厳選怖い話
記憶を辿って

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615 本当にあった怖い名無し 2009/11/24(火) 00:05:56 ID:EqIbNL3V0
怖いからと言って嫌がる嫁に無理矢理運転させて、途中やっぱり小学校以来に友人のミツ君も
連行し、酒の力も借りて夜の公園に降り立った大人四名、ショウ嫁は来ませんでした。
こんなもんだったっけと感じるくらい小さな公園、水路が最近整備された形跡がある以外は
ほとんど当時の面影を残していた。俺が「森」と呼んでいた所も実際は公園と隣の農地との間の
原っぱの雑木林ほどしかなかった。しかしショウ君の一言でそんな懐古の念も吹っ飛んだ。
「あの辺らしいよ」
ショウ君の指さす先は先述の雑木林、もう葉が落ちていて枝の向こうに民家の明かりが見えていた。
しかし、それを聞いたときに俺が感じたのは、ここでケンちゃんが死んだ、ということでじゃなくて
なんでケンちゃんはここで死んだのか?、ってことだった。ケンちゃんの正確な自宅は知らないが
通ってた地区名から判断する限り、この公園に来る必要性は全く感じられない。
「車は…、なかったけなぁ…」
「車?」
ショウ君の言葉にミツ君が反応した。
「ここら辺に廃車とかなかったっけ?」
「あああぁぁぁ、あったかもしんない」
ミツ君の言葉に心臓がドキリとする俺。
「冷蔵庫とか夜中に不法投棄する奴がいっぱいいてさぁ、町に頼んで全部回収してもらった
時に片付けたのかもしれない、結構最近の話だよ」

616 本当にあった怖い名無し 2009/11/24(火) 00:07:31 ID:EqIbNL3V0
ミ「しかし、良く覚えたたな、ケンちゃんがおかしくなった日なんて」
シ「もしかするとお前がケンちゃんがまともな姿を見た最後の奴かもしれないんだぞ」
俺「な、なんか責任重大になってきたな」
ミ「しかしあの車さぁ」
シ「そうそう、俺らが壊したやつだろ」
俺「ほわっつ?」
シ「ほら、みんなで壊したじゃねーかよ、6年生の時」
はっきり思い出しました。ちょっと…、いや、相当やんちゃだったあの頃、石やら鉄パイプやらで
5年生数名も交えてみんなで壊しました、どうせ廃車だからと…。フロントガラスが割れた時、
近所のおっさんが飛んできて怒鳴られたっけ…。当時、雑木林の向こうに見える田んぼのあたりで
砂利掘りの工事をやっていてその折に乗り捨てられた車とばかり思っていたんだけど、ケンちゃんの
写生の話も総合するともっと昔から放置されてたわけで…、あ、あー、なんか色々思い出してきた。
俺、あの車に乗ったこともあった…。

小学生の頃の同級生でユミコってのがいてな、元気一杯に俺にひっついて回ってた。当時は仲の良い
同級生くらいに思ってたけど、少し考えれば相当好かれてたんだと思う。何かと理由をつけては
うちに来てたし、普通に一緒にお風呂に入った記憶もある。で、俺姉とユミコ兄が小学校の近所の
算盤教室に通ってたんだけど、お袋と一緒に迎えに行って時間まで待ってる間、件の公園でよく一緒に
遊んでた、1年生の時の話だ。その遊びの一つに「ドライブごっこ」ってのがあってな、ユミコと
二人であの廃車に乗ってハンドルやスイッチをガチャガチャいじりながら遊んでたんよ。
…、つまりあの廃車は俺が1年生のときには有ったってことになる。あの車が、近年流行りの練炭自殺
とかの現場で、その霊がくねくねになってケンちゃんを狂わせた…、って仮説を立てるなら、俺など
かなりの高確率で呪われてなければならない。ほっとすべきか…、もっと怯えるべきか…。

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