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中学になってそれとなく母ちゃんに聞いてみた。
俺の使っている机は誰からもらってきたのかと。すると母ちゃんは
少し困ったような顔をしてから、あの机は近所のワタルくんの家から
もらってきたんだよと教えてくれた。
ワタル君は俺と同い年で幼稚園が一緒だった。小学校に入学する
数日前にワタルくんは川に落ちて死んだ。
頭がよかったワタルくんは、入学する前から勉強を始めていたらしい。
俺が使っている机で勉強しながら、これから始まる学園生活に
ワクワクしていたんじゃないだろうか。
事情を知った俺は、机下にいるワタルくんのことを怖がらなくなった。
ワタルくんのぶんまで勉強しようと思った。それからもワタルくんは
俺の足に触れることがあった。俺はワタルくんが足に触れるときは
勉強頑張れって励ましてくれていると考えた。ワタルくんの励ましが
支えになって、俺は結構勉強ができるようになった。
649 本当にあった怖い名無し sage 2008/11/08(土) 22:17:17 ID:piTGUbKC0
少しして、中学校で野球がはやった。俺も参加したかったんだけど
バットやグローブを買うお金がなくて困った。俺はいつものように
オヤジを頼った。するとオヤジはちょっとまってろと言った。
数ヵ月後、オヤジはバットとグローブを俺にくれた。
またしてもお下がりだったけど、気にしなかった。これで野球ができる。
俺は野球のメンバーに混ぜてもらい、思う存分楽しんだ。
だけどある日、友達の一人が俺のグローブを見て言った。
「それ、ヨシロウのグローブじゃねぇか」
ヨシロウというのは、中学で野球部に所属していた同級生だ。
野球の才能があって中一の頃からレギュラー入りを果たしていた。
だけどヨシロウは、つい最近死んだのだ。
帰宅途中に川に落ちて溺れてしまったらしい。
自分が使っていたグローブがヨシロウの物だったことを知り、俺は思った。
ヨシロウのぶんまで野球を楽しんでやろうと。
そのとき、ふと思った。
ヨシロウとワタルくんって、何か似てるなぁと。
二人はどちらも若くして亡くなっており、死因も死んだ場所も同じだ。
そして二人の形見を俺がもらっている。
こんな偶然ってあるのだろうか?
数ヵ月後、再び俺はオヤジに頼みごとをした。
今度はテレビゲームが欲しいと。するとオヤジはいつものように
ちょっと待ってろといった。二週間後、オヤジはテレビゲームをくれた。
またしてもお下がりだった。オヤジからテレビゲームをもらうちょっと前に
新聞に載っていた記事を思い出した。近くの川で近所の中学生が
溺れて死んだらしい。体全体に寒気が走った。
その日の夜、いつものように自室で勉強をしていると足先に何かが触れた。
何年もの間、その何かを、死んだワタルくんが俺を励ましているものだと
思っていた。本当は違ったんだ。その何かは、必死に訴えかけていたのだ。
俺は今も机下を覗くことができないでいる。
