この怖い話は約 3 分で読めます。
いつもならCMくらいでビビッたりしないのに、この時ばかりは本気でビビってしまった。
「せっかく恐怖感がなくなっていたのに…」
と、思いながら再び蘇った感情を消すために再びテレビに没頭するも、
蘇った感情はなかなか消えてはくれなかった。時間だけが過ぎていく……。
――コツン、コツン……コツ……
何かが窓に当たる音がした気がした。
風か何か…小石でも飛んできたんだろう。と、訳のわからない事を自分に言い聞かせる。
風がコツコツ言うわけもないし、真夜中に9階まで小石が飛ぶわけもない。
でもこのときはこう思うしかなかったんだ。そうしないと怖かったんだ。
3、4回鳴ると音はいったん止んで一安心…と、思った時だった。
101 本当にあった怖い名無し sage 2010/02/24(水) 06:55:39 ID:oN6VsXL10
4/5
コツ、コツ…トントン、トントン……ドンドン…
何かが窓を叩く音がどんどん強くなってる…!!
“これは怖い!これは怖い!!”
そう思ってテレビを消した。部屋の電気はつけっぱなしだった。
布団をかぶって、若干震えながらも羊を数え自分を無理矢理寝かしつけた。
「起きなさい!あと30分したら、バイキング行くよ!」
ハッと目が覚めた時は既に朝だった。なかなか起きない僕たち姉妹を
母が起こしにきたのだった。
「ちゃんと着替えて、荷物まとめて、カーテン開けて、ゴミは捨てて
部屋を綺麗にしてから来るのよ。遅れると置いて行くよ。」
と、言うと母は部屋から出ていった。
目が覚めると夕べの出来事なんて綺麗さっぱり忘れていた。
ただ、あーっねむ。まだ寝てたいなぁ~…と、ぼんやりしながら身体を起こす。
妹は寝つきもいいが寝起きもいい。
サッと起きるとササッと身支度を始め、部屋を出る準備をする。
遅れまいとダルイ身体を起こし、フラフラしながらカーテンを開けた。
102 本当にあった怖い名無し sage 2010/02/24(水) 07:02:23 ID:oN6VsXL10
5/5
見なければよかった。
本気で思った。
寝ぼけた頭が一瞬にして冷める光景だった。
窓には無数の手跡が残っていた。それも、内側ではなく外側の窓に……
このホテルにはベランダがない。ベランダどころか、足場がない。
それに窓は押すタイプというのか…45度くらいしか開かない窓で
とてもじゃないが人がそこから出ていくのは無理だった。
それだけじゃない。その手跡は何故か小さいものだった。
中学生にしては小柄の僕の手も結構小さいものだったが、それ以上に小さい。
まるで、幼稚園児か小学校低学年の子の手くらいの大きさで…
でも何故か指紋がついてない。手跡はついてるのに指紋がついてない。
どう考えても説明のしようがない出来事に、血の気がひいて寒くなった。
今思い返しても、寒いのだが…それでも幽霊は信じない。いや、信じたくない…。