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洒落怖

目を瞑ると

ふと思い出したから個人的に洒落にならなかった話を一つ。

目を瞑りながら歩いていると、無いと頭で分かってても目の前に壁があるような錯覚に陥って「うおっ」って立ち止まり目を開けてしまうよな?

小学三年生の時の話になるが、夏休み前って記憶があるから七月だと思う。
休み時間……正確には、登校直後の朝礼を待つまでの時間だった気がする、朝から元気に「大発見をした」って騒いでたやつが居たんだ。
そいつは男子で、ちょっと知恵遅れ気味……というか学年に対して精神年齢が低い生徒だったんだが、彼の話を聞く所によると、その大発見というのは、
「人気が無くて広い場所で(上記の目を瞑って歩く遊び)をしたら、異世界に行けた」
というものだった。

229 本当にあった怖い名無し sage 2012/07/27(金) 23:50:11.86 ID:wS906Mh+0
「自分が『(錯覚だとわかっていても)壁に近い……当たる!』と思ったタイミングで本当に壁に当たったような衝撃を受け、
それでも目を開けずに歩き続けたら、空が赤くて、誰も居ない場所に行ってた」
「夕方だった筈なのに、学校前の通りまで行っても車の通り一つ無かった」
「突然眠くなって、気が付いたら元の場所で寝ていた、そうして異世界から帰って来られた」
と興奮気味に事の顛末を語る彼だったが、前述した通り、彼はちょっと頭のおかしい子、という認識がクラス内に浸透していたから、
真に受けた様子の生徒は誰一人として見受けられなかったのを記憶してる。
学年が学年だし、言っていたのが彼でなければ、ちゃんと話を聞いた生徒の一人や二人居たとは思うが……。
まあこのスレの住人なら次の展開が読めたと思うが、その通り、彼は数日後に行方不明になった。

230 本当にあった怖い名無し sage 2012/07/27(金) 23:51:16.45 ID:wS906Mh+0
これは、当時の俺にとって、洒落にならないほど怖かったんだ。
何故なら、その「目を瞑って歩く遊び」は、俺達の学年でちょっとしたブームだったんだ。
即興の肝試しというか、スリルを味わったり、仲間のチキンさをからかったりするような遊び方をしていた気がする。
ともかく、もし万が一、その遊びの最中に、行方不明になったあいつみたいに自分も異世界に飛ばされて戻れなくなったら、
みたいな想像をして、死ぬほど恐怖した記憶が鮮烈に残ってる。
そう恐怖したのは俺だけじゃなかったようで、その遊びはけっこう流行っていたにも関わらず、
彼の行方不明が知れ渡ってすぐに俺達のクラスではその遊びがぱたりと止んだし、他のクラスにもその波は瞬く間に広がっていった。

231 本当にあった怖い名無し sage 2012/07/27(金) 23:52:38.91 ID:wS906Mh+0
ただ、彼は俺達の予想に反して生還した。
五日か一週間経ったごろだったと思う、近所の森で気を失っていたのを保護されたとか、そういう話だった筈。
しかし、保護される前と後では彼の人格というか様子が随分と違っていた。
保護される前では、どうでもいいことでもいちいち騒いだり爆笑するような、所謂”空気を読めない”やつだったんだが、保護された後では、
口数も少なく、上の空というか、常に宙を見つめているようなやつになっていた。
端から見て相当不気味で、夏休みになるまで、それまで以上に彼に話し掛ける生徒は少なくなっていたと思う。
そして、夏休みが開けて久しぶりの登校で、彼の転校が担任から告げられた。
家庭の事情と担任は話していたが、クラスの誰もが「彼の行方不明」が転校に起因している、と確信していたように思う。

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洒落怖

廃屋

776 名前:punyu 投稿日:2000/09/13(水) 13:50
友達の姉(仮名 H子)がしてくれた話し。本人の体験談とのこと。
長いので、分割します。怖くなかったらごめん。

ある夜、友達と三人で市内の高級住宅地にある不気味な廃屋に行くことになった。
そこは小高い山の中腹にあって、廃屋とはいっても実際は超高級な一戸建だ。

ただ噂によると、そこでは以前、家族内での惨殺事件があったらしい。(真偽不明)
懐中電灯を片手に、三人で家に入ってみた。
多分噂を聞きつけて探検しにきた同じような連中のしわざだろう、中は荒れ放題。
怖々広い家の中を歩いていると、かなり妙な間取りだということに気づいた。
「金持ちの考えることだから、わたしたち凡人のセンスじゃ解らないんだろう」
そう思った。キッチンをほぼ中心として、それぞれ部屋や浴室が割り振られている。
が、浴室に入ってみると、反対側(つまり入り口の向かい)にもドアがあり、
その奥には普通の和室があったりした。

>>>>>>続く

777 名前:punyu 投稿日:2000/09/13(水) 13:51
>>>>>>続き

問題は、その和室だった。
懐中電灯で照らされたその部屋の四方の壁という壁には、筆字の走り書きで、
お経らしきモノがビッシリと書き込まれていたのだ。
まるで耳無し法一の体に書き込まれた経典のように、殆ど隙間なく。
それにおののいた彼女達は、叫び声を挙げながらその場から逃げようとした。
しかしその時、一人が持っていた懐中電灯が落ちてしまった。
その懐中電灯の明かりの下には、黒ずんだ巨大なシミが広がり、その周りでは
黒点がまるで這うように飛び散っている。
彼女たちは恐怖のあまり混乱し、足がすくんだまま動けなくなった。
すると頭の中で、低くて太い、そして頭を振動させるくらいの声らしきものが
聞こえてくるのだ。『・・・き、聞こえる?』『・・・・○ちゃんも?』
お互いうなづき合う三人。心臓が胸を突き破って出てくる程の恐怖の中
必死で懐中電灯を拾い、そこまで来た経路を引き返し逃げた。走って、走って・・・。
やっとのことで、車までたどり着いた。
そのままそれぞれの家に帰るのが怖かった三人は、H子の自宅に寄ることにした。
なんとか気を紛らしたかった彼女たちは、しきりに今し方見てきたものを
「誰かがいたづらで書いたり、塗ったりしたもの」にしようと、夢中で笑い合った。
そうすることでなんとか気持の高ぶりを押さえた彼女たちは、すっかり朝になって
から、やっとそれぞれの自宅で眠りについた。>>>>>>続く

778 名前:punyu 投稿日:2000/09/13(水) 13:53
>>>>>>続き

H子の部屋は、妹の部屋の隣にある。
H子が眠ってしばらくすると、階下の家族も隣の妹も起き出している様子だった。
なかなか熟睡とまでは行かなかったH子は、家族のざわめく音をなんとなく聞いていた。
それからどれぐらい時間がたったのだろうか。H子は暗くなった部屋の中で目を覚ました。
良く寝た…と伸びのひとつでもしたかったのだが、体が動かない。
目だけは開いたまま、金縛りになってしまっているようだ。
金縛りは初めてではなかったので、怖いとは思いながらも時間が経てば解けると思った。
でも、全く解けて行かない。瞬きもできなくなってきた。鼓動が鼓膜を震わせる。
H子は夕べの出来事を思い出していた。いや、無理矢理にでも脳裏に浮かんでくるのだ。
手足が冷たくなっていくのが、自分でも良く解る。
声を出そうにも、唇は動くのだが舌が喉の奥で縮こまり、息も酷く苦しい。
心臓の音が一度打つたびに、視界にあの部屋で見た筆書きの経が飛び込んでくる。
やめて・・・・やめてやめて!心の中で叫ぶH子。やがて・・・・
『怖い!』彼女の口がそう叫んだ。
いや、確かに叫んだはずだ。口が動いたのが自分では良く解ったのだ。
だけれど声が出ない。なぜ?金縛りが解け懸かったんじゃないの?
そう思ったところで、彼女の耳に聞こえてきたのは

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洒落怖

霊場にて

俺の家の近くには社や地蔵が祭られた霊場のような場所があるんだけど、
昔からそこで心霊写真が撮れたとか霊を見たって噂をよく耳にしてきたんだ。
で、中学生の頃、好奇心旺盛な俺は友人とカメラを持って、その場所で撮影してみることにした。
でも、どうしてもシャッターが切れないんだよね。
カメラが壊れたのかと思い、一旦、その場から少し離れた道端でカメラを使うと普通に使える。
でも、いざ、現場へ行くとやっぱりシャッターが下りない。
結局、怖くなって俺らは家へ帰ったわけ。
で、それから2,3日後、夕方その友人から電話がかかってきたんだ。

彼は凄く興奮した様子で「俺、嘘とかで話すんじゃないからな! 本当の話だからな!」と
何度も念を押したあと、俺に話した。
「あのさ、今、学校から帰ってきたばかりなんだけど、その道すがらチャリを押しながら坂道を上がっていたら、
なんか後ろに人の気配を感じたんだよ。 で、誰だと思って背後を振り返ったら、少し向こうに誰かが座っているんだよ。
たった今来たときは誰にも会わなかったのに、おかしいなぁと思って、薄暗いんでよーく目を凝らしたら、
この前行った霊場の地蔵がいるんだよ!」

その後、俺は何度か別の友人にその霊場へ行こうと誘われたが、前を通る事はあっても中に入る事はしなかったとさ。

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逆さの樵面

836 1/12 sage 2005/12/11(日) 20:07:10 ID:CUnu3Rn40
私が生まれる前の話なので、直接見聞きしたことではなく、その点では私の想像で補ってしまう分もあることを先に申しておきます。

それから地名、人名等は仮名としました。
もったいぶった始め方ですが、この話の終わりには家の戸口に影が立つこともあるかも知れません・・・

私の生まれた村はつい先日合併によって閉村し、別の名前の町に生まれ変わりました。
しかし千羽神楽の名は残っています。

室町時代から脈々と続くこの夜神楽は、かつて村の4つの家によって継承されてきました。
稲には実りを、また山には厳しい寒さをもたらす神々を、歓待し楽しませるための舞を踊るのです。

村にある神社を1年間で順繰りに回り、氏子たちが見守る中で夜が更けるまで舞い続けます。
舞うのは4つの家の太夫と、かつては決まっていたようですが現在では1家を除いて家筋の消息が不明となり、若者不足も重なって舞太夫には誰でもなれるようになっています。

もともと4家に神楽を伝えたのは熊野より落着した日野家であると、資料にはあります。
当主であった日野草四郎篤矩がそのとき持参したといわれる神楽面が、のちに村の家々の戸口に影を立たせることになるのです。

837 2/12 sage 2005/12/11(日) 20:09:57 ID:CUnu3Rn40
千羽神楽では素面の舞もありますが、面をつけての舞がほとんどです。
神楽面は舞太夫が人から人外のものへと変わるための装置であり、衣装を合わせ面をつけた時、それは太夫ではなく鬼神や魔物そのものが舞っているものとして認識されます。

そのため、神社の中とはいえ人の領域の内に鬼神を招くための結界として、はじめに注連縄が張られるのです。
受け継がれてきた古い面には力があり、けして粗末な扱いをしてはならないとされています。

江戸中期に記された『千羽山譚』には、「特に翁の面は怪力を持ち他の面と同じ行李に入れていては、他の面を食い破る」という不気味なことが書かれており、現在も神楽面の中で唯一翁面だけが竹で編んだ小さな行李に単独で保管されています。
私の父はこの翁面の舞手でしたが、いつもこの面を着けるときだけは
手に汗が浮くと言っていました。

さて、室町時代より500年にも亘って続く千羽神楽ですが、その長い歴史の中で演目が亡失するということもあったようです。
千羽郷に赴任された役人の古河伝介が記したという『千羽山譚』や、その他の旧資料に現れる神楽の記述によると、もう舞われなくなっている4つの舞があることがわかります。

このいずれも、面も祭文も残っておらず、資料の挿絵によって衣装が辛うじてわかるくらいでした。
ことの発端は、この失われた舞が復活する次第よりはじまるのです。

838 3/12 sage 2005/12/11(日) 20:12:06 ID:CUnu3Rn40
大正11年の5月11日、神楽面が出て来たという通報が村役場にありました。
高橋家という旧家の土蔵より、幾ばくかの資料とともに2つの神楽面が発見されたというのです。
高橋家はかつて数代にわたって神楽の座長を務めたといわれており、何代か前にあとを襲う男児に恵まれなかった折に養子を招き、神楽からは離れていったようです。

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絵馬

476 ○○ 2005/10/27(木) 22:23:15 ID:vYtCijxl0
8年ほど前、オレが専門学校に通っていた頃の話。
そのころは専門学校生で、学校でつるんでる仲間とよく心霊スポットに行ってた。
別に大好きって訳でもなくて、特に行くとこもなくてただドライブしてるだけもつまんないので、
適当な目的地として心霊スポットを選んでるってだけだった。
「うぉ~怖ぇ~」とかその場のノリで言ってはみるものの、別に怖いなんて思ったことは一度もなかった。

477 ○○ 2005/10/27(木) 22:24:25 ID:vYtCijxl0
そんなころ、友達が車を買ったというのでその新車でドライブに行く事になった。
「またKダム行く?」
「もう心霊スポットええよ~。別に女の子おるわけじゃなし。」
「行くとこないじゃん。米軍基地でも行こうか?」
あらかた近場の心霊スポットは行き尽くしたオレたちは、そんなこと話ながらドライブしてた。
「そういえば!」
と、友達が話はじめた。
「YってとこにS峰ってとこあるらしいんじゃけど、そこなんか怖いらしいで。」
「へぇ、どんないわくがあるん?」
聞くと、なんでもYって場所は縁結びの神様が祭られてる神社があるそうなんだが、
そこである女が好きな男への思いを願いつづけたが、ついぞ叶わず、その神様を呪うという遺書を残して身を投げたとこなんだそうな。
「ええじゃん!行こうや!」
「でも場所がいまいちようわからんわ。Yは分かるけど、S峰って聞いた事ないよ。」
「ええよ、コンビニで聞こw」
別に目的地につけずとも、何か探すっていう目的でよかった。オレら流の遊び方。

478 ○○ 2005/10/27(木) 22:25:22 ID:vYtCijxl0
Yは少し遠かったけれども、夜は道もすいててそんなに時間はかからなかった。
オレらは適当なコンビニを見つけて、S峰を探すことにした。
友達2人は売り物の地図を広げて、オレは店員に聞いてみた。
「すんません、ここらでS峰って知りません?」
「あぁ、S峰。ありますよ。」
そういって店員は詳しい行き方を教えてくれた。
「そこって神社あります?」
「あぁ、T神社でしょ?今から行くんですか?」
「そうそう、なんか怖いらしいから、、、。」
「怖いですよ。あそこは。」
店員の口ぶりに興味をひかれた。
「え?店員さんもいったことあるの?」
「ええ、絵馬でしょ?」
「絵馬、、、?」

480 ○○ 2005/10/27(木) 22:26:08 ID:vYtCijxl0
「ええ、絵馬の遺書。」
「ナニそれ?絵馬に遺書が書いてあるんですか?」
「そうですよ、右側のかけるとこの一番下の右から、、、3番目くらいかな?一番奥。でももうさすがにないかな?」
「そこにあるの!?」
「ええ、オレは見たんですけどね。ま、今から行くんでしょ。もし見られなかったら何が書いてあったか教えますよ。大体覚えてるから。帰りもここ通るんでしょ?」
「そんなん見て大丈夫なん?」
「はずしちゃダメらしいですよ。オレはびびってはずせんかった。できたら外してみて下さいよ。」
またまた~、なんて店員と談笑していると、
「おい、場所わかった?」
と、友達が地図をしまって話しかけてきた。
「おう、店員さんが教えてくれたわ。ついでにおもろい話も。」
「ホンマ?地図載ってなかったーや。分かったんなら行こうや。」
「OK!OK!おもろい話したるけーの!」
ただ出るのは悪かったので、缶コーヒーを一本買って店を後にした。

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僕のお父さんは

677 名前:名無しの多摩っ子 投稿日:2001/05/01(火) 07:00
久しぶりに書き込みさせてもらいます。
アメリカに留学していたとき、学校で一時広まった都市伝説系の噂話を元ネタに若干アレンジを加えたものです。

舞台の説明を少しだけすると、留学していた町はアメリカ北部の田舎町で、人口は約五千人、
町にある娯楽施設といえば小さな映画館くらいで、隣町までは車で一時間弱、その間は何もないプレーリーが広がっているだけ。
かなり大規模な火力発電所が町外れにあって、町の七十パーセントの雇用を満たしている、とまぁこんなカンジかな。
で、噂話には幾つかパターンかあるんだけど、どの場合も主要な登場人物は三人、
小さな男の子二人と、主人公の高校生。この高校生が語る一人称形式で逝かせてもらいます。
では。

678 名前:名無しの多摩っ子 投稿日:2001/05/01(火) 07:03
ちょうど一週間前の土曜日のことなんだ。
親父が勤めている会社のバーベキュー・パーティがあって、あまり行きたくなかったんだけど、
ほら、この町に住んでるいじょう、やっぱり、パワー・プラントの世話になってるわけだし、
まぁ仕方なくってカンジで両親と一緒に行くことにしたんだ。
会場になったのは学校のすぐ南にある公園で、正午をちょっと回ったころに僕たち家族がつくと、
公園中にバーベキュー・ソースの甘ったるい香りが充満していて、寝坊して朝ご飯を食べてなかった僕は、
気乗りしてなかったことなんて忘れて、一番近くのコンロに駆け寄って、
紙製の皿を受け取るとすぐに焼きあがったリブを手にとって食べ始めた。
親父は真っ白なテーブルの上に置かれたシックス・パックのバドワイザーを一缶引き抜いて、
それを飲みながら、職場の同僚となにやらセスナの免許云々って話をはじめていた。
母親はというと、家から持ってきた手作りのクッキーをパラソルつきにテーブルの上において、
他の主婦たちに混じりながら、肉を焼いたり飲み物をクーラーボックスから取り出したり、と世話を焼くほうに回っていた。

679 名前:名無しの多摩っ子 投稿日:2001/05/01(火) 07:06
満足するまで食べ終えた僕は、ちょろちょろそこらへんを歩き回ったんだけど、
信じられないことに友達は誰一人いなくて、それどころか自分と同じ年頃のやつもいない。
親父はまだ仲間と夢中になって話をしているし、母親も忙しそうにしている、
なんだか急につまらなくなった僕は、
誰も見ていないのを確認してからこっそりとビールを一缶だけ抜き取って、
人だかりから少し離れたところで、芝生に腰を下ろしてそれを飲み始めることにした。
飲みなれないもんだから、ちびちびとゆっくり時間をかけて飲んでいく。
どれくらいの時間がたったのか、気づくとビールは全部飲み終えて、
いいカンジに酔いが回っていた。
人だかりから聞こえてくる喧騒もなんだかものすごく遠くからのように感じる。
そんな雰囲気の中、ぼーっと空を見上げながらかすかに吹く風を身体に感じていると、
いきなりトントンと僕のひざを誰かが叩いて「ねぇ、ねぇ」と声をかけてきた。