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犬・猫、動物

挨拶?

378 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/05(金) 15:19:43.63 ID:00OssVf80
投稿しようかな…全く怖くないんだけど俺の実体験の話。あ、先にどーでもいー流れ書き込むからつまらんと思ったら飛ばしてくれw

俺、猫飼ってるのね。
最初一匹だったんだけど、その子が子供産んじゃって5匹になったんだよ。お母さん含め♂3♀2。
もうそれがめちゃくちゃ可愛くてさ、みんなすくすく育ってった。
けど、引っ越しをきっかけに一番やんちゃなオス2匹が逃げちゃって…まぁしゃあないよな、って言ってたんだ。

んで引っ越し先で、ある日最後の♂の子がふらっと消えたんよ。まぁうちの育成方針で自由にお外出してあげてたんだけど、いつもはその日中に帰ってきてた。だからちょっと心配だったんだ。
んで、2日ぐらいたった時、帰ってきたんよね。
ただ違ったのが、いつもの赤トラの毛が真っ赤になってたことと、鳴き声にまったく元気がなかったこと。
足も引きずって、もう今にも死にそうな感じで。でも多分ここに帰ってきたくて必死に歩いてきたんだと思った。
もう家族みんな大騒ぎで、俺がすぐ病院連れてった。
まぁ応急処置してもらったけど、その次の日の夜に死んじゃった。
いい大人にもなって(俺高校だったけどw)大泣きして、最後ぐらいは家で迎えさせてあげたかったね…って言って。
んで、俺んち死んだペットとかを必ず庭に埋葬してあげるんだけど(ハムスターとかヒヨコとかザリガニは前の家でそうしてた)今回も最後まで一緒に…って言って庭に埋めてあげたんよ。

380 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/05(金) 15:31:36.60 ID:00OssVf80
んで、ここからが本題なんだけど。
その日の夜に、まぁ俺の部屋が二階で、ベッドで寝るんだけど、残った2匹の子と一緒にいつも寝るんよね。
で、俺の部屋で粗相されても困るから、襖を猫分ぐらい開けとくのね。
その日は、お母さんが股の間、最後の女の子が脇で一緒に寝てた。

夜中にふと目が覚めたんだけど、体が動かないんよ。金縛りってのは何度か経験したことあって(俺は筋肉の硬直だと信じてるし得に怪現象も起こらんかったし)いつものようにこころん中でうおおお!って言いながら動かそうとしてたんだけど、全く動かなくて。
おかしいな…と思って、どうしようかと思ってると、ふいに階段から何か上がってくる音がすんのよ。パタパタパタって。
速度からして明らかに人間じゃなかった。
んで、その気配が俺の部屋に入ってきたんよ。顔動かせないから見れんかったけど。
んで、その直後にドスン!って腹の上に乗っかってきた。
ちなみに猫はしっかり脇と股にいた。感覚はあったから。
うちの子じゃないって確信持って、怖くなってずっと固まってたよ。フーフー聞こえるし。
…まぁそれ以外には特になんもなく起きたら朝だった。ただ俺なんでか知らんけどめっちゃ泣いてた。

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予知・予言

予兆

655 本当にあった怖い名無し 2008/09/12(金) 15:01:44 ID:Gm20JAOhO
携帯からだから見づらかったらスマソ、前に別板でも書いたんだが数年前に実際体験した事。怖いというか不思議な話だが…

10月も後半のある日の夕方、私は仕事を終えて家で夕飯の手伝いをしていた。
その日の夕飯はトンカツ、私と母親は台所でくだらない世間話をしながら夕飯を作り、学校から帰っていた弟と妹、ばあちゃんはいつも通り居間でテレビを見てた。

夕飯ももうすぐ出来上がり、居間をかたづけろと私が居間に顔を出すと、突然居間から襖を挟んでとなりにある仏壇を置いてある部屋からガチャンガチャンと物凄い音が。
びっくりして襖を開けてみんなで仏様の部屋(ウチではそう呼んでる)を見ると、なんと額に入れて窓の上あたりに並べて飾ってあった筈の爺様や婆様らご先祖様の写真が一斉に落ちている。

その額は前に弟が室内でふざけていて、ボールをぶちあてて落として額を割ってしまってから、落ちない様にと針金と太めの釘で固定(?)していたのに、針金を留めていたまでがすっぽり抜けて畳みに転がっていた。
しかもひとつづつ固定してあるはずの額が全て一斉に落ちるなんて不思議だなぁなんておもいつつ、のん気な我が家の家族は割れた破片とかをみんなで掃除してた。

するとしばらくして、今度は家の前の電柱にとまっていた烏が一斉に鳴き出した。
カーカーとかじゃなく、もうギャアギャアみたいなすんごい声。
それに触発されたのか近所にいる飼い犬も一斉にほえだし、ウチの飼い犬(ヨークシャーテリア)も吠えだした。
でもその吠え方がちょっと変。
ウチの犬はヨーキーにしては珍しく普段からあまり吠えない子で、警戒心がないというか知らない人が来ても唸ったりとかする事は滅多にないし。
なのにその時の吠え方は「ヴー」と低く唸ったかと思えば、狂った様に吠えまくっていた。
落ち着かせ様と抱いてもまるで駄目で、ほかんチの犬も同じ様で10分ほどあたりはすんごいうるさかった(ウチの近所にはやたら犬がいるから)
流石に台所でトンカツを揚げていた母親もその手を止めてどうしたんだと居間に顔を出し、みんなで気味が悪いだの病院に行ったがいいんじゃないかと話していたら、五分後、ズズズと地鳴りみたいな音がしたかと思うと凄まじい衝撃が我が家を襲った。

後に中越地震と呼ばれる地震だった。

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師匠シリーズ

降霊実験

27 名前:降霊実験  1/9 投稿日:03/05/10 00:13
大学一年目のGWごろから僕はあるネット上のフォーラムによく顔を出していた。
地元のオカルト好きが集まる所で、深夜でも常に人がいて結構盛況だった。
梅雨も半ばというころにそこで「降霊実験」をしようという話が持ち上がった。
常連の人たちはもう何度かやっているそうで、オフでの交流もあるらしかった。
オカルトにはまりつつあった僕はなんとか仲間に入りたくて
「入れて入れて。いつでもフリー。超ひま」とアピールしまくってokがでた。
中心になっていたkokoさんという女性が彼女曰く霊媒体質なのだそうで、彼女が仲間を集めて降霊オフをよくやっていたそうである。

日にちが決まったが、都合がつく人が少なくてkoko みかっち 京介 僕
というメンバーになった。
人数は少ないが3人とも常連だったので、「いいっしょー?」
もちろん異存はなかったが、僕は新入りのくせにある人を連れて行きたくてうずうず
していた。
それは僕のサークルの先輩で僕のオカルト道の師匠であり、霊媒体質でこそないが
いわゆる「見える」人だった。
この人の凄さに心酔しつつあった僕はオフのメンバーに自慢したかったのだ。
しかし師匠に行こうと口説いても頑として首を縦に振らない。
めんどくさい。ばかばかしい。子守りなんぞできん。

僕はなんとか説得しようと詳しい説明をしていたら、kokoさんの名前を出した所で師匠の態度が変わった。

29 名前:降霊実験  2/9 投稿日:03/05/10 00:14
「やめとけ」というのである。
なぜですか、と驚くと「怖い目にあうぞ」
口振りからすると知っている人のようだったが、こっちは怖い目にあいたくて参加するのである。
「まあ、とにかく俺は行かん。何が起きてもしらんが、行きたきゃ行け」
師匠はそれ以上なにも教えてくれなかったが、師匠のお墨付きという、思わぬ所からのオフの楽しみが出てきた。

当日市内のファミレスで待ち合わせをした。
そこで夕食を食べながらオカルト談義に花を咲かせ、いい時間になったら会場であるkokoさんのマンションに移動という段取りだった。

kokoさんは綺麗な人だったが、抑揚のないしゃべり方といい気味の悪い印象をうけた。
みかっちさんはよく喋る女性で、kokoさんは時々それに相槌をこっくり打つという感じだ。

驚いたことに2人とも僕の大学の先輩だった。
「キョースケはバイトあるから、あとで直接ウチにくるよ」とkokoさんがいった。
僕はなんとなく恋人どうしなのかなあ、と思った。

そして夜の11時を回るころみかっちさんの車で3人でマンションに向かった。

30 名前:降霊実験  3/9 投稿日:03/05/10 00:14
京介さんからさらに遅れるという連絡が入り、もう始めようということになった。
僕は俄然ドキドキしはじめた。
kokoさんはマンションの一室を完全に目張りし、一切の光が入らないようにしていた。
こっくりさんなら何度もやったけれど、こんな本格的なものははじめてだ。
交霊実験ともいうが、降霊実験とはつまり霊を人体に降ろすのである。
真っ暗な部屋にはいると、ポッと蝋燭の火が灯った。
「では始めます」
kokoさんの表情から一切の感情らしきものが消えた。

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師匠シリーズ

葬祭

446 葬祭 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:33:26 ID:3rNkYIQb0
大学2年の夏休みに、知り合いの田舎へついて行った。
ぜひ一緒に来い、というのでそうしたのだが、電車とバスを乗り
継いで8時間もかかったのにはうんざりした。
知り合いというのは大学で出会ったオカルト好きの先輩で、俺は
師匠と呼んで畏敬したり小馬鹿にしたりしていた。
彼がニヤニヤしながら「来い」というのでは行かないわけにはいか
ない。
結局怖いものが見たいのだった。

県境の山の中にある小さな村で、標高が高く夏だというのに肌寒さ
すら感じる。
垣根に囲まれた平屋の家につくと、おばさんが出てきて「親戚だ」
と紹介された。
師匠はニコニコしていたが、その家の人たちからは妙にギクシャク
したものを感じて居心地が悪かった。
あてがわれた一室に荷物を降ろすと俺は師匠にそのあたりのことを
さりげなく聞いてみた。
すると彼は遠い親戚だから・・・というようなことを言っていたが
さらに問い詰めると白状した。
ほんとに遠かった。尻の座りが悪くなるほど。
遠い親戚でも、小さな子供が夏休みにやって来ると言えば田舎の
人は喜ぶのではないだろうか。
しかし、かつての子供はすでに大学生である。
ほとんど連絡も途絶えていた親戚の大人が友達をつれてやって来て、
泊めてくれというのでは向こうも気味が悪いだろう。
もちろん遠い血縁など、ここに居座るためのきっかけに過ぎない。
ようするに怖いものが見たいだけなのだった。

447 葬祭 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:35:11 ID:3rNkYIQb0
非常に、非常に、肩身の狭い思いをしながら俺はその家での生活
を送っていた。
家にいてもすることがないので、たいてい近くの沢に行ったり山道を
散策したりしてとにかく時間をつぶした。
師匠はというと、持って来ていた荷物の中の大学ノートとにらめっこ
していたかと思うと、ふらっと出て行って近所の家をいきなり訪ねて
はその家のお年寄りたちと何事か話し込んでいたりした。
俺は師匠のやり口を承知していたから、何も言わずただ待っていた。

二人いるその家の子供と、まだ一言も会話をしてないことを自嘲気味
に考えていた6日目の夜。
ようやく師匠が口を開いた。
「わかったわかった。ほんとうるさいなあ、もう教えるって」
6畳間の部屋の襖を閉めて、布団の上に胡坐をかくと声をひそめた。
「墓地埋葬法を知っているか」という。
ようするに土葬や鳥葬、風葬など土着の葬祭から、政府が管理する
火葬へとシフトさせるための法律だ、と師匠はいった。
「人の死を、習俗からとりあげたんだ」
この数日山をうろうろして墓がわりと新しいものばかりなのに気が
ついたか?と問われた。
気がつかなかった。確かに墓地は見はしたが・・・
「このあたりの集落はかつて一風変わった葬祭が行われていたらしい」
もちろん知っていてやって来たのだろう。
その上で何かを確認しに来たのだ。
ドキドキした。聞いたら後戻りできなくなる気がして。

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師匠シリーズ

田舎

326 田舎 中編  ◆oJUBn2VTGE ウニ New! 2007/08/23(木) 00:32:44 ID:pA3eqjtb0
そもそもの始まりは、大学1回生の秋に実に半端な長さの試験休みなるものがぽっこり出現したことによる。
その休みに、随分久しかった母方の田舎への帰省旅行を思いついたのだが、それがどういうわけか師匠、CoCoさん、京介さんという3人の先輩を引き連れての道ゆきとなってしまった。
楽しみではあったが、そこはかとない不安がどんよりと道の先にあるのを俺は見て見ぬ振りをしていたのだった。

駅まで迎えに来てくれた伯父の車は7人乗りだったが、助手席に伯父の家で飼っている柴犬が丸まって寝ていたので京介さんとCoCoさん、俺と師匠という並びでそれぞれ中部座席、後部座席に収まっていた。
俺としては、その柴犬がまだ生きていたことにまず驚いた。
耳の形に見覚えのある特徴があったので、その子供かと思ったのだが「リュウ」本人なのだという。20歳は確実に超えているはずだ。伯父にリュウの歳を聞くと、「忘れた」と言って笑うだけだった。
「こいつはドライブが好きでなあ、昔ゃよう連れてったもんじゃけんど、最近は全 然出たがらんなっちょったがよ。今日は珍しい」
京介さんが頷きながら手を伸ばし、前の座席で寝そべっているリュウのお尻のあたりを撫でる。リュウはちらっとだけ視線を向けて、また静かに目を閉じた。
車は快調に国道をとばしていた。
山間の道をひたすらに東へ進む。右手に川が現れて、ゴツゴツした巨大な岩が視界に入ってはすぐに後方へ飛び去っていった。

329 田舎 中編  ◆oJUBn2VTGE ウニ New! 2007/08/23(木) 00:34:41 ID:pA3eqjtb0
「なんちゃあないろう」
何もないところだろう。
そういう伯父の言葉には変に飾ったところも、卑屈なところもなく、気持ちが良かった。
CoCoさんが土地のことなどあれこれを聞き、京介さんもいつになく口が滑らかだった。
伯父が言った冗談に師匠がやたらウケて笑い声をあげ、その余韻で楽しそうに隣の俺の肩を叩きながら顔を寄せて、表情とまったく違う冷めた調子で「ところで」と言った。
「僕が今見ているものを、伝えてもいいか」
俺にしか聞こえないくらいの小さな囁き声に、いきなり冷水をかけられたような気分になった。
日差しの強かったはずの窓の外が急に暗くなり、国道のすぐ横を流れている川は闇に消えるように水面も見えなくなった。
そしてあたりから音が消え、車のフロントガラスの向こうには黒い霧が渦を巻いている。
やがて川沿いのガードレールのあたりに、凍りついたような青白い人の顔がいくつも並びはじめた。
暗くて首から下は見えない。顔だけがのっぺりと浮かび上がっている。男の顔もあれば女の顔もある。それも、大人が道路ぶちに立っているような高さのものもあれば、その半分の高さのもの、はるか見上げるような位置にあるもの、地面に落ちているもの、様々な顔が、しかしどれも無表情でこちらを見ているのだった。
そして無表情のまま、その顔たちはそれぞれ口を微かに開いている。
音もなく車の窓ガラス越しに視界は走り、手を伸ばせば届きそうな距離に、暗闇に浮かぶ顔がまるで上下にうねる様な連続体となって見えた。それぞれの口の形は、連続することによっていくつかの単語を脳裏に強制的に想起させようとしていた。

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師匠シリーズ

古い家

244 師匠コピペ1 sage 2008/06/29(日) 12:30:32 ID:vtxXJwJU0
534 古い家   ◆oJUBn2VTGE ウニ New! 2008/06/29(日) 00:01:09 ID:quV+YcYD0
聞いた話である。

「面白い話を仕入れたよ」
師匠は声を顰めてそう言った。
僕のオカルト道の師匠だ。面白い話、などというものは額面どおり受け取ってはな
らない。
「県境の町に、古い商家の跡があってね。廃墟同然だけど、まだ建物は残ってるん
 だ。誰が所有してるのかわからないけど、取り壊しもせずに放置されてる。誰も
 住んでいないはずのその家から夜中、この世のものとは思えない呻き声が聞こえ
 るっていう噂が立ってね。怖がって地元の人は誰も近寄らない。どう、興味ある?」
大学2回生の夏だった。
興味があるのないのというハナシではない。ただその時の僕は、(ああ、今回は遠
出か)と思っただけだ。
その夏は、1年前の夏と同様にいやそれ以上に、怖いもの、恐ろしいものにむやみ
やたらと近づく毎日だった。
その日常はなだらかに下る斜面の様に狂っていた。普通の人には触れられない奇怪
な世界を垣間見て、恐ろしい思いをするたびに、目に見えない鍵を渡されたような
気がした。その鍵は一体どんな扉を開けるものなのかも分からない。使うべき時も
分からないまま、鍵だけが溜まっていった。僕はそれを持て余して、ひたすら街を、
山を、森を、道を、そして人の作った暗闇をうろついた。その日々は頭のどこか大
事な部分を麻痺させて、正常と異常の境をあいまいにする。
どこか現実感のない、まるで水槽の中にいるような夏だった。

ゴトゴトと軽四の助手席で揺られ、僕は窓の向こうの景色を見ていた。
師匠の家を夕方に出発したのであるが、今はすっかり日が暮れ、そそり立つ山々が
黒い巨人のような影となって不気味な連なりを見せている。

245 師匠コピペ2 sage 2008/06/29(日) 12:31:33 ID:vtxXJwJU0

535 古い家   ◆oJUBn2VTGE ウニ New! 2008/06/29(日) 00:08:52 ID:9x5Yw4U+0
最後にコンビニを見てからどれくらいだろうか。
寂れた田舎の道は曲がりくねり、山あいの畑の向こう側に時々民家の明かりが見え
るだけで、あとは思い出したように現れる心細い街灯の光ばかりだ。
カーステレオはさっきから稲川順二の怪談話ばかりを囁いている。時々師匠がクス
リと笑う。僕はその横顔を見る。
ハンドルを握ったまま、ふいに師匠がこちらを向いて言った。
「こないだ、くだんを見たよ」
え? と聞き返したが彼女は繰り返してくれなかった。代わりにぷいと視線を逸ら
して、「やっぱ鈍感なやつには教えない」と言った。
なんだか釈然としない思いだけが残ったが、師匠の言動は解釈がつくものばかりで
はない。
気がつくと道が広くなり、山が少し遠くへ退いて見える。
道の傍の防災柱が目に入ると、時を置かずに農協の看板が現れた。ポツリポツリと
民家や、小さな公共施設が見え始める。
「この辺に停めよう」と言って、師匠は土建会社の資材置き場のようなスペースに
車を乗り入れて、エンジンを切った。
人気はまったくない。師匠はダッシュボードから懐中電灯を取り出して、手元を照
らす。手描きの地図のようだ。
「こっち」
バタンとドアを閉めながら師匠は歩き出した。僕は後ろをついていく。
死んだように静まりかえる古い田舎町の中を進むあいだ、動くものの影すら見なか
った。懐中電灯に照らし出された道には時々なにかの標語が書かれた看板が見え、
どこか遠くでギャアギャアと鳴く鳥の声ばかりが間を持たせるように聞こえて来る。
腕時計を見ると、まだ深夜12時にもなっていない。ここでは僕らが知るそれより
も夜が長いのだ、と感じた。