洒落怖
監視する男

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長い3週間が終わりかけの頃、また礼拝の最中にその男を発見した
お堂での並び順は毎日変わるので、友達はその男と一番近い位置で出くわした
やっぱり白衣で、体育座りをしてこっちを見てる
周りのみんなと動きがずれないように気をつけながら、チラチラ盗み見てたら気づいてしまった
その男、首にぼろい縄をぐるぐる巻きにして、こっちを笑いながら見ている
顔も酒やけどころじゃなく、ドス黒く変色してる
目は細くつぶれるほど顔がむくんで膨らみ、口だけは歯を見せて笑ってる
友達は怖くなってただでさえ喉がつぶれてるのに声を張り上げてひたすら礼拝をした
その日のお勤めの最後、礼拝の指揮をとっていた先輩は戒名を読み上げて回向をした
先輩はこの修行中に昔、志半ばで亡くなった僧侶がいることを教えてくれた
修行をしたくてもできない僧侶がいるのだから、お前らも諦めずにがんばれみたいな励ましをした
同級生の中にこの事情に関してよく知ってるやつがいて、そいつが言うには
修行が嫌になってこのお寺で首を吊った人がいたらしい。その人と同期だった僧侶から聞いた話だそうだ

友達は喉の使いすぎで3日くらい血吐いたが、最終的に家の跡継ぎになれた
うちの大学は夏休み長くて超ラッキー、みたいな話してる俺に半ギレで教えてくれた話

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監視する男