学校の怖い話
学校内の開かずの間

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 ところがその「噂になった部屋」は、生徒が無断侵入できる2つの部屋の方ではなく、完全に閉ざされ侵入
出来ない3つの部屋の、一番奥だという・・・。まさかね~。
 結局生徒の噂もあったし、ちょうど一学期の終わりで夏休みを迎える時期であり、大掃除がてらちょいと
調べてみようかということになった。
 運が良いのか悪いのか、その「開かずの間」を掃除することになったのは俺のクラスだった。
たまたま「開かずの間」の管理を担当していたのが俺のクラスの担当だったからだ。
 放課後、我々はその「開かずの間」に向かった。クラス全員で行ったのではなく学年全体で学校中のあちこちの
掃除を分担することになっていたため、その「開かずの間」へ行ったのは俺を含めて10人ほどだった。
 「開かずの間」ではない最初の2つの部屋には特に異変は無かった。
もっとも大量に発見されたタバコの吸殻やビールの空き缶などは先生にとっては十分「大異変」であった。
(後に全校集会でこってり絞られることになる)

 そして遂に、本当の「開かずの間」である・・・。
 3つある「開かずの間」のうち最初の2つは別に何とも無かった。様々な用具が雑然と置かれていて、
誰も侵入した形跡がないのは部屋全体に一様に降り積もったホコリの量からも明らかだった。
 ・・・そして残る最後の部屋・・・一番奥で、一番北で、一番薄暗い部屋・・・。実はそここそが例の
噂が立った曰く憑きの「開かずの間」である・・・。
 先生が扉の鍵をガチャガチャ音を立てながら開けた・・・。
 元々校舎全体の陰にあって薄暗い場所である上、真っ黒なカーテンで窓を全て閉ざされているため部屋は
闇に包まれていた・・・。そして、何と言っても鼻に付くすえたようなニオイ・・・。
 なんだ・・・このニオイは・・・?
 俺は一番に部屋の中に入った。なんか好奇心で勢いづいてしまったのだ。後に続いた先生が部屋の明かりのスイッチをONにした。
 ・・・・何だこれは!!・・・・(岡本太郎風に)
 そこにはボロボロになった布団らしきモノ、煮しめたように汚れた作業服らしきモノ、ウイスキーの空き
ボトルや、開けられて残った中身が腐りきった缶詰、なぜかボロい鍋や汚れた皿なんかもそこにあった・・。
週刊誌やエロ雑誌、ボロボロの歯ブラシ等日用品も散乱していた。
壁から壁にボロいロープが張られ、そこには汚れたタオルやシャツや下着類が吊るしてあった。

 この部屋には誰も侵入できなかったはず・・・なのに何だ・・・この有様は・・・・。
 ・・・もしかして・・・誰か住んでる・・・?!
 俺は唖然として立ち尽くしてしまった。普段気の強い親友のNもいたが「何だよ・・・これ・・・」と言ったきり黙ってしまった。
女子は皆気味悪がって誰も中に入ろうとしない・・・。
 先生もどうしていいか分からないようにボーゼンとしている・・・。一緒に来ていたYという女子が「先生・・・
誰か呼んできた方がいいんじゃないですか・・・」と消え入るような声で言うと、ハッとしたように我に返り、
「そうだな・・・うん・・・そうだ!」とか言って誰かを呼びに駆け出して行ってしまった。
 ・・・・普通、生徒に呼びに行かせるだろ・・・?・・・こんな状況で現場に生徒だけ残すか・・・?
 どうやら今は部屋には誰もいないことが分かり、俺やNは部屋の奥の方へ入っていった。
とにかく酷いニオイだ・・・。脂汗の酢酸臭、垢じみたニオイ、物の腐ったニオイ、カビ臭さ、生臭さ・・・。
 床に学校指定のジャージが落ちているのに気づいた。えらく汚れていたが間違いなくそうだ。
 何でだろ?そう思い、手にしていたホウキの柄でそれを引っ掛け持ち上げてみた・・。

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