占い・おまじない、呪い
要塞

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これは何?と俺が聞くと先生は宇宙だよ、と答えた。
左上の3×3の9マスの外周が8個
これは色々な物事の様子が8通りに分けられるとか、ね。
左から3番目の一番下のマスから、時計回りに12進むと右下の角のマスになるよね。
それは1年に12ヶ月あることを示している、と。
少し高度になると、星の飛ばし方とかね。
つまり、これは知ってる人なら知ってるけど、中国の占いの基礎なんだ。
当時の先生は、俺に占いを教えようとしてたんだ。

先生は若い頃、学生時代に色々な場所に行ってたらしかった。
主に占いの勉強の為に偉い先生に会ったり、本を買いに行ったりね。
それでお金を貯めて台湾に行って、達人に教えて貰ったりしてた。
今思えば、先生の占いの腕前は、とてつもなかった。
テレビに出演してるタレント占い師では、足元にも及ばなかったと思う。
命理、風水、家相、易学、全てに精通してた。
例えば家を見るだけで、どんな人達が住んでるか、
どんな生活をしているかまで、正確に見抜いていた。
それは台湾で色々な達人の方に手ほどきして貰ったからだと言ってた。
占いという点では、日本は台湾の足元に及ばないのが口癖だった。
しかし先生が得意なのは、占いだけじゃない気配もあったんだ。
なんていうかさ、占いは表の顔、みたいな感じでね。
台湾で学んできたのは、占いだけじゃ無かったような、俺の勘だけど。

59 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/18(水) 08:28:53.42 ID:u1r0CsJ60
それで勉強も含めて、そんな先生の話も面白かったんで、通い続けた。
まぁ、時々、ガンプラをくれるからって下心もあったしね。

それである時、俺は先生に、あの部屋はお宝だらけだね、と言った。
そんなに凄いお宝を見つけたかい、と先生は聞き返した。
あれだけガンプラがあれば最高じゃん、と答えた。
そんな俺に先生は笑ってたんだけどさ、うん、確かにガンプラもお宝だね、と。
先生一人でお宝独り占め良いなぁ、と言うと、それは違うと言われた。
あそこにあるプラモや玩具は、自分の物じゃない、と。
じゃ、誰のかと聞くと、先生は笑って誤魔化してしまった。
普通の泥棒だったら怒るかもしれないけど、子供達だから許してくれた、と。

先生が許してくれたんでしょ、と聞くとそうじゃなかった。
そう言うと先生は、棚から2つの赤い木片を取り出した。
それはポエという物だと教えてくれた。
三日月を不恰好にしたような形の木、うん、下手な説明だな。
それを投げたら、子供達を許すって、結果が出たらしい。
当時の俺には、何のことかさっぱりだった。
多分、君達だから、この家の敷地内に入ってこれたんだ、と言った。
じゃあ、本当の泥棒が来たらどうなるか、と聞いたら、入れないだろう、と。
この家は見た目は普通だけど、実は要塞だからね、と笑っていた。
塀も無ければ鍵もかけない家なのに、と訳が分からなかった。
そんな生半可な対策じゃないよ、と先生は言った。
例えば、この家で最も守りが堅いのは、あの離れ2階と先生の部屋と言った。
特に、あの2階は厳重に守られている、と。
たとえ世界一の泥棒だろうと、あの2階だけは絶対に破られないと先生は言った。
小学生が簡単に入れる2階なのにね。

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