洒落怖
きょうこさん

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797 本当にあった怖い名無し 2008/02/05(火) 02:08:31 ID:v2UsNMmc0
その悪夢のような状況が変わったのは、その男(元・爺)がいきなり立ち上が
り、彼女の手を掴んで、外に連れ出した時だった。
彼女は抵抗もできず、家の外に連れていかれ、倉の前に立たされた。
わけもわからず、彼女がおびえていると、男は倉の戸を開け、彼女に中の様子
を見せたのだ。倉の中に入っていたものは・・・
時代劇などに出てくる座敷牢がその中にはあり、牢の中には一人の女性が
横たわっていた。彼女は恐る恐る、「こ、これは誰ですか?!」と男に問い
かけた。すると、
「誰って、おまえの妹じゃろうがあ」と男はニタニタしながら答えた。
彼女はもう、パニック寸前でそこから一刻も早く逃げ出そうとした。
ふと、横を見ると自分の乗ってきた車はまだそのままの場所にある。
彼女は男を振り切り、車までなんとか駆け出した。すると突如車の前に、最初
出会ったお婆さんが現れ、フロントガラスの上にカラスの死骸を置きながら
「きょうこさん、あんたもうどこにも行かれんのんじゃけえねえ!」
と睨みつけてきたそうだ。
彼女は気が狂いそうになるのを必死でおさえながら、フロントガラスの上の
カラスの死骸をはねのけ、車に乗り込んで、必死にエンジンをかけようと
試みた。

799 本当にあった怖い名無し 2008/02/05(火) 02:21:21 ID:v2UsNMmc0
この手の話の展開ではお約束のような感じだが、案の定、車のエンジンはなか
なか始動しなかった。それでもようやくエンジンがかかり、急いで車の向きを
変え、もと来た道をひたすら戻ったそうだ。後ろも振り返らず・・・
話はここで終わればよかったのだが、この時、彼女にとり憑こうとしていた
霊は、そんな生易しいものじゃなかったのだ。
彼女はやって来た一本道をひたすら走らせていたにもかかわらず、道はなぜか
どんどん狭まっていき、ついには車が走行不可能な幅にまでなってしまった。
彼女はその場で立ち往生してしまい、どうしようかと悩んでいると、道の
前方に、来た時にはなかったはずの赤い橋がぼんやり浮かんできたそうだ。
次の刹那、車の横にはあの老婆が立っており「戻れん言うたじゃろう?
あの橋はあんたのために作ったんじゃけえ、渡ってもらわんといけんのんよ」
と、車の窓越しに語りかけてきた。
彼女はもう、覚悟を決め、車を後退させ、逃げれるとこまで逃げようとした。
老婆を無視して車をバックさせていると、今度はその老婆が逆さまで車のフロ
ントガラスにはりつき、「逃がさんけえねえ~逃がさんけえねえ~」と
ずっと叫び続けていた。
801 本当にあった怖い名無し 2008/02/05(火) 02:29:23 ID:v2UsNMmc0
窓にはりつき叫び続ける老婆を無視して、ひたすら後退を続けたのだが、
今度はまたしても前方に、先程見た赤い橋が見えてきたそうだ。
もうその時は彼女も万策つきて、もうダメだ、と思ったらしい。
彼女は呼び寄せられるように、車を降りてしまい、その橋に向かって無意識に
歩いて行こうとした。
その時!
頭の中に直接語りかけるように、彼女が小さい頃、自分を育ててくれた
お婆さんの声で「○○ちゃん!そっちに行ったらいけんよ!」という声が
聞こえたそうだ。その瞬間、彼女はまたしても瞬間的に気を失ってしまった。

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