洒落怖

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18 名前: 6 2006/08/02(水) 15:52:13 ID:9ulvH9Vv0
「あれ?」
さっきコンビニの袋に捨て、しっかりと口を結んで処理したはずなのに、
蝉の死骸がまた転がっているのです。
酒も飲んでいなければ、薬とかそういう危ないことにも無縁ですし、
精神的にもいたって健全な生活を送っています。
なんだか気味が悪いことが続いていて、若干気分が悪くなってきた僕は、
先ほどのコンビニの袋の中を確認しようとも思いつかず、
再びティッシュに包んで、本屋でもらった小さな紙袋に入れ、その紙袋もクシャクシャに丸めました。

20 名前: 6 2006/08/02(水) 15:53:22 ID:9ulvH9Vv0
携帯電話で友人に電話し、今の出来事を聞いてもらうことにします。
「マジで怖かったよ…」
そう話す僕に友人はこう言いました。
「怖い話なんか読んでるから呼び寄せたんじゃないの?」
僕は彼に「変質者に会った」という内容で話しているつもりだったのに、
彼は、僕が「霊に会った」と話しているんだと思っていたのです。
僕ははっとしました。そんなことは思いつきもしなかったからです。
そういえばコピペがおかしかったり、勝手にPCが落ちたり、
変な女がいたり、入ってこれないはずの蝉の死骸が2つも転がっていたり…。

21 名前: 6 2006/08/02(水) 15:53:57 ID:9ulvH9Vv0
それでも確信が持てる現象が起こってないことから「まさか」と思った僕は、
一階にいる両親に変質者のことだけを熱く訴え、寝ることにしました。
両親は「次見たらすぐに警察に連絡しろ」とだけ助言してくれ、
結局今回は通報しないことになりました。
布団に寝転がり、白いクロスの貼られた天井を見ていると、
ディスプレイに映り込んだベランダの女の姿がボンヤリと網膜に浮かび上がってきます。
変質者だったのか、幽霊だったのか、それとも幻覚か…。

22 名前: 6 2006/08/02(水) 15:54:33 ID:9ulvH9Vv0
それから数日経った三日前の日曜日のことです。
あれから何事も無く普段と同じ毎日が続いていました。
自転車で近くのコンビニへと買い物に行くことにしたのです。
曇ってはいたものの、薄い雲の向こうからジリジリと光る太陽は、
ムンムンとした熱を発していました。蝉がジーーーーーーーーと鳴いています。
最近では、蝉の鳴き声が苦手になっていました。
緩やかな坂の上にある僕の家から、自転車で坂の下にあるコンビニへ向かいました。
コンビニでジュースやお茶を買い込むと、重い袋を自転車のカゴへ入れ、来た道を帰ります。
何年も自転車で通っている道ですが、帰りの上りはいつも少し気が滅入ります。

23 名前: 6 2006/08/02(水) 15:56:23 ID:9ulvH9Vv0
ようやく坂の中腹まで帰ってきた僕は、なんとなくこちらへ向かって歩いてくる女性を見ました。
ああああっ!
あの女性です。間違いない。ダッフルコート着ていますから。
どうしよう、どうしよう!!!
逃げるか、引き返すか、それとも何もなかったように通り過ぎるか、頭が高速で回転します。
しかし答えが出ないまま、女と近づき、
曲がる道もなければ、折り返すにも不自然な距離になりました。
やばい、やばい、やばい、やばい。
そう思いながらも、女の顔を見てしまいました。
血だらけ…とか、そういうことはなく、普通の女。
美しくもなければ、不細工というわけでもない。笑ってもいなければ怒ってもいない。
ただ、左眉の辺りに2ミリほどの黒子があるのだけが印象的でした。

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