洒落怖
ざわつき声

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そこにはスーツ姿の男が1人立っていた。
ただ、厳密には「立っていた」というのとは少し状態が違う。
まるで水面から上半身だけを出しているかのように、床から人の上半身が生えているような状態だ、それだけ
でもかなり異様な状況なのだが、そのスーツ姿の男は眼球を上下左右に激しく動かし、口もまるで早口言葉
を喋っているかのように激しく動いている。
そして、その口から例の大勢の人のざわめき声が聞こえてきていた。
俺はあまりの事に体が動かせず、訳も解らずそのスーツ姿の男を凝視していると、暗がりに目が慣れてきて
もう一つ異様なものをみつけた。

13 4/5 sage New! 2013/11/02(土) 20:53:20.90 ID:W3ujJ8R60
>>12の続き

サトウさんだ。
サトウさんが床から顔だけを出し、めいっぱい目を見開いて天井を見つめ、まるで魚のようにゆっくりと口を
パクパクさせている。それをみた時、なぜか直感的に「あれは何かとてつもなくヤバイものだ」と感じた。
俺は完全に思考が停止してしまい、わけも解らないまま着の身着のままで携帯と財布だけを持って部屋から
逃げ出した。
その夜はひとまずマンガ喫茶で夜を明かすと、朝一番で不動産屋へと向かった。
あんな場所にはもう住んでいられないので、引越し手続きをするためだ。

不動産屋につくと、担当の人を出してもらいすぐに引越しの話を切り出したのだが、突然の事にしても
やけに担当の人の様子がおかしい、なぜかどうしても引越しをさせたくないように見える。
不信に思ってしつこく追求してみると、どうも俺はサトウさんの死に関係があるのではと疑われて
いるらしい、だから安易な引越しはさせれないようだった。
言われてみれば当たり前の事だ。
サトウさんと最後に会っていたのは俺だし何より「騒音トラブル」もあった、朝の出来事も俺がそう言っている
だけで客観的な証明など何一つない、何よりサトウさんの死因はまだ不明のままだ、俺が殺したと
疑われても仕方が無い状況だ。
そこに来ていきなり俺が引越しをしたいと言って来れば、不動産屋としても当然疑うだろうし、当然不動産屋だ
けではなく警察も疑っているだろう。

かと言って、あの部屋に戻るのだけは絶対にいやだ、あんな得体の知れない不気味な物が現れた場所で
また過ごすなどありえない。
そもそもあのスーツ姿の男がサトウさんの死に何らかの形で関わっているのは明白だ、もしかしたら次の
ターゲットは自分かもしれない。
そんな事情が事情だけに、俺としても絶対あの場所に戻るのはいやだ、そこで信じてもらえるかどうかは解らないが、
今までの経緯や昨晩の事を正直に不動産屋に話した。すると、不動産屋はこの話を信じたのかどうなのか
解らなかったが、とりあえず自分の裁量ではどうにも判断できないので、警察と相談してほしいと言って来た。

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  • 鎖紅夜 より:

    ゆっくり怪異譚シリーズで木村(元の話のサトウさん)は一命をとりとめ
    主人公に相当する早苗も助かりますが
    この怪異は悪意で襲っているようではありますが
    いったい何がしたかったのでしょう?

  • ざわつき声
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