洒落怖
因縁

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先日見た夢でもひとつ。

ふと気が付くと、7人ばかりで蒸し暑いジャングルで、獣道のようなところを行軍している俺がいた。
背中には38式。ただし弾丸は持っていない。背嚢はあるがやけに軽い。
周りの連中はといえば、骨と皮ばかりの生気のない連中ばかり。ただ、目だけは異様にぎらぎらしている。
俺の手足を見ると、彼等と同じように痩せ細っているようだ。多分、同じ様な顔つきなのだろう。
そして、誰も喋ろうとはしない。黙々とひたすら歩いている。喋ると刺し殺されそうな雰囲気が漂っている。
雰囲気に呑まれて、俺も無言でひたすら歩いている。
ただ、ゲートルの中がやけに痒い。取り外して掻き毟りたいが、周りを見る限り、そんな暇は無さそうだ。

小一時間ほど歩いたところで分隊長が手を上げた。どうやら休憩することにしたらしい。
本来ならばここで食事をするのだろうが、あいにく誰も食えるものを持っていない。
そもそも、ここ1週間ばかりは水だけで過ごしてきた。
それ以前に食った物も、雑草や木の根など、食料と呼べるものではないが・・・。
最後に米の飯を食ったのはひと月以上前か?それだって『おもゆ』としか言いようの無いものだったが・・・。

他にすることも無いのでゲートルを外してみると、瘤のようなものができており、赤黒く腫れ上がっている。
「痒みの原因はこいつか?」と銃剣で切り開いてみると、赤黒いヒルのようなものが出てきた。案外痛くないものだ。
「こんな物でも腹の足しになるなら。」と出てきたやつを啜る。
『ぐちゃり』とした歯の感触、口の中いっぱいに広がる血の香り・・・自分のとはいえ、あまり気持ちの良いモノではない。

392 2/3 sage 2010/07/20(火) 15:54:12 ID:06eWGmqi0
簡単な止血を行い、ゲートルを巻き直していると、斥候に出ていた奴が戻ってきた。
「2キロほど先に一人で座り込む友軍の兵士が居た。」ということらしい。
目的地へのルートからは若干外れるが「とりあえずそいつを収容しよう。」ということで、皆で移動することとなった。
誰かが言った「食えるものを持っているといいな・・・」
「礼の一つも欲しいところだな。」「米持っているといいな。」他の誰かが言った。こうなると言葉が止まらない。
最初の、喋ると刺し殺されそうなあの雰囲気はどこへやら・・・

しばらく歩くと、それらしき人物が見えてきた。
俺達の姿が見えたのか、口をモゴモゴさせているようだ。見方によっては笑っているようにも見える。
「喋れないのか?」と思いつつ近づいていったが、何となくおかしい。

近づいてみて、その違和感が何であるかを理解した。
そいつは確かに皇軍の兵士だった。だが、だいぶ前にこの場所でこと切れていたようだ。全身が蛆で一杯になっていた。
笑っているように見えたのは、蛆が動いて歯が動いているように見えただけなのだろう。
ただ、こいつの冥福を祈る気持ちも、手を合わせる余裕も無かった。
明日にでもこいつらの仲間入りをしかねないのだから・・・

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  • 匿名 より:

    寺って供養じゃない?
    神社がお祓いの間違いだろ

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