エレベーター・密室
エレベーター

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そして先日。
Aから電話があり、会うことになりました。
Aはまるで別人の様な顔つきになっていて、はっきり言って喋るまで
『本当にAなのか?』
とさえ疑うほどでした。
実はAから電話があった後、彼の母親から電話があり、
「Aがあなたに何を言っても、すべて 『Aが疲れていたせいだ。只の幻覚』だと言ってくれ」
と言われていました。
その言葉に、Aは普通では考えられないような事を言うのだろうと、覚悟は決めていました。

彼が語った話とは・・・

あの日、私がAと4階で話し、階段で下に向かっているときエレベーターが1階に降りていったそうです。
Aは、私がダッシュで階段を下り、自分を驚かせる為にエレベーターで上に上がって来るのだと思い、逆に驚かせてやるつもりになったそうです。
そして、エレベーターの前で扉を背にして立っていました。
エレベーターが開く音、誰かがゆっくりAに近づく感じ・・・
しかしそのとき非常口のドアが開く音がしたんだそうです。
Aは
『あれ?』
と思い振り返りましたが、その目には非常口が閉まったところしか見えなかったそうです。
『まさか泥棒!?』
と思ったAは、急いで非常口のドアを開けたそうです。
すると、扉が何かに当たったそうです。
懐中電灯で見ると、そこには髪の長い女が倒れていて、しかもその女の体はうつぶせであるにもかかわらず、頭はほぼ上を向いていたそうです。
Aは怖くなってエレベーターに駆け込むと、その中から、母親に電話をしたそうです。
「人を殺した」と。
その時スーっとエレベーターのドアが開いたそうです。
そこには頭がいやな方向に曲がった女が、はいつくばりながらいたそうです。
エレベーターのドアは閉まる・・・
が、女の腕に邪魔をされてまた戻る。
そんなことが何回か続いたそうです。
そして女は立ち上がり、曲がった頭をAの方へ向け、

「憶えたからね」

と言ったそうです。
Aは女を突き飛ばしたそうです。
そして(私が1階でボタンを押していたので)エレベーターは1階に。
Aは無我夢中で会社へ逃げたそうです。
いきなり会社を辞め、バイクで急いで家に帰ったそうですが、
『部屋にいても女がやってくるのでは?』
と言う考えが頭を離れず、部屋から逃げ出したそうです・・・
鍵もかけずに。

Aが後になって下の住人から
「朝までガタガタ何やってたの?」
と言われたときは、あの女が来たのだと思ったそうです。

その話を聞いて私は嫌な汗が出ました。
下の住人の話からすれば、私がAの部屋に行った時もAの部屋にはソレがいたってことですよ?
玄関には鍵が掛かっていなかったんです。
これがサスペンスドラマなら、私は必ずドア開けてますよ!
もしも、本当にそうしていたら、私はソレを見てしまったのかもしれないんです!!
・・・Aは今はそのアパートを出て違う所に引っ越したそうです。

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