山の怖い話
一人旅

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22時前、僕はコンビニから帰って来た。
真っ暗な駐車場に折りたたみの椅子を広げ、とりあえず飯を食った。
他の客は居ないようだった。
「酒を飲む前に挨拶に行っておかないと、後で面倒になった時に車を動かせないしな。」と、考え 懐中電灯を片手にキャンプ場の散策に出かけて行った。
舗装のされていない。真っ暗な木々の間を歩いて行く道のりだ。

212 本当にあった怖い名無し New! 2012/01/29(日) 23:50:35.39 ID:i950x+u10
小さい、車内用の懐中電灯しか僕には無かった。
そんなに遠くまでは見えない、細い懐中電灯を持ち、僕は真っ暗の公園内を10分程歩いていただろう。
管理部屋、管理小屋、管理棟、そう言った類いの物は見つからないのだ。灯りも無く、あるようにも思えない。
いや、そもそも、駐車場には僕の車しか停まっていない。
きっと、もう帰ってしまったんだろう。と、思った。
大体、あの人が管理職員だと言う確証はないのだ。
歩く音と、虫の鳴く声と、川の流れる音だけが聞こえていた。生活音は無かった。
しかし、諦める前に「探す努力をした」と言う形だけは残さねばらない。
多少大きな声で「すいませーん!誰かいますか??!」と遠くに言ってみたが、やはり返事はなかった。
返事がない事に安心した僕は、駐車場に帰って、ビールを飲む事にした。

来た道を歩いて帰って行く。
公園のトイレの横を通り、駐車場のアスファルトに出た。
心細かったライトも、光を木々に邪魔されない事で、明るくなったかのようだった。
公園トイレから、車まで大体30mくらいだったと思う。
僕は歩いて行き、車横に出してある椅子に腰掛けようとして、反転した。

215 本当にあった怖い名無し New! 2012/01/29(日) 23:59:19.49 ID:i950x+u10
体が反転し、同時にライトが、スーーーーッと僕が今まで歩いて来た道を照らして行った。

ついさっき僕が歩いて来た、トイレ横の砂利道に、
帽子を被って、タオルを首に巻き、軍手を二枚重ねていた、「昼間のオジさん」が、両眼でじっとこちらを見ていたのだ。
橋ですれ違った、同じ「昼間のオジさん」が何も言わず、音も立てず、ただこちらを観察していた。
そっから先は、ただひたすら逃げる事だけを考えて、
ホントに家まで逃げ帰って来た。
一晩中高速で走って、実家に着いたのは朝方だったと思う。

後で写真を見てみたら、最初の神社で撮った写真がどうしても気になった。
一枚だけ、森の奥からジーーッとこっちを見てる人が映り込んでた。
長い話で、オチも無いけど、聞いてくれてありがと。

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