夢・不思議
ばりばり

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少女が、人間の生首を頭蓋骨からばりばりと食ってるのを・・・
私は絶叫した! もうなりふりかまっていられない! 殺される!
ドアを蹴破って個室を飛び出した。足がもつれて男性用便器に激突したがそれどころじゃない!
振り向けば一番奥の個室が薄く開きはじめていた。
「やばいやばいやばいやばいやばい!!!」
全力疾走。トイレを出て階段を目指す。母校だけあって校内の地理は完璧だった。自分がいるのは
地上三階。3段、4段飛ばして階段を駆け下りる。すぐに一階にたどり着いた。
そこで私は異様な光景を見た。
下駄箱には片足の無い少年や、和服姿の女の子、そのほかにも妖怪のような気持ちの悪いやつらが
うようよしていた。でもそいつらは私を珍しがっていたようだが敵意は無さそうで、すぐに襲い
かかってくるような気配はなかった。私はほっと安心する間もなく、校庭に出る扉に飛びついた。
一つ目の扉にはカギがかかっていて開かなかった。二つ目も三つ目も、
四つ目にもカギがかかっていたのだが、これだけ内カギ?のような仕様で、ひねれば簡単に開く
カギだった。開けるなり、また蹴破るように外に飛び出した。
「やった! 助かった!」
やった、助かった・・・? 自分で言ってなんだか変な感じがした。何で外に出ただけで助かった
なんて言えるのだろうか。
ここにきてやっと私は思い出した。

「・・・俺、この夢見たことある・・・」

そう、前に一度だけこれと同じ夢を見たことがある。あのばりばりというメッセージも前の夢で
自分が書いたものなのだろう。
この扉を出てすぐ右手にフェンスを切り取って作ったような簡単なドアがある。前の夢では
そこを出た瞬間に目が覚めたのだ。だから、ゴールが近いということを知っていたから
「助かった」などと言ったのだ。例えばりばりが追っかけてきたとしても、ダッシュで走れば
もう追いつかれないという自信すらあった。
そう思って、私は扉のほうを見た。
絶句した。
私が通っていたころのその扉は常時開け放たれていた。それなのに今は閉まった状態であり、
おまけにごつい錠前までしてあった。
「うそ・・・うそうそウソだろふざけんなっ!!!」
私はすっかり忘れていたのだ。最近小学校や中学校も物騒になってきており、登下校時間以外は
全ての門を閉めておくことになっていたのだ。私が前にこの夢を見たときにはそんな規則はまだ
なかった。だから門はいつも開いていた。
私はどうしていいか全く分からず、天を仰ぎみた。すると、トイレの窓から誰かがこちらを見つめて
いるのに気がついた。
ばりばりと目が合った。
鳥肌がぶわっとたった。全身の毛穴が開く感じ。背筋が凍ったような気がして、体温も急激に
下がっていった。
「逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げなきゃ!」
私はとにかく走った。あいつから少しでも離れなきゃいけなかった。そこで私は思い出した。
たしか給食センターの車が入る門がある。あれはかなり低いのでよじ登ることだってできるだろう。
そこへ向かってがむしゃらに走った。確かめてはいないが、すぐ後ろにばりばりがいるってことが
何となく分かった。しかも自分より速い。50Mもしないうちに追いつかれるような勢いだった。
もうここからは感覚というものがほとんど無かった。ただ走って、門が見えて、それを全身で
這うようにして登った。最後は転がり込むように門の外へ身を投げ出した。

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