洒落怖
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鐘の音
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鐘楼はもう一つあった。
こちらはまだ崩れていないが、鐘はおろされ、しかも転がっているんだ。
なのに、ぼぉおおおおん、浮浪者はかなーり後ろの方で隠れてみている。
勇気を振り絞ってみてみる。音は中からするようだ。
ヂリッザリッといった音が鐘の音の中に混ざる。
鐘の中の空洞に目をやると、そこには古びたカセットコンポがあった。
もちろん、電気なんて惹かれていない、そんな場所。風雨にさらされてもおかしくない場所。
そのスピーカーが大音量を吐き出す。
全身の毛をびりびりと揺るがしながら、ぼぉおおおおおおおおおおおん、また音がした。
凶器じみた音が過ぎ去ったあと。
「おっ……おっ? 鐘? おっかねーな」
友人はかなり無理をし引きつった顔をしながら場を和ませようと必死になってくれた。
死ぬほど洒落にならないおっかねー話。
自慢癖が玉に瑕の怪奇現象に気づきつつも駄洒落心を忘れない彼に敬礼を。
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