占い・おまじない、呪い
女友達の話

この怖い話は約 4 分で読めます。

さらにそれから一年ほど経った中学二年の十二月、冬休みの少し前のことだった。
俺と佳織は同じクラスのままで相変わらず結構話してたけど、順一は別のクラスになっていた。
ある日放課後久しぶりに順一と会って話していたら、佳織も昇降口にちょうど降りてきて、三人で帰るかということになった。
俺と順一は適当に話していたけど佳織はあまり話さず、何か様子がおかしいなと思っていたら、順一と途中で別れたとたんに「うえぇっ」と小さく声をだしてうずくまってしまった。
「おい! 佳織! どうしたんだよ!?」
佳織は口をおさえて、涙を流していた。
「どうしよう……広志君……どうしよ。順一君、死んじゃうかも……ぅえっ……」
「は? な、何言ってるんだよ。 ちょっと落ち着け。気持ち悪いんか?」
「どうしよう……」
「どうしようって……何なの、一体?」
「……順一君はやってないだろうから、多分親戚とかだと思うけど……人殺してるよ。ここ最近で。すごい恨まれてる。多分順一君にもまわってきちゃうよ……死んじゃうかも」
「……」
げーげー吐きながら言う佳織の背中をなでながら、以前のこともあり、俺はかなりびびっていた。でもまさかそんな……という気持ちも強かった。たまに通りかかる人が変な目で見てたので、この日は佳織を落ち着かせて帰った。
夜に佳織から電話があった。
「明日、順一君の身につけているものを持ってきて欲しいんだけど……できればシャツとか」
「え? 何に使うの、それ?」
「明日私学校休むけど、広志君、学校終わったら順一君のシャツ持って○○公園(近くの森林公園。さびれてる)に来てくれないかな。絶対に持ってきてね。絶対」
「ああ……?」
何かわからないうちに頼まれてしまったけど、帰りのこともあったし、言う通りにしてみた。シャツとかなんてどうやって手に入れようかと思ったが、体育着を忘れたことにして借りて、洗って返すということで手に入れた。
森林公園では佳織が待っていて、俺が体育着を持ってきたことを確認すると「こっち」と、林の中につれていった。

ちょっと歩くと、葉の落ちた木がたくさん生えていて不気味だった。さらに不気味なことに、つれてかれた林の中の広場みたいなところに、ちょっと大きめのハンマーとダンボール箱が置かれてて、箱の中から猫(それも複数)の泣き声が聞こえてきていた。
「佳織、何あれ? 猫?」
「うん……」
ダンボールを開けると、猫が四匹(野良猫っぽかったけど、わからん)入っていた。
「ねえ、何するの? 一体」
「……これから、順一君の身代わりを作ろうとおもってるの。……お願い! 手伝って!」
「な、何? 身代わりって? わかんねー」
「大丈夫、すぐ終わるし。広志君に頼むのは簡単なことだから」
とりあえず言う通りにしてみた。言われたことは本当に簡単で、順一の体育着に猫を一匹、着せるようにして包み、地面に抑えるようにしていてくれということだった。
「それで、順一君はここにいるって、強く思って。声に出しながらがいいかな……多分」
「ああ。わかったけど……」
体育着にくるまれてくぐもった声をあげる猫を抑えつけ、言われた通りにした。
「ちゃんと抑えててね」
「え? 佳織、それ……」
俺が猫を抑えると佳織が置いてあったハンマーを持って、いきなり振り上げた。一瞬だった。
ボキャッと嫌な音がして、猫は鳴かなくなっていた。体育着にくるんでいたおかげでどうなっているか見えなかったが、頭のあった辺りがどんどん血に染まっていて、しゃれにならなかった。
「お、おま、何、おえっ! えっ!」
「待って! まだ我慢して!」
俺が吐きそうになっていると、佳織は猫を体育着の中からずるりと取り出して、次の猫をくるんでいた。地面に置かれた死んだ猫は頭が見事に砕けていて、たまに痙攣していて、それが見えてとうとう俺は吐いてしまった。

この怖い話にコメントする

女友達の話