洒落怖
霊感の仕組み

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師匠のその言葉に、僕は考えてみた。確かに、霊感が0というような言い回しはよく聞く。だけど、僕自身霊力なんてそんなものだと思っていた。

「それってつまり…霊感がない人はいないってことですか?」

「…それはちょっとちがう。人にもごくたまに、生まれつき盲目の人がいるだろう。それと一緒で、生まれつき霊感がない人はたまにいる。まぁ、本当に希少だけどな。だから、自分に霊感がないと思っているやつのほとんどは“霊感が弱い”だけなんだ」

「霊感が弱い…」

305 本当にあった怖い名無し New! 2008/12/29(月) 09:50:27 ID:Z7GR0SwkO

「しかも、それは大人になるにつれて段々と弱くなっているケースが多い。丁度お前の視力のようにな」

師匠の例えは、非常にわかりやすかった。僕は閃いたことを呟く。

「そっか…。なら、霊感が強い人は、もともとの霊力が劣らなかった人ってことですね」

「そうだ。だからオカルトの世界でよく聞く霊感を強くする方法や裏技ってのは、強くするというより、復活させると言った方が正しいな。子どものうちは霊力が高いから。視力を維持するときや復活させるためには緑色のモノを使用するだろ。それと一緒なわけだ」

「なるほど…」

僕は改めて、この人はすごいなぁなんて思ってしまった。

「じゃあ、霊感が強いことで商売をしている人って、嘘なんですか?」

頭の中には、インチキか本物かもわからない半ばタレントのような霊能力者が浮かぶ。

「それは、ごくまれの盲目の反対ケースだ。アフリカのマサイ族なんかは、昔から狩りをするという環境の中で、視力が異常に発達してるだろ?」

師匠は再び手に取ったTVのリモコンを、クルクル回しながら言った。僕はつい先日、TVでマサイ族の視力は7.0だということを証明した特集を見たばかりだったので、リアルに納得できた。

307 本当にあった怖い名無し New! 2008/12/29(月) 10:11:02 ID:Z7GR0SwkO

「霊能力者の仕組みもそれと同じなんだよ。昔から霊と協力しあったり、霊を退治したりしているうちに霊感が発達した家系に生まれたっていうことだな。そういう家系じゃないのに高い霊能力を持つやつは、先祖に霊と隣り合わせの生活をおくっていた奴がいたんだろう」

師匠は言葉を終えると、僕の顔を見てニタリと笑った。

「時に少年。お前は、メガネをかけてるときとそうじゃないときでは、どっちの方がよく見える?」
何て馬鹿げた質問をするのだろうか、と僕は声をあらげた。

「そんなの、メガネをつけてるときに決まってるじゃないですか!」

すると、師匠はますます面白そうにニタニタ笑う。

「じゃあ、俺といるときとそうじゃないときでは、どっちがよく“霊”を見る?」

「!」

そのとき僕は、頭にビリビリしたものが走るのを感じた。師匠はまた話し始める。

「そういうことだ。目が見えづらいときはメガネという別のレンズの力で視力をパワーアップさせる。霊感も、他の強い霊力を借りているうちはパワーアップさせることができる。」

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