洒落怖
双子のような二人

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やっと俺たちは本当に兄弟になれた
そんでもって嘘じゃなく双子同然だった
良いと思う女子も同じ
興味を惹かれたサークルも同じ
興味のある講義も同じ
二年から少しずつ選択増えてったんだけど
申込書見せ合ったら選択内容がほぼ同じで二人してげらげら笑った
本当は従兄弟なのにやけに波長が合ってた
多少違いはあったけどな
俺の方が空手サークルでは強かった
そのかわしあいつのほうが冬山ではかっこよかったな
俺はスキー板はかせてボーゲンでゆっくりだったけど
あいつは板並行にして雪飛沫あげる技ってあるじゃん
たった一日であれできるようになってたし
あいつのほうがモテた

819 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/11/12(土) 23:23:44.27 ID:zubx/1uy0
三年の12月のことだ
11月の終わりから俺には彼女(Y)ができてた
ある日Yがデートしてない日のデートのことを語りだした
最初に浮かんだのはもちろんBのこと
まさかBがこんな下らない真似をするわけはない
俺の頭がどうかしたんだろうかと思いついて
ものすごく心配になった
その場はYに喋らせて肯定する形でかろうじて乗り切った
この頃の俺達は親父達が工面してくれた生活費は使いきっていて
二人で交代でバイトして必死でやりくりしてた
病院にかかるとか頭の病とか言われたら
生活なんて一気に成り立たない
脳みその心配をしてたある日
かなり荒れてた中学高校時代の記憶が朧げすぎることにきがついて怯えた
本当に脳の病なんじゃないか
もしかしたら若くしてボケてBの面倒になるんじゃないか
それだったらいいが脳がどうかして植物人間になったりするんじゃないか
だとしたらそうなる前に死んだほうがいい
Bに余計な負担をかけたくない
Bだけでも立派に育った方がいいんじゃないか、なんてな

クリスマスイブはBが働いてるコンビニにいた
Bが体調が悪いっていうものだから
兄貴の俺が代わりに頑張りますつって無理言って働かせてもらってた
バイトの交代が風邪だのっていって朝までコースになった
超過勤務で増える手当もあったんでるんるん気分
Bに電話入れて朝帰りになるって告げた
午前一時近くまで働いてると店長の奥さんがきた
学生さんにこんな時間まで働かせる主人を許してやってねみたいに言われて
ハッピークリスマスって言って封筒に入った五千円札を給料とは別に下さった
がんばってりゃいいこともあるもんだなと喜んで
惣菜屋によってBと俺が大好きな唐揚げ沢山買い込んで帰った

820 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/11/12(土) 23:26:23.48 ID:zubx/1uy0
寮に戻ると静か
寝てるんだろうから起こさないように気をつけて
台所の電気だけつけて
惣菜を冷蔵庫に閉まってた
「え?きゃっ」
そんな声が聞こえた
Yの声だった
振り返るとベッドの上でYが肩まで毛布をかぶってた
「B君、ご、ごめんね」
Yの横でBが毛布から裸の胸をさらしてやがった
台所の包丁立てが目に入った
俺はYに返事をするより包丁を凝視してた
「B君。む、向うむいててくれる?」
そんな声が聞こえながら
俺はあの包丁をたまらなく手に取りたくなった
それをしなかった
それは嘘だな
手を伸ばしてつかむ寸前で
親父の顔がぱっと頭に浮かんだ
だからつかわなかった
Yがそんな俺をみて怯えた様子だった
凄く長いため息をついた

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