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『その医者達も自責の念はあったみたいでね、最後はその医療ミスを認めたんだ。』
2階のとある病室の扉の前で立ち止まる。
『最後は?』
『そう、最後。集団自殺の集団遺書という形でね。』
きっとそのドアの中がその現場だという事を悟ったのだろう。
暗くてあまり見えないが友人達は恐怖に顔を引きつらせている。
弟は入り口付近からすでに泣いている。
『ただね、』
『どうもおかしいんだ、その遺書。』
『少女の声が聞こえていたのなら遺書にはそう書く筈じゃない?でも』
そう言い掛けて扉を開ける。
『書かれていたのは彼等が呼んでる、彼等がついて来てる、彼等がすぐ後ろにいる。そんな事ばかりだった。』
435 :呼ぶ声 4/5 ◆lEMchm76dQ @\(^o^)/:2014/06/23(月) 19:52:10.28 ID:UE7okzaK0.net
部屋一面に広がる焼けた後。
焼身自殺を想像してなかったのか皆いっせいに黙って息を呑む音が聞こえた。
まぁ殆どが俺が事前に考えた嘘なんだがな。
『そんな事がこの病院で・・・。』
友人がまんまと引っかかって声を震わせて喋ってる。
素直な友人がいると人生が楽しいよなぁとか考えてると
ヒタッ
ヒタッ
と遠くで足音が聞こえてきた。
管理人かなにかいるのか?と思っていたが
急に弟が大声で叫びだした。
『来たよおにぃ! 逃げよう!』
なにが?とか思ってたが、とにかくすごい剣幕だったので皆一斉に出口に向かって走り出した。
だが一階に降りた所でそれは起きた。
「赤ん坊」の泣き声がすぐ後ろの階段の上で聞こえた。
というかすぐ耳元で聞こえた気がした。
その声を聞いた友人2人は手が付けられないほどパニックになり、我先にと入り口まで駆け出した。
その途中で一人が転んだ。
436 :呼ぶ声 5/5 ◆lEMchm76dQ @\(^o^)/:2014/06/23(月) 19:53:29.90 ID:UE7okzaK0.net
病院の表に出てからはそれぞれの自転車に乗りペダルを漕げるだけ漕いで全力で逃げた。
だがある程度離れて安心したのか、転んだ友人が泣きだした。
そんなにビビッてたのか、と笑いながら近づくと見事なまで腕が曲がっちゃいけない方向に曲がってたのである。
あれには流石に俺もビビッた。
友人の搬送先にまで迎えに来た父親が、友人2人の両親に土下座してる時こっそり弟に聞いたのだが、
あの赤ん坊は入り口に入った付近で既に友人の背中に張り付いてたらしい。
その子を探して母親が来てた、との事だが俺が聞いた足音は知らないという。
あれは一体なんだったのだろうか。
この後に来る親父の恐怖から逃げるためどうでもいい事を必死に考えてた気がする。
結局俺は親父に殴られ友人には絶交を言い渡され後悔しか残らない最悪の夏休みになったのだった。