洒落怖
生い立ち

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116 本当にあった怖い名無し 2008/06/08(日) 12:14:33 ID:i04V8bz/O
 
体験談というより、俺の生い立ちの話。
ばあ様に聞いた話だからはっきりとはしなくてごめん。

俺の家は元々、壇之浦で生き延びた平家の家臣の末裔で、その中でも占いとか祈祷とかを専門にしていた一族。
その影響か、代々お寺の住職を副業としてやっていた。

俺の父親は9人兄弟の末っ子で、俺も3人兄弟の末っ子。
言い伝えだと一族の末っ子は何かとヤバいものを背負って産まれてくることが多かった。
そしてそれを祓ったりするのが父親の役目だった。
俺の親父の時も大変だったらしい。
 
 
蝉の鳴き声が煩い7月のある暑い日、俺が母親のお腹に宿ったことをじい様に報告しに行ったんだが、報告の前にじい様が母親に言った。

「〇〇さん(←母親ね)、お腹に赤ちゃん居るやろ?この子は生まれたらいかん。酷なこと言うけれど、この子を産んだらうちの一族が絶えるかも知れん。」

みたいなことを何度も何度も言われたらしい。
うちのじい様、すごく怖かったらしくて誰も反論なんて今までしなかった。でも母親はじい様に向かってこう言った。

「なら離婚してでも私はこの子を産みます。この子は私の子供です。」

117 本当にあった怖い名無し 2008/06/08(日) 12:49:57 ID:i04V8bz/O

しばらく口論になったらしいけど、とうとうじい様が折れた。
「なら、この子に憑いたものを祓ってやらにゃならん。生憎だけど〇(←親父)には祓う力なんかない。だから俺が祓うしかない。完全には祓えないし、恐らく俺は死んでしまうだろうが、供養などしなくていい。霊魂となってでも、完全に祓ってやらにゃならん。」

そう言って、お寺の御堂で祓う準備を始めた。

結局、お祓いの準備が整ったのは明くる日の昼だった。
同じように蝉の鳴き声が煩い日だった。

じい様が母親を御堂連れて行くと、すぐにお祓いを始めた。

詳しいやり方は聞いてないけど、魔方陣みたいなものの真ん中にあぐらで座らせて、読経するというやり方らしい。

じい様が読経を始めると、すぐさま母親に変化が現れた。
最初は「う~」とか唸るだけだったのが、次第に「ぐおぉぉぉ」という様な低い声で叫び始めた。
目は白目を向き、口からは涎と血を流し(舌を噛んだらしい)、暴れた。

「あの時は、あそこだけ別の世界みたいだった。蝉の鳴き声は聞こえないし、汗が止まらなかったのに急に寒さで体が震えた。あの時は母さんが人間に感じられなかった。」と親父に聞いた時、ポツリとこぼした。

読経を始めて1時間を過ぎた頃に、暴れていた母親が急に大人しくなった。

118 本当にあった怖い名無し 2008/06/08(日) 13:07:36 ID:i04V8bz/O

うつ伏せになっていた母親は上半身をゆっくりと起こすと、生気のない目でじい様、ばあ様、親父を見て言った。

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