心霊良い話
忘れられない会話

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経過は思ったより順調で、5日ほどで退院の日になりました。僕が入院道具を整理していたら
あのお婆さんがやって来ました。僕がお爺さんのことを聞こうと思いましたが
お婆さんが涙目なのに気がついてすこし動揺しました。するとお婆さんは
「あの人が手紙を書いていたのよ。渡すのが遅れてごめんなさいね。」と僕に手紙を
渡してくれました。そこには「最後の夜が1人でなくて良かった。ありがとう。元気に育ってください。」
そいうような内容が乱れた字で書いてありました。
話を聞くと、お爺さんは僕が手術をしていた日の午前中に容態が急変して、そのままお亡くなりになっていたそうです。
僕は泣きながら「僕もあの夜はお爺さんと話せて安心できました。心細かったけれどとても優しく話をしてくれた。」
とお婆さんに言いました。するとお婆さんは不思議そうな顔をして説明してくれました。

説明によると、お爺さんは喉の腫瘍を切り取る手術が上手くいかずに、声帯を傷つけてしまったために
話すことはもちろん、声を出すことはほとんど出来なかったらしいのです。
最後の手紙は、恐らく亡くなる前日の夜に、自分なりに死期を悟って書いたのだろうとのことでした。

今でも、あの夜にお爺さんと話したことを思い出します。あれはなんだったのでしょうか。
不思議だけれど、あの優しい声は忘れないと思います。

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