洒落怖
しるし

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数年程前、親戚の家からの帰路での出来事でした。
親戚の家に行くには、曲がりくねった峠道を通らねばならず、帰り道も当然そこを通る事になります。
私は車の運転が苦手で、カーブの多いその道は怖いので、なるべくゆっくり運転するようにしていました。
私も自分の運転が遅いのはよくわかっているので、後ろに車がついてしまったときは、いつもキリのいいところで道を譲っていたんです。
その日も、遅い私の車に詰まってしまった後続車がいました。
いつもならしばらく走って、よせられそうな場所があれば道を譲るところですが、その車は私の車にピッタリつけて煽ってくるのです。
ちょっと派手目のスポーツカーで、いかにも飛ばしそうな感じの車です。
私はちょっとでもブレーキを踏むと追突されてしまうのではないかと思い、スピードをあげました。
車間距離をあけてくれれば譲ってあげられるのに、私がスピードをあげるとその車もスピードをあげてまたピッタリついてきました。
私は慣れないスピードが怖くなり、ほんのちょっとずつスピードを落としていきました。
さすがに相手も追突はしたくないでしょう。
後続車はそんな私の運転に腹をたてたのか、結構角度のある急カーブで私の車を抜き去ろうと、アクセル全開で対向車線に飛び出していきました。
その瞬間、カーブの向こう側、対向車線にトラックが見えました。

704 名前: 本当にあった怖い名無し 2006/08/07(月) 10:48:06 ID:z7kHq0GZ0
「あぶない・・・・!!」そう思った瞬間、スポーツカーはスピンして助手席側からトラックの正面に突っ込んでしまいました。
私はすぐに車を停めて衝突してしまった車に駆け寄りました。
スポーツカーが半分トラックの下にもぐりこんでしまうような形になっていました。
トラックの運転手はハンドルに突っ伏して頭から血を流し動きません。
スポーツカーの運転手も頭から出血していましたが、意識はあるようでした。
スポーツカーを運転していたのは女性で、女性があんな運転をするのかとちょっと驚いてしまいました。
私は「すぐに救急車を呼びますからね!」と叫んで携帯電話を取り出しました。
しかし峠道は電波が悪く、私は電波を求めてそこら中を走り回りました。
事故現場から少しはなれた場所で携帯にやっと1本アンテナが立ち、私は119番通報しました。
事故現場の場所や被害者の容態などの質問に答えながら、衝突してしまった車に目をやっていると・・・、なんと車から出火しているではありませんか!
私は運転手を救出しようと慌てて現場に走りました。
トラックは窓が割れていたので、そこから運転手を乱暴に引きずりおろしました。
トラックの運転手を安全な場所まで引きずっている途中、火に気づいたスポーツカーの女性が泣きわめいていました。
私はすぐにスポーツカーに駆け寄り、女性を救出しようとしましたが、女性は潰れた運転席に挟まれるような形になっていて、なかなか車から助け出す事が出来ません。
女性は「助けてー!助けてー!」とすごい形相で悲鳴をあげていました。
「大丈夫!助けるから・・・!」と言ったものの火はどんどん大きくなっていきます。
このままだと爆発してしまうんじゃないだろうか・・・?そんな不安と闘いながら、なんとか女性を救出しようとしましたが、ボンッ!という鈍い音とともに女性は一気に火に包まれました。

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