洒落怖
洒落怖 >
引きこもり
この怖い話は約 2 分で読めます。
俺の職業は精神科医なんだが、この前ゾッとするようなケースに遭遇した。
俺の家の隣に、60代の夫婦と30歳ぐらいのその息子の三人家族が引越して来た。
息子はいわゆる引きこもりらしく、その姿を見かけることはあまりなかった。
まー、その家族の口からは聞けないが、そういう世間体とか気にして越して来たんだろう。
その息子は日が経つにつれ、外に出る回数も減り、いつしか全く部屋から出て来ない
完全な引きこもりになってしまった。
毎晩のように、息子の部屋から母親の怒鳴り声が聞こえる。
玄関先で母親に顔合わせたりすると、笑顔で挨拶してくれるが、明らかにやつれて来ていた。
隣の息子を見なくなってから、半年くらい経ったある日、隣の父親の方が「明日家の方に来て欲しい」とお願いしてきた。
個人宅に訪問して診察したことはなかったが、近所付き合いもあったし、了承した。
そして次の日、その家を訪れると夫婦揃って出迎えてくれた。
「こちらです」と母親に案内され、息子の部屋の前まで来た。
母親が「開けるわよ!」とドアを開けるなり、「いつまで寝てるのよ!」と大声をあげながらベッドの布団を剥いだ。
その姿を見たとき、俺は驚愕した。
ベッドには、顔のない裸のマネキンが1体横たわっているだけだった。
そして、父親にこう言われた。
「診て欲しいのは、現実を受け止められない私の妻です」と