犬・猫、動物
猫の恨み

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486 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/24(日) 21:52:06.95 ID:AI1AgOA+O
香川さんがお祓いの件は約束してほしいというので、いいよ、一緒に行こうね。と慰めてあげました。するととつぜん香川さんが頬に唇をつけてきて、目元を舐められました。
正直気持ち悪かったのですが、もう私も疲れきっていたので、軽く振り払って二人で歩き出しました。香川さんはまた帽子を目深にかぶっていました。
しばらく歩いていると、香川さんがいきなり立ち止まりました。
数メートル先に行って、ついてこないので振り向いて名前を呼んでも、じっと俯いています。それから、もじもじと足を動かすような動作をしました。
「しつこい!」
と、突然香川さんが怒鳴りました。下を向いたまま。私はなにか悪いことを言ったかと思い、彼女に謝ろうとしました。
「ミイ!しつこい!」
ミイというのは香川さんの飼い猫の名前だったのですが、香川さんはしきりにミイしつこい、とばかり叫んで、足を小さく動かしています。

それが何かをつつくような仕草だと気づいて、「もしかして香川さんには今、あそこにミイの頭が見えているんだろうか」と思いいたりました。むろん、地面にはなにも落ちていません。
「香川さん、そこにはなにもないよ」言っても香川さんは興奮したままで、ついに、「しつこい、しつこい、しつこい!!!」と、大きく足を振って、その「何か」を蹴るような動作をしました。と、
ガン!
と、何かが私の足に勢いよくぶつかりました。気のせいなどでは済まされない感触で、何か小ぶりの、ボール大のものがぶつかって跳ね返っていったのがわかりました。
香川さんは顔をあげていて、私の足から、私にぶつかって跳ね返ったものが転がっていっただろうあたりを、目で追っていました。しかしやっぱりそこには、なにも見えません。
何が起こったのかわからないでいるうちに、香川さんがハッとして私を見て、「ごめんね!」と真っ青な顔で言うやいなや、私は信じられないほどの恐怖にかられて、彼女を置いて家まで逃げ帰りました。

488 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/24(日) 21:53:31.17 ID:AI1AgOA+O
家では、遅くなった私を家族が心配して待っていました。
を見ると、大きな青あざができていました。
怖くてすぐ布団に入って、熱を出して、家族に看病されました。熱じたいはすぐにひいたのですが、具合が悪いと言って次の日は学校を休みました。
休日をはさんで月曜日、学校に行くと、クラスの子が二三人、いきなり謝ってきました。
面食らっていると、なんでも私が初めて学校を休んだので、無視やいじめの度が過ぎたのだと思いこんだようです。
その子たちを見て、結局クラスのほとんど全員が、私に謝罪してきました。
香川さんは来ていませんでした。
それからも二週間ほど香川さんの姿を見ることはなく、学校にも登校しないまま、いつの間にか籍もなくなったようでした。お祓いどうこうの話も、そのままなくなりました。

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