洒落怖
黒い糸

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そこからはもうパニックだった。見回りの警備員さんの巡回を待たずに外に飛び出して、情けない話だが泣きながら
真っ暗な学校中を走り回って探した。だだっ広い敷地内で、その上巡回ルートを知らない俺はついに警備員さんと
めぐり合うことはなく気が付いた時には他学部の棟の入り口でガタガタ震えていた。
既に夜は明け始め、光に気が付いたセミがわんわん鳴きだしていた。
どうしても実習室に入れないでいた俺は、助手のおねえさんが来るのを待ち、とりあえず説明はおいておいて
(信じてもらえるはずもないだろうし)中を見てもらった。
特に異常はないよ、と言われて恐る恐る機を見ると、確かにそこには見慣れた作品が、異常なく架かっていた。
が、俺の手のひらは相変わらずズキズキと痛いし、あの毛も相変わらず半透明な皮の下に食い込んでいる。

468 3/3 sage New! 2009/08/07(金) 08:54:47 ID:oF9h2Cnd0
彼女にあんまりカッコ悪いところも見せたくなかったので、手のことは隠した。
(当時ちょっと好きだったのだ)
その足で下宿へ帰って、自分で皮を切り、毛抜きで毛を引っ張り出した。
両手のひらから出てた毛は合計30㎝ほどにもなり、普通に捨てるのも怖かった俺は、近くの大きな用水路に
そいつを焼いて流した。あとは野となれ山となれだった。
別にその後は何もなかったし、手の傷もしばらくして治った。

何が一番嫌だったって、歳のはなれた弟が、似たような目に遭っていたのが一番効いた。
弟も俺も霊感はない。というかアンチ心霊派(しかしオカルトは好き)なのだ。
今会社でミリナリー(帽子とか頭につける服飾品全般)を担当してるから嫌でも思い出す、
俺の大学時代の黒歴史的な思い出です。
長々とすまん。

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