洒落怖
理不尽

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979 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/10/10(月) 19:34:56.42 ID:GHqaL9vd0
おっさんの声は聞こえないふりをしてチューハイを飲み、雑誌を読んだ。
「人殺し。人殺し。人殺し。人殺し・・・・・・」
しきりに時計に目をやるが、なかなか時間が進まない。
「人殺し。人殺し。人殺し。人殺し・・・・・・」
チューハイはとっくに空になり、雑誌の内容はとても頭に入らない。
「人殺し。人殺し。人殺し。人殺し・・・・・・」
なんだろう・・・なんだかわからなくなってくる。
本当に俺が何かをやったような・・・・・わからない・・・・

見てはいけないと思っていたが、チラッとおっさんを見てしまった。
おっさんの顔は見る影もないほどボコボコに腫れあがり、腹部は血でにじんでいる。
もう無理だ。始発まであと40分ほどあるが耐えられなくなり駅に向かって歩きだした。

駅に向かう途中ある不安が頭をよぎった。
(このおっさんは俺の家までついてくるかもしれない。)
俺は見るも無残な姿になったおっさんに必死に謝った。
「もう勘弁してくれ。とにかく俺が悪かったよ。」
「人殺し。人殺し。人殺し。人殺し・・・・・・」
「ごめんなさい。許してください。お願いします。」
「人殺し。人殺し。人殺し。人殺し・・・・・・」
会話にならない。このおっさんは許してくれない。

980 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/10/10(月) 19:38:14.84 ID:GHqaL9vd0
この理不尽な出来事に耐えてきた俺も流石に切れてしまった。
「ふざけんじゃねぇよ。俺じゃねぇって言ってんだろーがくそハゲ。ついてくんじゃねぇよ。この腐れ・・・・・」
罵詈雑言を叫び、自転車など周りの物に当たり散らした。
自然と涙が出てきた。なぜかはわからないが精神的に限界に来てたんだと思う。
おっさんはニヤニヤしながら黙って俺を見つめている。

しばらくすると警官が二人やってきて俺に何か話しかけるが警官の言葉は俺の耳に届かない。
それからどうなったのかは思い出せない。気がついたら駅前の交番で寝ていた。
「だいぶ飲んだの?」
年かさの警官が聞いてくる。
俺は何をどう答えていいのかわからず、しばらく頭の痛いふりをしていたが、昨晩のことを正直に答えると薬の使用を疑われるんじゃないかと思い、無難に答えておいた。
それからしばらくはあのおっさんが頭から離れず、一人でいるのが怖くて友人の家を泊まり歩いていたが、あのおっさんは現れなかった。

それから十数年経った先週の土曜日。
あの日以来というわけではないが数年ぶりにあの雀荘へ行き、朝まで打った。

始発に乗って帰ろうと思い、駅へ向かって歩いていると一人の若い男性が暴れていた。
「うっせぇぇんだよ。ついてくんじゃねぇよ。クソがっっ。」
周りにはだれもいない。一人で叫び、暴れている。
まさかと思い、逃げるように駅へ向かった。
若い男に殺されたのか何なのか。おっさんは今でもだれかを探している。

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