜中の厠

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380 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/12/06(火) 17:19:37.25 ID:CODkYoz60
内容までは聞き取れないのは同じだが、水の流れる前は消えいりそうな囁きだったのが、
水の音が消えた後では確かに肉声がちゃんと聞こえる。低く、男か女かも分からないような声。
その声を聞いたとき、俺はまたもやパニックに陥った。
だって、明らかに友人の誰かではない。聞いたことのない声。
かと言って友人でなければ、こんなことをする理由が無い。
こいつ誰なんだ?なんでこんなことする?さっきから何をぼそぼそ言ってる?
突然、声が止んだ。強烈に嫌な予感がして、俺は内鍵を閉めた。
そのとたん、ガツっとノブから音がした。俺が鍵を閉めたから回せなかったのだ。
何度かガンガンとやっていたが、俺はそれを聞きながら、ドアの向こうに居るのは人間じゃないのかもしれないと思い始めた。
その何かはまたぼそぼそと呟きはじめた。またさっきよりも声が大きくなっている。
思い出したようにガンガンとドアを叩いたりもする。

381 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/12/06(火) 17:20:45.78 ID:CODkYoz60
んで俺は突然分かったというかなぜか確信したんだけど、このぼそぼそ呟いている声は、
何か尋常じゃないくらい恐ろしいことを言っていると思った。そして、何が何でも聞いちゃいけないと思った。
正確に言うと、何を言っているか理解してはいけない、と自分が知ってるような感じだった。
根拠は無かったが、不思議に当たり前のように確信した。
例えば、高いところから飛び降りちゃいけないのと同じくらいはっきりと、致命的な結果になることが分かった。
しかしそれが分かったところでどうしようもない。むしろ声はだんだん大きくなってくる。
このままでは、聞きたくなくとも聞いてしまうし、それが日本語なら理解したくなくとも理解してしまう。
いつのまにか俺は泣いていた。大声で友人の名前を呼んだり、助けて助けてとか、ナンマイダとか、
とにかく泣きながら必死になって叫びまくった。自分が叫ぶことで、ドアの向こうからの声を打ち消したいってのもあった。

382 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/12/06(火) 17:22:05.43 ID:CODkYoz60
それにしてもおかしい。深夜にこれだけ大声を出しているのだから、
友人や民宿の人や他の客(いるなら)が起きてきてもいいはずなのに。
そうこうしている間にも声はどんどん大きくなり続けてる。
もう自分で叫び続けていないと、はっきりと何を言っているのか分かってしまうくらい。
この声を聞いてはいけないと、何かとんでもなく恐ろしいことを言ってると、なぜか知ってる自分自身を恨んだ。
俺は叫びながら、鍵だけでは不安なのかこちらのドアノブを必死で押さえつけてたんだけど、
もう駄目だと思った。叫びすぎて喉がやばかった。きっとドアの向こうの声はもっと大きくなっていくだろう。
なんでこんなことにとか、俺はどうなってしまうんだろうって、もう泣いて泣いて何がなんだか分からなくなった。

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