洒落怖
夫婦愛

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お義父さんのお見舞いに行った時、もうほとんど寝たきり状態になり
言葉も不自由になった姿を見た私は、涙を堪えるのに必死だった。
あんなにも優しく、強かったお義父さん・・・今の姿からその面影も感じることができなかった。

妻が席を離れた時、ふとお義父さんがTVを指差していることに気づいた。
TVが見たいのだろうかと思った私はTVの電源をつけようと立ち上がった、しかしふと気づく、お義父さんの目は私を見ていた。
何か言いたいことがあるのだろうか?そこで私は、あのビデオテープに関することじゃないのかと思った
それはある意味直感的なものだったのかもしれない、お義父さんの呂律の回らないしわがれた声がそれを確信に変えてくれた。

しばらくして、お義父さんが亡くなった。お義母さんが亡くなって1年も経過していなかった。
案の定、親戚の間では「お義母さんが連れて行ったんだ」という話になっていた。
そう、妻の親戚の間ではそういう話にしておいたほうがいいのだ。これ以上、あのお義父さん夫婦の間を汚してはならないのだ。
だから、あの病室でお義父さんが何故か私だけに言ったあの言葉は私の心の中だけにしまっておこうと誓って、もう10年以上が経過した。

「あれは、ばあさんじゃない」

もうほとんど、あのビデオは話題に上がらない。

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