洒落怖
カンカンその後

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何分、いや何秒そうしていたか分かりませんが、私の指が再びパチンとスイッチを押すと、居間は真っ暗な闇に飲まれ、
何も見えなくなりました。そしてちょうどその時、玄関からガチャリとドアの開く音が。…妹か。
しかし私の視線は再び闇に包まれた居間のほうに釘付けで、テーブルの上にはまだあの女がいるような気がしていました。
その一方で、玄関ではガサ、ガサという靴を脱ぐような音に続いて、木造の床に体重が掛かるときに鳴る、
ギッ、ギッ、という独特の軋み音が。

私は、廊下のほうを振り向くことが出来ませんでした。妹に決まっているはずなのに、そっちのほうを見れない。
いや、何となく分かっていた。気配というか、勘というか、あやふやなものだったけど、後ろから近付いているのは
おそらく妹ではなかった。形容し難いほどおぞましい感覚が、ギッギッという軋み音とともに強くなっていく気がした。

そして、真っ暗な居間の真ん中、テーブルが置いてある辺りで、「カン、カン」という金属音が鳴った。
意識が遠のく寸前、私のすぐ後ろにいた人物の手に、ガッと肩を掴まれたのを確かに感じた。

477 カン、カンその後 6 sage 2010/01/04(月) 17:35:07 ID:+c8UOsBv0
因みに、その翌日、私は姉の部屋で寝ていたそうです(姉が起こしてくれました)。
姉も妹も、あの真っ暗な居間で私の肩を掴んだということは一切ないと断言しており、
しかも妹が帰ってきた時には母はまだ帰宅していなかったそうです。
靴だけでなく、母の寝室も確認したから絶対に確かだとの事でした。

妹曰く、母の異常な行動は今でも続いているようです。

「精神科にも相談したし、うちでお祓いだってしてもらった。通報されたこともあるからね」
後で聞いた話だが、妹はすでに姉から詳しい話を聞かされており、父には内緒で色々やっていたらしい。
だがいずれも徒労に終わった。母の異常な行動を見れば、効果がないのは一目瞭然だった。
そして私にはもう分かっていた。あの女のせいだ。姉の家で鳴った音だって、あの夜の
母の恐ろしい姿だって、全部あの女が原因なんだ。そう思うと怒りがこみ上げてくる。
でも、怒り以上に、あの女が恐ろしくてたまらない。

なるべく早いうちに父に打ち明け、アパートを引き払うことを検討しています。

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