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田舎・地方の習慣

だってアンタが殺したんでしょ?

だってアンタが殺したんでしょ?

数十年前・・・
00県の山奥の集落に俺の住んでる村がある。
まあ、「あった」ってのが正しいのか?
俺の村では「隣山は呪われている・・・悪霊の巣窟
だから絶対に行くな!行ったら帰って来れない!」
って小さい頃から口を酸っぱくして言われていた。
それは、無茶苦茶DQNだった16才の夏だった。
下らない迷信を打破をしようと俺は隣山に単車で
乗り込んだ。
妖怪の正体でも暴いてやろうとビデオカメラを持
って行った。
山の国道を進んで行くとアスファルトの道が砂利道
に変わった。
15分位更で明かりが見えて来た、「何だ人住んでる
じゃん(笑)やっぱ妖怪とかは迷信か~♪」とか歌
いながら明かりの方に近づいて行く。

明かりの目の前に立っている・・・俺の家だ・・・

目の前の光景が信じられなかった、道を間違える
なんて絶体に有り得ない!確かに自宅を出てから隣
山に来た筈なのだ!
家に入る、「おかえり!夕食まだでしょ?」

461 2/2 sage 2013/10/16(水) 23:43:25.22 ID:CCIyihN+0
母だった・・・
「ここ隣山だよな!?何でこんな事が!」
俺は母に叫んでいた、そして母はこう言った。
「え?隣村の人はだってアンタが殺したんでしょ?」
意味がわからなかった・・・顔面蒼白で単車に跨り
俺は自宅を目指して走った!
2時間位の距離なのに数十時間かかった様な感覚だ
った。
そして着いた所は古い墓場だった、俺の名前の彫
られた墓石があった・・・というか村人全員のも。
怖くなって、その後はそのまま東京の友人の家に
転がり込んでそこで居候をする様になった。
地元の仕事も辞めた。
友人は話を信じてくれなかったがいざ墓場と例の
村に連れて行ったら信じてくれた、友人は馬鹿で
は無い地理は俺より詳しいし異常にはすぐ気付い
たみたいだ。
けど、その後は疎遠になってしまった。
今では東京で就職して毎年クリスマスには得体の
知れないあの村に顔を出している、妖怪だかドッ
ペルゲンガーだが知らないがいつも通り人間のフ
リをしている所どうやら俺に危害を加える気は無
いらしい。
霊能者に一度だけ見てもらったけれど一言だけ
「原因は君のせいなんだし、私程度の力ではもう
手の施しようが無いし、もうこれは神様の世界
に婿入りしたと思って諦めて失礼の無いように
お付き合いしていくしか無いよ?」
って言われたんだけど意味わからんし一体何なんだろう?

463 3/2 sage 2013/10/16(水) 23:59:41.42 ID:CCIyihN+0
あの日以来録画したビデオは怖くて見れない
何が映ってたかって?
分かり易く言うならバイオハザードのゾンビ
みたいな形したグロい幽霊だな、あの村人の
正体はやっぱ妖怪なんだと思う。
まあ、クリスマスの時は出された飯とか普通
に食ってるけど食中毒とか呪われたとかって
のは無い。
まあ、悪霊では無いという事なんだろう?今
では村の許嫁と早く結婚しろって母(?)に
言われてる。
さて、どうしたもんかな・・・俺、実は「隠れ」の
系譜のカソリックなんだけど最初はエクソシスト
でも呼んでコイツ等全員ぶっ殺して貰おうとか考
えたけど、相談先の東京の教会では異端キチガイ
扱いされちまったしwww
まあ俺個人それ程今まで信仰熱心でも無かった訳
で…でも今は不思議な事にコイツ等もこの国でコ
イツ等なりに生きて来たんだろうなって思って許
そうって思う様になって来たんだよな。

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占い・おまじない、呪い 洒落怖

継呪の老婆

322 継呪の老婆 sage New! 2005/12/04(日) 15:54:04 ID:orhP/4If0
 東京の自宅に戻る上りの新幹線の中で、私は、昨晩から今日にかけての
出来事を思い返し、憂鬱になっていた。ハンドバッグから、ベッコウの髪留を
取り出し暫く見つめていると、涙が溢れ止まらなくなった。
幼馴染で親友でもあったトモに最後のお別れをするために、とある海沿いの
小さな温泉町に行っていた。私にとってもその町は故郷だ。髪留めをくれた、
トモのお母さんの言葉を思い出した。
「トモちゃんとずっと仲良くしてくれてありがとう。あの子は、サトちゃんが
いるから、仕事は大変だけど東京の生活にも耐えられるって、いつも・・・」
トモのお母さんは、涙でそれ以上言葉を続けることができなかった。
最後に、この髪留を差し出して、私に告げた。
「お友達には、あの子の遺品をあげているの。これは、あの子が最後の日に
身に着けていたもの。是非、サトちゃんに持っていて欲しいから・・・。」

 ふと、最後にトモと会った晩の光景が浮かんだ。深刻な顔で、彼女が、
泣きながら私にしがみついていた・・・。翌日、彼女は遺体で見つかった。
 トモの死には謎が多い。自室で発見された彼女の遺体は、体中の水分を失い、
まるで何年も太陽に照らされていたかの様に、衰弱し、干からびていた。
 窓の外は、いつの間にか雷雨になっている。暗闇に一筋の稲妻が走った。
(つづく・・・。)

323 継呪の老婆 sage New! 2005/12/04(日) 15:57:41 ID:orhP/4If0
 トモは、亡くなる1ヶ月前に帰省していた。彼女は小学校の時に温泉町に
引っ越してきたが、すぐに彼女の父親が他界した。トモの母と父の実家とは
折り合いが会わず、父親の遺骨は分納されたと聞かされたことがある。
私は、そのとき父親の墓参りに行ったというトモの話しを思い出した。

「お父さんのお墓にいってね、お父さんに仕事とか恋人のことを報告したわ。
で、不意に気が付いたの。墓石をはさんで向こう側に、婆さんがみえたの。
お盆で他にも人はいたけれど、気になったのは、その婆さんが私の方を
じぃっと見つめてた事よ。」私の部屋に休息に来たトモは、小さな巾着袋を
取り出しながら、話を続ける。「私と目が会うと、すぐにかがんで、お墓の
前で、ブツブツと呟いていたわ。」トモは袋の紐を解き、中をまさぐる。

「恐怖雑誌の編集なんてやってるからかしら。職業柄ね、ピンときたのよ。」
得意げに言った彼女は、沢山の白い破片とアン肝の干物のようなものを、
袋から取り出し、机に広げた。「私は婆さんに話かけたの。綺麗な髪留めを
手で押さえ、婆さん、ブツブツ言いながら私の顔を見上げたわ。どこかで
見た顔だと思ったら、クラの婆さん。知ってるでしょ?三つ上のクラタよ。
彼のお通夜で会ったわ。」トモが語る。私が怪訝な顔で、机の上の物に手を
触れようとするが、彼女は私の手を掴み、話を続けた。「挨拶をしてお別れ
しけど、何か引っかかったのよね。私の名刺を渡しておいたわ。」
窓を眺め、私は一息つく。気が付けば外は雨になっていた(つづく・・・。)

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上司の昔話

241 上司の昔話(1/5) sage New! 2011/07/20(水) 22:12:44.62 ID:KT3ktib/0
会社の上司の昔話で、十五年くらい前のことだという。
当時まだ駆け出しだった上司が、某県某町に新設の事務所に配属された。
工場併設のその事務所は市街地を遠く離れた山の中にぽつんとあって、夜には車通りも無い淋しい場所だった。
事務所の前から県道を右にしばらく行くと某町のジャスコに行き当たる。左にしばらく行くと隣の某村に入るが、村の中心部の集落まではしばらくかかる、そんな立地だった。
その日の上司は、仕事を抱え込んで一人残業の末、疲れきって事務所を閉めた。
一人暮らしのアパートへと車を走らせていたところ、うっかり道を間違えていることに気付いた。
右に出るべきを左に出て、車はすでに某村に入ってしばらく経っているようだった。
車通りも無いので素直に切り返して戻ればよかったものを、上司は脇道に入った。
ぐるっとまわれば元の道に出られるだろうと考えたからだが、区画整理がされたわけでもない田舎道は、そうは行かないものだ。
走るだけ走ってさらに見つけた道に飛び込むことを数回繰返したが、どこをどう走ったかもすでに定かではなく、周囲は真っ暗で道はすでに細い。切り返しももう無理だった。

243 上司の昔話(2/5) sage New! 2011/07/20(水) 22:14:20.63 ID:KT3ktib/0
しかし、アスファルトと土肌が断続的に現れる道には轍が続いており、おそらくここは地域住民の生活道、きっと先には集落があると踏んで、先に進み続けた。
読み通り、小さな集落に行き着いた。何軒か先には明かりのついた家が散見される。
方向感覚に間違いが無ければ村の中心部では無いようだったが、帰り道が聞ければそれでいい。
遅い時間で恐縮ではあったが、なりふりを構ってもいられない。

上司は明かりのついた家の前で車を停め、ライトを消した。火をつけていたタバコを吸い切ってから、意を決して車を降りるとぎょっとした。
暗がりに、おそらくは十人以上の村人が立っていたのだ。
村人は老人ばかりで、一様に睨みつける顔付きからして明らかに歓迎されていなかった。
一人が大声を出す。するとほかの村人も続けて叫び出した。
何しに来た、帰れ他所者!どろぼう!…は、やらないぞ!やらんぞ!帰れ!
聞取れない部分もあったが、土地の方言でだいたいこんなことを言っているようだった。
上司は誤解を解こうと釈明をしながらもたじろぎ、後ずさりした。
背後に気配を感じ振り向くと、そこにはさらに十人ほどの村人がいた。彼らもまた何やら叫び出したが、上司が驚いたのはそこではなかった。

244 上司の昔話(3/5) sage New! 2011/07/20(水) 22:16:51.18 ID:KT3ktib/0
上司の顔のすぐ下で、小柄な老婆が、数珠を持って上司を見上げるように何かを唱えていたのだ。
尋常ならない空気に圧倒され、上司は車に舞い戻りアクセルを踏んだ。
村人は、上司を追い返そうとしているだけのようで、追ってくる様子はなかった。
はるか背後で、たぶん老婆のものであろう叫び声を聞いた。
後で知った事実から考えれば、唱えていた念仏の総仕上げの掛声のようなもので、それは自分に向けられたものであったのだろう。
結局、集落を抜けて無我夢中で走ったところ、村を抜けて隣県に行着いた。国道を大きくまわって自宅に帰れたのは朝方であった。

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要塞

55 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/18(水) 08:25:08.40 ID:u1r0CsJ60
以前、俺が先生と慕っていた人の宝部屋の話。

事の始まりは、今から7年前。
怖いってよりは不思議な話なんで、スレ違いかもしれない。
しかも無駄に長くなりそうなんで面倒な人はスルーしてね。

あの頃の俺は、怖い者知らずの小学生だった。
当時、住んでいた土地は山と田んぼが広がるのんびりした所だったよ。
誰も家に鍵をせずに外出するようなさ、そんな大らかな所ね。

けど俺の場合は飛び跳ねててさ、学校の先生によく注意されたし、
親にはよく叱られたのを覚えてるよ。
それで当時、俺は同級生2人とつるんで、色々と問題起こしてた。
万引きこそはしなかったものの、色々とイタズラしては怒られてたよ。

それで本題なんだけど、同じ町内に面白い噂のある家が有った。
その家には離れがあってさ、その離れの二階は倉庫になってるんだ。
そして、その二階にはプラモや玩具が、大量に積まれてるって。
当時はガンプラが流行っててさ、一番欲しい時期だったな。
けど買いに行くには、隣街のショッピングセンターまで行くしか無かった。
なんせ、何も無い田舎町だからね。
それで俺達3人、その離れの家へ忍び込んでみようって話になった。
今思い出すとさ、これって立派な犯罪、本当に当時は怖い物なしだな。

当日、俺達は近くにある空き地に自転車を止めて、目的の離れの家に向かった。
距離にして20メートルくらいかな。
さすがに、自転車をその家の前に停めたままは、マズいからね。
その家に近づいてみると、母屋にも離れにも人の気配は無かった。
それで離れの家の方、ドアが一つあったんで素早く開けて中に。
ドアを開けると、すぐ目の前が階段でさ、そのまま俺達3人、昇っていったんだ。

56 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/18(水) 08:26:20.95 ID:u1r0CsJ60
登りきるとさ、目の前は宝の山!
当時、その2階は、まだ何も無い、建築途中の部屋だったんだ。
なんて言うのかな、後で聞いたら、20年前に1階だけ部屋を作ったんだけど、
2階はいつか作るってことで、長いこと放置されてた状態
下も壁も、木が剥き出しでさ、埃が溜まってた。
そんな中に、あるわ、あるわ、ガンプラの山!
正確には、ガンプラ以外のゾイドや玩具や古いプラモもたくさん有ったけど興味無いし。
それより、当時流行ってたガンプラを、3人で奪い合ったりしたよ。
つか、人様の物を奪い合うって、あの頃の俺達どうかしてたな。
結局さ、小学生の腕じゃ、そんなにたくさんの物を持てないし。
それでも一人3個くらい、大きな箱(MGクラス)を運び出して貰っていくことにしたんだ。
あんまりたくさん持っていったらマズイしな。
それで品定めしてるとさ、冷静になって思い出すんだが、その二階には他にも色々と有った。
うん、隅っこの方にさ、大きな、なんていうのかな?
本をしまっておく木の入れ物があったんだ。
しかしガンプラ目当ての俺達は、そんなものを軽く無視してた。
5分くらい品定めして、貰っていく物を3個決め、誰にも見つからず運び出したんだ。

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師匠シリーズ

葬祭

446 葬祭 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:33:26 ID:3rNkYIQb0
大学2年の夏休みに、知り合いの田舎へついて行った。
ぜひ一緒に来い、というのでそうしたのだが、電車とバスを乗り
継いで8時間もかかったのにはうんざりした。
知り合いというのは大学で出会ったオカルト好きの先輩で、俺は
師匠と呼んで畏敬したり小馬鹿にしたりしていた。
彼がニヤニヤしながら「来い」というのでは行かないわけにはいか
ない。
結局怖いものが見たいのだった。

県境の山の中にある小さな村で、標高が高く夏だというのに肌寒さ
すら感じる。
垣根に囲まれた平屋の家につくと、おばさんが出てきて「親戚だ」
と紹介された。
師匠はニコニコしていたが、その家の人たちからは妙にギクシャク
したものを感じて居心地が悪かった。
あてがわれた一室に荷物を降ろすと俺は師匠にそのあたりのことを
さりげなく聞いてみた。
すると彼は遠い親戚だから・・・というようなことを言っていたが
さらに問い詰めると白状した。
ほんとに遠かった。尻の座りが悪くなるほど。
遠い親戚でも、小さな子供が夏休みにやって来ると言えば田舎の
人は喜ぶのではないだろうか。
しかし、かつての子供はすでに大学生である。
ほとんど連絡も途絶えていた親戚の大人が友達をつれてやって来て、
泊めてくれというのでは向こうも気味が悪いだろう。
もちろん遠い血縁など、ここに居座るためのきっかけに過ぎない。
ようするに怖いものが見たいだけなのだった。

447 葬祭 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:35:11 ID:3rNkYIQb0
非常に、非常に、肩身の狭い思いをしながら俺はその家での生活
を送っていた。
家にいてもすることがないので、たいてい近くの沢に行ったり山道を
散策したりしてとにかく時間をつぶした。
師匠はというと、持って来ていた荷物の中の大学ノートとにらめっこ
していたかと思うと、ふらっと出て行って近所の家をいきなり訪ねて
はその家のお年寄りたちと何事か話し込んでいたりした。
俺は師匠のやり口を承知していたから、何も言わずただ待っていた。

二人いるその家の子供と、まだ一言も会話をしてないことを自嘲気味
に考えていた6日目の夜。
ようやく師匠が口を開いた。
「わかったわかった。ほんとうるさいなあ、もう教えるって」
6畳間の部屋の襖を閉めて、布団の上に胡坐をかくと声をひそめた。
「墓地埋葬法を知っているか」という。
ようするに土葬や鳥葬、風葬など土着の葬祭から、政府が管理する
火葬へとシフトさせるための法律だ、と師匠はいった。
「人の死を、習俗からとりあげたんだ」
この数日山をうろうろして墓がわりと新しいものばかりなのに気が
ついたか?と問われた。
気がつかなかった。確かに墓地は見はしたが・・・
「このあたりの集落はかつて一風変わった葬祭が行われていたらしい」
もちろん知っていてやって来たのだろう。
その上で何かを確認しに来たのだ。
ドキドキした。聞いたら後戻りできなくなる気がして。

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師匠シリーズ

田舎

326 田舎 中編  ◆oJUBn2VTGE ウニ New! 2007/08/23(木) 00:32:44 ID:pA3eqjtb0
そもそもの始まりは、大学1回生の秋に実に半端な長さの試験休みなるものがぽっこり出現したことによる。
その休みに、随分久しかった母方の田舎への帰省旅行を思いついたのだが、それがどういうわけか師匠、CoCoさん、京介さんという3人の先輩を引き連れての道ゆきとなってしまった。
楽しみではあったが、そこはかとない不安がどんよりと道の先にあるのを俺は見て見ぬ振りをしていたのだった。

駅まで迎えに来てくれた伯父の車は7人乗りだったが、助手席に伯父の家で飼っている柴犬が丸まって寝ていたので京介さんとCoCoさん、俺と師匠という並びでそれぞれ中部座席、後部座席に収まっていた。
俺としては、その柴犬がまだ生きていたことにまず驚いた。
耳の形に見覚えのある特徴があったので、その子供かと思ったのだが「リュウ」本人なのだという。20歳は確実に超えているはずだ。伯父にリュウの歳を聞くと、「忘れた」と言って笑うだけだった。
「こいつはドライブが好きでなあ、昔ゃよう連れてったもんじゃけんど、最近は全 然出たがらんなっちょったがよ。今日は珍しい」
京介さんが頷きながら手を伸ばし、前の座席で寝そべっているリュウのお尻のあたりを撫でる。リュウはちらっとだけ視線を向けて、また静かに目を閉じた。
車は快調に国道をとばしていた。
山間の道をひたすらに東へ進む。右手に川が現れて、ゴツゴツした巨大な岩が視界に入ってはすぐに後方へ飛び去っていった。

329 田舎 中編  ◆oJUBn2VTGE ウニ New! 2007/08/23(木) 00:34:41 ID:pA3eqjtb0
「なんちゃあないろう」
何もないところだろう。
そういう伯父の言葉には変に飾ったところも、卑屈なところもなく、気持ちが良かった。
CoCoさんが土地のことなどあれこれを聞き、京介さんもいつになく口が滑らかだった。
伯父が言った冗談に師匠がやたらウケて笑い声をあげ、その余韻で楽しそうに隣の俺の肩を叩きながら顔を寄せて、表情とまったく違う冷めた調子で「ところで」と言った。
「僕が今見ているものを、伝えてもいいか」
俺にしか聞こえないくらいの小さな囁き声に、いきなり冷水をかけられたような気分になった。
日差しの強かったはずの窓の外が急に暗くなり、国道のすぐ横を流れている川は闇に消えるように水面も見えなくなった。
そしてあたりから音が消え、車のフロントガラスの向こうには黒い霧が渦を巻いている。
やがて川沿いのガードレールのあたりに、凍りついたような青白い人の顔がいくつも並びはじめた。
暗くて首から下は見えない。顔だけがのっぺりと浮かび上がっている。男の顔もあれば女の顔もある。それも、大人が道路ぶちに立っているような高さのものもあれば、その半分の高さのもの、はるか見上げるような位置にあるもの、地面に落ちているもの、様々な顔が、しかしどれも無表情でこちらを見ているのだった。
そして無表情のまま、その顔たちはそれぞれ口を微かに開いている。
音もなく車の窓ガラス越しに視界は走り、手を伸ばせば届きそうな距離に、暗闇に浮かぶ顔がまるで上下にうねる様な連続体となって見えた。それぞれの口の形は、連続することによっていくつかの単語を脳裏に強制的に想起させようとしていた。