後味の悪い話
スノードーム

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721 : 本当にあった怖い名無し : 2012/04/21(土) 22:59:31.91 ID:oxk+Ze6N0
BはPに恋をしていた。
しかしどうしても振り向かないPと自分の醜さに失望し、無理やり自分のものにしてしまおうと考えるまでになった。
Bは自らの発明品を用いて、Pを顕微鏡を使わないと見えないくらいに小さくし、作品であるスノードームに閉じ込めてしまう。
鍵の掛かった研究室にPの入ったドームを置き、時間を見つけては彼女を踊らせそれを眺めるB。
食事や生活用品を小さくしてはドームの天井に開けた扉から送り込み、廃棄物を取りだし、Pを飼うように生かしていた。
しかしPは日に日に衰弱し、このままでは死んでしまうとBは焦り始める。
体を元の大きさに戻そうとするが、どうしてもそのための装置が作れない。
歪んではいるもののPに深い愛情を抱いていたBは、結局Aの父までも小さくし、Pと再会させる。
理不尽な仕打ちに始めこそ憤慨する二人であったが、時間を掛けてその生活に慣れ、子を儲けるにいたる。
Pの腹が膨らみ始めたことに気がついたBは激しく嫉妬し、咄嗟にドームを割ろうとするが、Aの存在により思いとどまる。
やがて生まれる赤ん坊を見て、Bはその無垢な姿に感動する。

722 : 本当にあった怖い名無し : 2012/04/21(土) 23:01:14.61 ID:oxk+Ze6N0
生まれた子供は自分達の境遇を教えられず、また外の世界があまりにも大きいため認識もできず、
生きるとはこういうことだと思ったまますくすくと成長する。
Bは純粋なその子を我が子のように想い、様々な服やおもちゃを与え可愛がる。
PやAの父に対する嫉妬や憎しみもいつしかなくなり、Bは三人を温かく見守るようになっていた。
何も知らないAと、閉じ込められたままの三人。自分にも家族ができたと幸せを感じるBだったが、それでも良心は痛み、
とうとう事故で死ぬまで何年間も、三人を元に戻すため成果のでない研究を続けていた。
日記には、A達に対する愛情や罪悪感、そしてどうか許してほしいと願う気持ちがつらつらと書かれていた。

真実を知り愕然とするA。確かに芽生えていたBに対する愛情は消え、Bの願いとは裏腹にどうしようもない憎しみを抱く。
そのまま大学へ進学したAは、ひたすら勉学に励み、科学者となり、奪われた家族を取り戻すため研究に打ち込む。
だが一向に結果が得られないまま、ドームの中の父とPは年老いていく。

723 : 長くなったごめん : 2012/04/21(土) 23:04:54.12 ID:oxk+Ze6N0
Aの手紙は、こう締めくくられていた。
自分は失われた家族との時間を少しでも取り戻しにいく。
Yは優秀な科学者であるし、信用のおける人物だと思う。どうか自分達を生かし、研究を引き継いでほしい、と。

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