洒落怖
りゅうちゃん

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140 4 sage New! 2013/05/22(水) 19:36:47.38 ID:d+BJCgc10
幼稚園へ通い始めても、小学校へ上がってからも、私はほぼ毎日りゅうちゃんと遊んだ。
りゅうちゃんが同じ小学校に居るのかどうか、疑問は感じていたがあまり気にしていなかった。
私が8歳になるかならないかくらいだったと思う。
8歳になる(もしくはなった)と言ってはしゃぐ私にりゅうちゃんは、黄色い果物のような物をくれた。
私たちはその果物を池で洗い、二人で仲良く食べた。
なんだかちょっと酸っぱくて美味しくなかった記憶がある。私は家に帰った後、夕食中両親にその事を自慢げに話した。
先のお池転落以来、池に近づくと怒られると思ったのでもちろん池で洗った果物である事は伏せた。
両親も最初はにこにこと話を聞いてくれていたが、私が余ったその果物を食卓に持ってきた途端、両親の、特に父の顔色が真っ青になった。
まず、その果物はドロドロに腐ってしまっていた。昼間あんなにみずみずしかった果物がゼリー状になっていたのだ。
父が果物を睨みつけながら強い口調で私に問いただした。
池で洗ったとゲロった私を父は抱きかかえ、もつれる足を何とか交互に動かし祖父の部屋へ滑り込む。

私が~~様に魅入られた(何て言ってたかわからないw)
キヌ(?)を喰うてしまってるようだ と父が叫ぶと祖父は目を見開き、放心といった様子で私を見つめていた。

141 最後 sage New! 2013/05/22(水) 19:39:00.83 ID:d+BJCgc10
神社の近くで農家をしているおじさんが家に飛び込んできて玄関で何やら騒いでいた。慌てている様子だった。
母が対応し、すぐに父と祖父が玄関へむかった。
何やら訳が分からない喧騒の中、ふと縁側に目をやるとりゅうちゃんが立っていた。いつも通りの奇麗な顔。
だが一点、いつもと違う背丈ほど長くて白い髪の毛。
必ず迎えに行くから待っててくれ。りゅうちゃんが私にそう言うのでうんと返す。
それはいつ?言葉になるかならないかくらいのタイミングで私の視界は急に奪われた。
祖父が麻布のような物で私の全身を覆ったのだ。
私はそのまま祖父に抱きかかえられ、どこかに連れて行かれ(恐らく本殿)生ぬるい酒のような液体を麻布の上かけられて車に乗せられ、そのまま町を出て行った。
しばらくゴトゴトと揺られていると車は緩やかに止まった。布の口が解かれ、父と母が不安そうな顔で私を見ていた。
何がなんだかわからない私に母は、もう二度と家には帰れない事。
父、祖父と離れ、母方の祖父母の家で母と暮らす事を告げられた。
わかったと素直に返事した私を両親は呆けた顔で見ていたが、私は大して気に留めなかった。
父や祖父と離れるのは寂しいが、会いたいと言えばむこうから来てくれる。
なにより、りゅうちゃんが迎えに行くと言ったのだから待っていればいい。そんな心境で私は古都の住民になった。
色んな物が「見える」ようになったのもその辺りからだと思っている。
いや、単にそれまでは限られた範囲の中でしか生活していなかったのもあって、たまたま遭遇してこなかっただけかも知れない。
でも私はりゅうちゃんがくれたあの果物のせいだと、今でも思っている。

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