洒落怖
猫を追って

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ちょっと書かせてもらう。怖かったんだ。ほんとに怖かったんだ。

20数年生きてて心霊現象なんてついぞお目にかかったことがなくてさ。
怖い話は好きだけど、そんなの実際にはありえないって否定派だった。
今は、肯定する気もないけど否定もできない。もうわかんね。

親戚んち行く時に通る山道にトンネルがあるんだ。
いつもは車で行くし、その日も車で行った。でさ、そのトンネル、いろんな噂があるんだよ。
色んなつってもまぁ、首なしライダーとかパタパタさんとか都市伝説系。
口裂け女が流行ったのと同時期に誰かが流したウワサなんだろうね。
そんなくだらない噂でも、やっぱり聞いた後で丑三つ時に通るのは怖いけど。

それでもその日は夜じゃなかったから怖い思いもせず平気でトンネルを通過しようとしたんだ。
そしたらさ、トンネルの入り口に猫がいるの。普通のノラ猫。
あのさ、猫、大好きなの俺。
写メ取らなきゃ!って端っこに車停車させて降りた。やめときゃよかった……。

443 2 sage 2010/03/31(水) 13:56:02 ID:GXMMaHhy0
携帯カメラを猫に向けて写メろうとするんだけど、近づくと逃げてく。当然トンネルの中へ。
ダーッって走ってじゃなく、トットットって。そんでこっち振り向いてまた停止。
まぁ、微妙な距離の取り方も猫ならよくあることだ。
その様が可愛いから、カメラ向けながら俺もまた追うわけよ。タッタッタって。

トットット。 

タッタッタ。

トトトトト。

タタタタタ。
タッタッタ。

あれ…?足音、ひとつ多くないか…?って思ったのと携帯の液晶に不審なものが映ったのは同時だった。
映ったっても目の前の光景じゃなく、トンネル内暗いからさ、液晶に反射して俺の背後が映り込んだわけ。
居たんだよ。女の子っぽいのが。
心拍数跳ね上がったけど気付かないふりして「にゃんこたんにゃんこたん待てよーwにゃんにゃんにゃん」とか言いながら猫を追った。
女の子っぽいものもずっと猫と俺を追ってきてた、と思う。
あの時程トンネルがこんなに長いなんて思ったことはないなぁ。

そんでたどりついた出口。良かった、何事も無かった。さて、車はトンネルの向こう側なわけだがどうしよう。
もうトンネルなんか通りたくない。こっからは歩けない距離でもないしひとまず歩いて親戚んち行こう。
そんで奴の車で一緒に俺の車取りに来よう、なんてもうすっかり安心してた。
なんで、トンネルを出ただけで安心しちゃったんだろ。

444 3 終わり sage 2010/03/31(水) 13:57:00 ID:GXMMaHhy0
歩きだした俺は十数メートル先を見てまた心拍数上がった。
いたよ……。道の端っこ。行動範囲トンネルだけじゃないのかよ……。
今度は姿かたちも視認できる。多少ボヤけてたけど小学校高学年くらいの女の子だった。
躊躇したけど行くも地獄戻るも地獄なら、行くしかなかろ?腹決めて歩き出した。
まぁ、開けた道路よりトンネルで遭遇した方が怖いからなるべく心臓にやさしい方選んだだけなんだけど。
っつうか、あの時は怖すぎるから考えないようにしてたけど、どう見ても俺を追ってきてるよね。

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