洒落怖
死界の扉を開けるお祈り

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「死界の扉を開けるお祈り」をご存知か

夜中の2時にテーブルに鏡を立てて置く。その左右にろうそくを1本ずつ、火を灯す。
杯を二つ用意、鏡の左には水、右には酒。
鏡の前には自宅の西から拾った小石を2個、東から拾った小石を2個置く。
そして自分の顔が鏡の中心に映るように座る。
両手を胸の前に組み、目を閉じ以下のセットを14回唱える。
呼び出したい亡くなった人の名前・その人が亡くなった年月日・そして自分の名前・今お祈りをしている住所(自宅)。

そうして目をあけると鏡にその亡くなった人が現われるという。
呼び出したい人は、本人と縁(ゆかり)がなければダメらしい。

このお祈りと言うか儀式みたいなものは学生時代、仲のいい友人から教えてもらった。
その友人に
「おまえ、やったことあるの?」と聞くと
「いや、ないよ。だって怖くないか?いくら会いたい人でも夜中に鏡の中に死人が出てきたら怖すぎだろ?」と返ってきた。
確かに、死んだばーちゃんや叔父さんに会いたい気持ちもあるが本当に出てきたら不気味すぎる。
俺もこのお祈りたるもの実際にやることはなかった。

486 死界の扉を開けるお祈り② sage 2011/02/23(水) 23:56:21.58 ID:KuBAKkkU0
それから数年後、俺はある会社の商品開発の部署で忙しい日々を送っていた。
俺の入社以来の最大のプロジェクトを進行させていたときのこと。
提携先の担当者と慰労を兼ねて二人で飲みに行くことになった。
その担当者(Aさん)は俺より2才上のほぼ同世代。毎日、電話やミーティングをしていたがこうして外で会うのは初めてなのでとても楽しみだった。
1件目の居酒屋では仕事の話ばかりだったが、2件目のバーでは酒も結構入り、次第に打ち解けた趣味の話しやプライベートの話に展開していった。

「ところでAさん、結婚の予定はないんですか?」
「ん?・・・ないよ、彼女もいないしさ(笑)」
「えー本当ですか?もてるでしょ?一人にとどまらず遊びまくるって感じなんすか?」
俺はお世辞も込めてそう言うと、Aさんはしばらくの沈黙のあと神妙な顔で
「実はもの凄く好きな女がいたんだけどさ」
「ふん ふん」
「3年前に死んじゃったんだよね」
「えー!事故かご病気でですか?」
「・・・いや、自殺だよ。」
「・・・」
「それ以来、彼女つくる気もしなくてね。」
「すみません。変なこと聞いちゃいまして。」
「いや、いいんだよ。いつもでも引きづってちゃいけないとは自分でも思ってるんだけどね」
俺はカウンターの並びの席で正面を見据えるAさんの横顔を見つめながらあのお祈りのことが数年ぶりに記憶に蘇った。
「Aさん、その彼女に会いたいですか。」
「は?そりゃあ会えるんだったら今でも会いたいさ・・・何?会わせてくれるの?恐山のいたこか何かか?」Aさんは怒りの混じったような顔で俺のほうを向いた。
「いや、これ大学のとき友達から聞いた話なんですけど・・・」
俺はAさんに死者と会えるというお祈りの方法を冗談ぽく教えた。
Aさんはその話を聞いて笑いとばすものだろうと思っていた俺はメモをとりはじめたAさんを見て少し寒気がした。

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