洒落怖
玉虫の呪い

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友達は嬉々として戸惑いもなく中身を取り出した。
俺は少しこいつが怖くなってきた。

玉虫の羽がびっしりくっ付けられた箱は、夜に夢で見たものより劣化していたようだったが、電車の中で見た夢よりも綺麗だった。

俺はつい感動してしまった。

「中に何が入ってるんだ」と好奇心に駆られて聞くと、友達はキョトンとして言った。

「これはお墓だよ」と。

14 本当にあった怖い名無し 2014/02/22(土) 15:03:51.93 ID:zFSmEEeXi
やっぱり不気味になって、開けたくないと俺が言うと、そいつはゲラゲラ笑って躊躇なく開けようとした。
でも開かない。
しっかりアロンアルファか何かで止められているようだ。
そして不思議と箱を傾けたり何だりとしているのに、中から音はしなかった。
いよいよ不気味になってきたので本気でやめさせようとした。
しかしそいつは躍起になっているようで、聞いてくれない。

15 本当にあった怖い名無し 2014/02/22(土) 15:06:02.60 ID:zFSmEEeXi
だんだん玉虫の羽が削げ落ちていって、電車の中で見た箱とだんだん似てきて。

俺は恐ろしくなって、そいつから箱を奪って逃げだした。

どこをどう走ったのかわからないけれど、いつの間にか俺は病院のベットにいた。
車に跳ねられたらしい。
俺がいきなり車道に飛び出してきて牽いてしまったらしい。
幸い軽い脳震盪で何ともなかった。
そのときに箱の行方を聞いてみたが、知らないと言われた。
病院を出て、事故現場に案内してもらって探したが、無かった。

16 本当にあった怖い名無し 2014/02/22(土) 15:08:42.07 ID:zFSmEEeXi
だが事故現場の真ん前は、森のようになっていて、昔玉虫を取りにいったところだった。
夏だったせいもあって、蝉の声もして昔にタイムスリップしたような感覚だった。
俺は玉虫たちは自分たちのもといた場所に戻ったのだと信じることにした。
その日から玉虫の夢は見ていない。

そして友達はその日からまた玉虫の厨子を作っているらしい。
あの天袋にあった玉虫の厨子の美しさが忘れられないらしい。

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