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猿

母方の伯母の家が山陰の山奥にあって小2時に長期滞在してた。
伯母といっても長女、母は末娘で親子ほどの歳の差。
その伯母から「裏の畑にはたまに猿が降りてくるけど、トマトとか食べてても目を合わせちゃいけない」と言われた。
襲ってくるんだと。でもし見かけたらこの一斗缶を叩け!と井戸端にぶら下がってた一斗缶を示された。
ある昼下がり、昼寝からふと目を覚まして外の便所小屋に行こうとすると、いた。俺寝ぼけてたので「あ、猿だ」とじっと見ちまった。
こっち向いたそいつと10m位の距離でにらめっこみたいになって、やべっと思った瞬間に襲ってきた。
真っ黄色な牙をむき出しにしてなんか叫んでた。襲われる!って思ったら次の瞬間なぜか弾け飛んだ。
贓物が凄く獣臭かった。
わけわからずに泣きだしたら、伯母さん(ばあちゃんて呼んでた。
実の祖母は母が幼い頃に亡くなってて伯母さんが母の母代わり)も
昼寝から起きてきて、泣いてる俺の目に両手を当てて目隠しして、そのまま井戸端に連れてかれて、服着たままで井戸水浴びせられて
「じとってろ!」みたいな事言われて、そこにあった大きな山刀で体中の皮膚の上を撫ぜられた。
あれなんだったのか。
おやつに採れたての玉蜀黍食べた。甘くて美味しかったけど、皮向いたら実と皮の間に猿の歯が飛んで挟まってた。

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逆さの樵面

836 1/12 sage 2005/12/11(日) 20:07:10 ID:CUnu3Rn40
私が生まれる前の話なので、直接見聞きしたことではなく、その点では私の想像で補ってしまう分もあることを先に申しておきます。

それから地名、人名等は仮名としました。
もったいぶった始め方ですが、この話の終わりには家の戸口に影が立つこともあるかも知れません・・・

私の生まれた村はつい先日合併によって閉村し、別の名前の町に生まれ変わりました。
しかし千羽神楽の名は残っています。

室町時代から脈々と続くこの夜神楽は、かつて村の4つの家によって継承されてきました。
稲には実りを、また山には厳しい寒さをもたらす神々を、歓待し楽しませるための舞を踊るのです。

村にある神社を1年間で順繰りに回り、氏子たちが見守る中で夜が更けるまで舞い続けます。
舞うのは4つの家の太夫と、かつては決まっていたようですが現在では1家を除いて家筋の消息が不明となり、若者不足も重なって舞太夫には誰でもなれるようになっています。

もともと4家に神楽を伝えたのは熊野より落着した日野家であると、資料にはあります。
当主であった日野草四郎篤矩がそのとき持参したといわれる神楽面が、のちに村の家々の戸口に影を立たせることになるのです。

837 2/12 sage 2005/12/11(日) 20:09:57 ID:CUnu3Rn40
千羽神楽では素面の舞もありますが、面をつけての舞がほとんどです。
神楽面は舞太夫が人から人外のものへと変わるための装置であり、衣装を合わせ面をつけた時、それは太夫ではなく鬼神や魔物そのものが舞っているものとして認識されます。

そのため、神社の中とはいえ人の領域の内に鬼神を招くための結界として、はじめに注連縄が張られるのです。
受け継がれてきた古い面には力があり、けして粗末な扱いをしてはならないとされています。

江戸中期に記された『千羽山譚』には、「特に翁の面は怪力を持ち他の面と同じ行李に入れていては、他の面を食い破る」という不気味なことが書かれており、現在も神楽面の中で唯一翁面だけが竹で編んだ小さな行李に単独で保管されています。
私の父はこの翁面の舞手でしたが、いつもこの面を着けるときだけは
手に汗が浮くと言っていました。

さて、室町時代より500年にも亘って続く千羽神楽ですが、その長い歴史の中で演目が亡失するということもあったようです。
千羽郷に赴任された役人の古河伝介が記したという『千羽山譚』や、その他の旧資料に現れる神楽の記述によると、もう舞われなくなっている4つの舞があることがわかります。

このいずれも、面も祭文も残っておらず、資料の挿絵によって衣装が辛うじてわかるくらいでした。
ことの発端は、この失われた舞が復活する次第よりはじまるのです。

838 3/12 sage 2005/12/11(日) 20:12:06 ID:CUnu3Rn40
大正11年の5月11日、神楽面が出て来たという通報が村役場にありました。
高橋家という旧家の土蔵より、幾ばくかの資料とともに2つの神楽面が発見されたというのです。
高橋家はかつて数代にわたって神楽の座長を務めたといわれており、何代か前にあとを襲う男児に恵まれなかった折に養子を招き、神楽からは離れていったようです。

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輪廻

寒さで凍える夜・・・
午前零時過ぎ・・・
新宿歌舞伎町のスタンドバー。
私は仲の良いH刑事に、

「何かいいネタはないか」

と取材中だった。
当時、監修を任されていたTBS連続ドラマ『私、味方です(館ひろし主演)』の監修に役立てるためだ。
話が弾んでいたころ、彼のポケットベルが鳴った。
新宿署と連絡をとった彼が、

「今、コロシがあった。ゲンバは目と鼻の先だ。行くか?」

と。
私はこれまでにも幾度となく彼が遭遇する事件に首を突っ込んできた。
断るはずがない。

新宿区百人町二丁目、Pデンス。
表玄関からエレベーターホールにかけて血が滴り、引きずった跡がある。

『犯人は死体を運んでいる!いったいどういうことだ』

ガイシャ(被害者)の部屋のドアの前で、ひどく取り乱したパジャマ姿の中年女性が、若い巡査に向かってギャーギャー叫んでいた。
殺人現場独特の光景だ。
H刑事を見た巡査は、軽く会釈をして

「殺害されたのは、独り住まいの若い女性です」

と告げた。
六畳のワンルーム、ドアを開けてすぐに血溜まりがあり、彼が踏み込んだ途端、

「ピチャッ」

といやな音がした。
続けて私も入る。
白い壁や天井には、おびただしい量の血しぶき。
まるで血の塊をぶつけたようだ。
まだ乾いておらず、犯行があって間もないことを物語っていた。
しかも、玄関に脱ぎ捨てられたハイヒールの中に、脳みそらしい塊が飛んでいる。
いったいどんな殺し方をしたのか!
やはり死体はなかったが、大きなハンマーが転がっていた。
血をたっぷり吸ったらしく、犯人が握っていた柄の部分以外は、べっとりと赤く光っている。
H刑事に小声で

「下に降りています」

と伝え、階段を駆け下りた。
私は探偵(一般人)だから、彼の同僚が来る前に現場から離れておかないと、迷惑がかかる。
それに、一刻も早く、エレベーターホールから玄関へと続く血の行方を知りたかった。
滴る血は、歩道へと続き、車道でピタリと消えている。
犯人は車に死体を積んで逃走したらしい。

H刑事が初老の男性と一緒にマンションから出て来た。
目撃者だ。
彼の話によると、

「ギャーッ」

という悲鳴が聞こえたので自室のドアの覗き穴から見たところ、ガイシャの部屋のドアの前に女性が立っていた。
異様なくらい髪の長い女だ。
しばらくすると、若い男が、何やら大きな袋を引き摺って出てきた。
不審に思った彼は、アベックがエレベーターに乗ったのを見て、階段で下に降り、車にその袋を積むところやナンバープレートをしっかり記憶したという。

はじめは怨恨による殺人事件かと思ったが、殺り方がずさんすぎる。
人に出くわす可能性の高いエレベーターで死体を運ぶというのは、目撃されることすら恐れていないことを意味している。
私はH刑事に聞いた。

「手配は?」

「しないよ。この手のホシ(犯人)は、下手に手配して追い詰めると、興奮してまた殺しをやるかもしれない。先に身元を割り出して迎え(逮捕)に行くよ。たぶん、精神異常者の犯行だろう。逃げも隠れもしていないはずだ」

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選り分け

571 本当にあった怖い名無し 2005/09/07(水) 20:09:01 ID:6fyfbR2z0
この話は自己責任でお願いします。

大正時代,昭和初期と鉄工所の景気が非常に良かったそうだ。
或る町にやはりそれなりの景気を誇る鉄工所があった。
何代か続いたけど,時流に取り残されて潰れてしまった。
経営者である男は負債を整理していたが,結局売れるものを
全て売っても負債は片付かなかった。

責任感の強かった男は,わが子を里子に出してでも
返すべき金を返そうと考えた。
結局,男はまだ幼い一人娘をG県某村に里子にだした。
里子に出された女の子はさつきちゃんと言う。
さつきちゃんはまだ11歳で,お嬢様として育てられた。
里親は彼女を奴隷のように扱い,とことんこき使ったが
お嬢様育ちのさつきちゃんがまともに働けるわけはない。
彼女にとって辛い日常が続いた。
少しずつ仕事も覚え,村での生活に少し慣れてきたのが
里子に出されてから3年後。さつきちゃんが14の頃だった。
慣れかけてきた生活が,ある日を境に地獄に変わった。

572 本当にあった怖い名無し 2005/09/07(水) 20:10:55 ID:6fyfbR2z0
或る晩,彼女は夜這いを掛けられた。もちろん処女だった。
彼女は恐怖と絶望を感じ,自ら命を絶とうと考えた。
が,すこし考えた。
「このまま死んでしまっても,私が生きた証はなにも残らない。」
彼女はなにか一つのことをやり遂げてから命を絶とうと考えた。
が,毎日の労働もあり,彼女に許された自由は「考えること」
だけだった。その自由の中でなにかをやり遂げなくてはならない。
彼女は今まで自分が会った人々を「感謝する人」「恨む人」
にわけるという作業を,「なにか一つのこと」に選んだ。
一日一人ずつ「感謝する人」「恨む人」を決めていく。
自分が今まで出会った人全てを振り分けたとき,
命を絶とうと決めたのだ。
果たしてそれを実行していく。
が,彼女は昔お嬢様として育てられた。社交界にも通じていたので
今までに会った人の数が果てしなく多い。
最初は地道に続けていたが,次第に考えなくなる日が多くなった。

573 本当にあった怖い名無し 2005/09/07(水) 20:11:33 ID:6fyfbR2z0
結局彼女は自分が決めたことを完遂することなく生き続けた。
そしてあの日から4年経った18歳の頃,彼女にもようやく幸せが訪れた。
恋に落ちたのだ。
隣の家に住む青年で,年は21歳。マジメで誠実と知れた人物だった。
さつきちゃんの労働態度は極めてマジメだったため,この頃には里親にも
非常に気に入ってもらっていた。ふたりとも近所での評判もよかったので,
結婚することが許された。そしてさつきちゃんが18の頃,二人は結婚した。
ようやくさつきちゃんにも幸せが訪れた。
そして新婚初夜を迎えた。
さつきちゃんはそこで見てはいけないものを見た。
旦那となる男の背中には,4年前にさつきちゃんがつけた傷跡がある。
そう,夜這いを掛けて彼女に死を覚悟させたのは他でもないこの男だったのだ。

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監視小屋

313 名前:監視小屋 投稿日:01/09/23 02:37
私の通っていた高校は築120年という気合の入りようでした。
改築が繰り返された校舎は、素人目に見ても奇妙としか言いようの無い形に湾曲しています。
今では珍しくなった平屋であるにも関わらず階段があり、廊下のどん詰まりの壁際際から天井に向かって伸びています。
そのほかにも玄関を入ってすぐにある音楽室や、ドアが埋め込まれて立ち入れなくなった教室。
(外から見るとベニヤ板で物々しく目張りされています)
その中でも奇妙極まりないのは「監視小屋」なるものがあるということです。
私は遠方から通っていた為、時々地元の友人の家や先生の社宅に宿泊させてもらうことがあったんですが、たまたま泊めてもらえるあてがなかったその日、「監視小屋」に泊まることにしました。監視小屋は一見、ただの民家のようです。 八畳一部屋で古い型の電話、小さな台所があります。

そしてここがなぜ「監視小屋」と呼ばれているのか、私はその晩、身をもって知るに至ったのです。
小屋には私のほかにもう独りの友人が一緒に泊まることになっていて、私たちは修学旅行ののりではしゃぎながら布団を敷いたりしていました。
夕食を取りながら談笑しているとき、突然電話が鳴りました。 何事かとびくつきながらも電話に出ると用務員のおじさんで、
女子生徒二人と言うこともあって心配してくれているようでした。 はしゃぎ過ぎないように色々と注意を促され、電話を切ろうとすると
「あぁ、忘れていたけど・・・西側の窓のカーテンは必ず閉めて寝なさい」とのこと。
そのときは「はぁい」と生返事で電話を切ったのですが、よくよく考えると意味がよくわかりません。学校の裏手にあたる墓地はその方向ではないのに、
おかしいねと話しながら友人は何の気なしにそのカーテンを開けました。
そこには麻縄で禍々しく祭られた、古びた井戸がありました。

314 名前:監視小屋2 投稿日:01/09/23 02:39
丁度コの字型になった校舎と小屋に阻まれていて、今まで目にする機会の無かったものだったのに一瞬ゾクリと悪寒が走りました。
「なんか気持ち悪いね」などと言いながら、私たちは一つの布団にくっつくようにして晩は眠りについたのです。
どれくらい眠ったのか・・・私は肩口の寒さに身体を震わせて目を覚ましました。
ふと見ると友人の姿がありません。小屋にはトイレがなかったので、教員寮の方に借りに行ったのかと思い、
しばらく待ってみましたが戻ってきません。
ドアを開けて外の様子を伺ってみましたが、校舎のほうからも教員寮からも戻ってくる気配はありません。 「何処行ったんだろう・・」
と不安に駆られながら部屋に戻った私は、本当に何気ない気持ちで先の窓のカーテンを開けてみました。
下着姿の友人は、井戸の側にいました。
そして腰の辺りに手をやってゴソゴソしています。 「なぁんだ、裏で用を足すつもりなのか」と呆れながらカーテンを閉めかけた私は、
ふと奇妙な感覚に囚われてもう一度井戸の方に目を向けて声を上げそうになりました。
ゴソゴソしていたと思っていたのは、腰に縄を巻きつけていたのだと気づきました。
そして今はしゃがみこんで縄の先に大きな石を括りつけています。
私は声も出ませんでした。すると今度は井戸からぬるりと白い手が伸びてきたのです。
手は何かを探るように蠢いて、やがて近くの麻縄を掴みました。 友人は深く頭を垂れて項垂れ、最早何の反応も示しません。
縄を掴んだ手はずるりずるりと石を手繰り寄せていきます。私は夢中で叫んだつもりでしたが、声が出ませんでした。

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井戸を埋める儀式

744 本当にあった怖い名無し 2008/01/18(金) 11:49:51 ID:JNEX9MCi0
東京のS区に住んでいたんだけど、私の近所からわずかにN区に入ったところに小さな商店街があった。
そこの商店街にはその昔、長屋があって、井戸が使われないまま放置されていたんだ。
その長屋を壊した際に、その井戸を埋めたんだけど、そのために不吉な噂が流れた。
いや、実のところ、この噂は、最初の事件の発生以後に聞いたものかもしれない。
なにぶん、小さい頃の話しなので、時間に基づく順序が少しあいまいなんだ。
そうそう、最初の事件。これは悪魔的というか、確かに、迷信じみた噂を喚起するに足るものだと思う。

745 本当にあった怖い名無し sage 2008/01/18(金) 11:54:23 ID:WdsMbP2m0
なんで井戸を埋めると不吉な噂がながれるの?

747 本当にあった怖い名無し sage 2008/01/18(金) 12:12:18 ID:60B/rfJP0
井戸をただ埋めるのはいけない。
知っている家は、神社に頼んで祈祷をして、お供え物いっぱいしてから
手順(があるらしい)通りに埋めた。
(多分、神様に帰って貰うんだと思うと言っていた気がする)

それをやらないと神様が怒るそうだよ。

749 本当にあった怖い名無し 2008/01/18(金) 12:36:22 ID:JNEX9MCi0

その長屋を壊した後に、和菓子屋がそこにできた。できる予定だったというべきかもしれない。
和菓子屋は開店せずして閉店してしまったんだ。どういうことかというと、
和菓子屋の主人は開店当日の早朝に亡くなってしまったんだ。ガス中毒死と聞いているけれど、
脳卒中とも聞いたことがある。本当の死因は知らないけれど、多くの人はガス中毒死だと考えている。
ガス中毒死だと言う人によれば、和菓子を作る際にガス器具を使うのだけれど、
何らかの理由でガス漏れが発生し、死んでしまったそうだ。
現在では都市ガスで死ぬことはないと聞いているけれど、
和菓子屋の主人が和菓子づくりに都市ガスを使用していたかどうかは分からない。

ともかくも、突然に店主が死に、経営が断念されたことは確かだった。
夫婦で始めようとしていた店で、和菓子職人の主人がなくなってしまったので、
奥さんは、開店をあきらめたのだと思う。結局、一度も商品を売ることなく、店は閉じたままとなった。

752 本当にあった怖い名無し 2008/01/18(金) 13:14:40 ID:JNEX9MCi0
749の続き

ところで、井戸の噂だけれど、少なくとも、その事件の後には確実に広まっていた。
特に、商店街の商店経営者は気にしていたらしい。店を始めようとしていた商店街の新入りが、
まさに開店直前になくなったのだから、当然、気持ちが悪い。
それに、悪い噂が商売に悪影響を及ぼしかねないと思う。