洒落怖
掛け軸

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318 掛け軸-5 New! 2007/05/12(土) 03:16:39 ID:8qr2cwLV0
最後に二つシメとして書きたいエピソードがある。
祖父が死ぬまえ、病床で俺は祖父と二人きりになったことがある。
祖父は痛み止めの注射でうわごとしか言わなかったが少しだけ目が覚めて、
大学生だった俺に言った言葉がある。
「言葉は人間が作り出した一番古い意思の伝達の方法だ。人を怒らせるのも悲しませるのも
笑わせるのも喜ばせるのも言葉があるからできる。
言葉は人の気持ちを動かせることができるんだ。
だからお前は人の気持ちを考えて、よくよく考えてから物事を言いなさい。
いいか、言葉は人に聞かせるものだとは限らない。神様にも通じるんだ。
祝詞はそうだろう?
古い言葉で意味はわからないだろうがあれは神様とお話しする為の言葉だ。
同じように呪いの言葉だってある。秘密にしすぎて忘れただけなんだな。
あと言葉には力があるが、念を込めて人が作ったものほど怖いものはないんだ。
何かの目的の為に人が一心不乱に作り上げた何かが場合によっては一番怖いんだ。」

それを俺に語った祖父は話し疲れて寝てしまった。
もう一つ、あの絵のことだが、雲に見えていたのは雲ではないとあるとき気がついた。
雲のように見せて描いた地獄絵だと。完璧な状態のその絵は人の心をつかんだのだろう。
よく見ればそれは地獄絵なのに。確証はないが多分そうだと思う。
祖父も死に際の意識が混濁しているときにあの絵の世界を見ているような節があったからだ。
「骨が丸い。」そんな言葉をつぶやいていた祖父が少し怖かった。
終わりです。読みにくい文ですがつきあってくださってありがとうございました。

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