子どものころの怖い話
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普段温厚なNらしくない命令口調だったので、俺は不思議に思ったが、

慌ててNが、
「すまん、手すりには触らんといてくれ、頼むわ。」
と言い直してきたので、
それ以上の事は聞かない事にした。

488 本当にあった怖い名無し 2011/05/08(日) 01:05:57.60 ID:5l2II0K7O
再び階段を昇り始めるのだが、やはり階段の小さな振動には慣れる事はできない。
階段を昇って8、9段目くらいだっただろうか、
階段に足を乗せた途端、
ゴツンッ!!
と、今までと比にならないくらいの大きな振動が俺の足の裏を叩いた。
その振動に思わず仰天して、俺は咄嗟にNに触れるなと言われていた手すりに手をかけてしまった。

あっ…

「おいっ!」

少しの間も無くNが凄い形相でこちらを振り向く。

それとほぼ同時、階段の全ての段が
ドドドドドドドドドドドドドッ!!
と振動した。
全身に鳥肌が立ち、恐怖におののく中、俺は直感した。

大量の何かが、階段の板の裏を踏み鳴らしている。
それも厨房の俺の足が振動で浮く程、かなり強い力で。
涙目の俺は前にいるNの脚にしがみつき、振動が止むことを願った。
振動していた時間がどれだけのものだったかわからない。
あれだけ強く揺れていた階段が急にピタッ。っと止まったのだ。
といっても、俺の方はgkbrしまくってて、とても立てるような状況じゃなかったのだが。
終始立ち続けていたNは、一度深いため息をして、
「降りよう」
と俺に言う。呆気にとられた俺に、
「俺の部屋に入る気なくなったやろ?」
とNが俺を起こしながらそう言う中、俺はただ頷くしかできなかった。
俺がNん家の玄関から出る時、
「階段の事、皆には言わんといてくれんか?」
とNが言ってきたので、俺は絶対に言わない事を約束した。

489 本当にあった怖い名無し 2011/05/08(日) 01:06:40.79 ID:5l2II0K7O
大学に入る辺り、Nは親の都合で東北の方へ引っ越しする事となり。

Nの家族はあの家から離れた。

といっても、Nと俺はまだ繋がりがあり、今でもたまにNの新しい実家の方へ遊びに行ったりする。

新しい実家になってからは、Nもその両親も俺が家に上がる事を歓迎してくれている。

N家に上がる時は、もっぱら小さい頃の話で盛り上がるのだが、

俺は今でもあの階段の事は聞けないままでいる。

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