心霊良い話
本当の親子のよう

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682 名前: 5/6 04/09/28 08:35:36 ID:YAmMlNej

ある朝、仕事に行く時間が迫っても私はがんばる気力が出なくて
「仕事行きたくない・・・」などとぼんやり考えながら椅子に座っていた。
私ばっかりなんでこんなにつらいんだろ・・・そう思うと涙がでそうになった。
その時だった。

「この甲斐性なしっっっ!!!!」

突然頭の中にとどろいた怒鳴り声。しかしそれはなつかしい、まぎれもなく義母の声だった。
びっくりして顔を上げると目の前に義母が立っていた。
義母は生まれたばかりの息子をだっこしている。
そして、「この子を飢えさせる気?」と言わんばかりの表情で、私に息子を突きつけてきた。

「あのぉ・・・甲斐性なしはあなたのむすこさんなんですけど・・・」
そうつぶやいてみたら、なぜだか急に笑えてきた。
きっと義母は何度もダンナの尻を叩きにきていたに違いない。
そのたびに「やれやれ・・」と消えては、また何度も出直す義母の姿を想像すると可笑しくて。
ひとしきり笑ったら元気がでた。
「そうだね、がんばらなくっちゃね。ありがとう、お義母さん。」
そういうと、義母はにっこり微笑み、「大丈夫だから。」と言い残して消えていった。

ふいに赤ん坊の泣き声が聞こえた。いつから泣いていたんだろう。
泣き声が耳に入らないほど、私はどうかしていた。
もしかしたらノイローゼの一歩手前だったのかも。
それを義母が叱って助けてくれたものだと思っている。

きっとずっと見守っていてくれたのだと思う。
自分の努力で切り開いて生きてきたと思っていたけど、
振り返れば、信じられないほどの幸運と転機がいくつもあった。
ダンナとはその後、離婚することになってしまったが。義母も理解してくれていると思う。

683 名前: 6/6 04/09/28 08:37:44 ID:YAmMlNej

現在、子供ふたりとも高校生。あっというまです。
娘はますますきれいに、息子は私を見下ろすぐらいに大きくたくましい青年に。
ふたりとも大学へむけての勉強に忙しくしています。
でも、仕事で忙しい私を気遣って、家事を分担してやってくれるやさしい子供達です。
経営する会社も今のところ順調で、親孝行をする余裕もできました。
たくさん心配をかけた両親と、旅行に行ったり買い物をしたり。
そんなときには、心の中に必ず義母がいます。

義母との思い出をここに投稿させてもらったのは、先日義母と十数年ぶりに再会したからです。
その日は娘の誕生日でした。
夜中目を覚ますと、義母がまた正座して私を見ていました。
私もまた、義母と向かい合うようにベッドの上に正座しました。
義母は何も言いません。ただ微笑んで「うんうん。」とうなずいているだけでした。
やがて静かに立ち上がるとすーっと消えていきました。
きっと私が建てた家を見に来てくれたんだろうと思います。義母に見せたかったから。
そして大きくなった孫を見て、私を誉めてくれたんだと思います。
ここまでこれたのはあなたのおかげです。消えていく義母の後姿に手をついて頭を下げました。
その瞬間、義母と過ごした光景が鮮明に脳裏にうかびあがりました。
それは二人でよく行ったあの公園のベンチ。並んでアイスクリームを食べたあの日の光景。

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