師匠シリーズ

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909 魚  7/7 ウニ 2006/02/22(水) 20:02:01 ID:CqBHiC0Y0
「その水槽のあるこの部屋でしか、私は眠れない」
どんな時でも部屋に帰って寝るという。
旅行とか、どうしても泊まらないといけない時もあるでしょう? と問うと
「そんな時は寝ない」
とあっさり答えた。
たしかに、飲み会の席でもつぶれたところをみたことがない。
そんなに悪夢をみるのが怖いんですか、と聞こうとしたが、止めた。
たぶん、悪夢を食べるという悪魔が招いた災厄こそ、その悪夢なのだろうから。
僕はこの話を丸々信じたわけではない。京介さんのただの思い込みだと笑う自分もいる。
ただ昨日の夜の、暗闇の中で閃いた鱗と、何事もないように僕の目の前でコーヒーを飲む人の、強い目の光が、僕の日常のその隣へと通じるドアを、開けてしまう気がするのだった。
「魚も夢をみるだろうか」
ふいに京介さんはつぶやいたけれど、僕はなにも言わなかった。

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