洒落怖
物差し

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だが、皆でどかした棚の後ろのおびただしい埃の底にあったのは自分の学年組名前が書かれた白っぽい物差しだけだった。

よく考えると、俺のと一緒に挟まった物差しを俺のいない時に先生か誰かにとってもらったのなら、わざわざ俺のだけ残す事もないだろうし、学年組名前が書いてあるのだから先生か誰かに預ける事も出来たはずだ。
それに自分の物差しの下には古い藁半紙やらなにやらがあったから、棚自体うごかしていないはずだ。
その事をなんとか班の皆に説明しても、誰も信じてくれないばかりか擁護学級はこの校舎に元から無くて、前から新校舎の保険室の隣にあったと言われてしまった。
とはいっても擁護学級の子はチャイムが鳴っても旧校舎から離れようとしなかったし、そもそも校舎が全部繋がっているとはいえ、保健室のある辺りとはかなりはなれていた。
六年生の頃はまた自分のボケーっとする癖で変な思い違いをしたのかと班の皆の罵倒を俯いて聞いていたが、
ついさっき旧校舎で遊んだ記憶が蘇って来て、なんというか事実と齟齬があるというか複雑な気持ちだ。

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