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洒落怖

トンネルにて

933 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/11/01(水) 18:57:52 ID:xco/+y1i0
はじめに:地域特定されない為、言葉は標準語に直しています。

俺たちの関係って師匠シリーズの昆布さんと師匠に似てるような気がする。

俺が所属してる地元の青年会(のようなもの)にいる先輩と一緒に二度目の肝試しをしている時に感じた事だ。
当時から師匠シリーズのファンだった俺は、なんとなく登場人物の二人と自分たちを重ね合わせながら夜の廃屋を歩いていた。
といっても、その先輩は”師匠”ほどぶっ飛んだ人ではないし、普段は常識ある普通の好青年だ。
俺自身も霊感は今までなかったし、多分今もないだろう。
おかしな体験をする原因は絶対に”先輩”だ。というか、それ以外考えられない。

事の始まりは中学を卒業し、青年会に入ってから1年ほど経ったある夏の夜だった。
「どうだい、今から遊びに行かないか?」と、俺と、同い年数人が先輩に声をかけられた。名前をYとする。
彼が主人公である”先輩”であり、俺の4つ年上である。
俺たちは喜んで2つ並んでる車の前の方に乗り込んだ。
メンバーを紹介すると、前の車両にYさん、俺、M(同い年)。
後ろの車両にTさん、同い年の2人(H、Oとする)の計6人。
「どこに行くんだろ?w」
と、いろいろと話しているうちに、車はどんどん街頭がない山道に進んでいった。
「あの・・・Yさん、なんかだんだん暗くなってる気がするんですが・・・。」
俺はこの辺からもうビクつきまくっていた。こりゃ絶対心霊スポットじゃねぇか!
「ああ~、そろそろ言っとかなきゃね、Tトンネルに行こうと思ってるんだよ。」
反射的に逃げ出そうとしたが、そこは走行中の車。成す術がなかった。
霊感があったわけではないし、霊を信じていたわけでもなかった。

934 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/11/01(水) 18:58:25 ID:xco/+y1i0
しかし、やはり心霊スポットとなると気が滅入ってしまう。
しかもTトンネルとは県内随一の最怖スポットとして、若者たちの間で噂されているトンネルだ。
とにかく先輩の手前、俺も悲観に暮れている場合ではない。
もしもここで怖がったりしていたら、トンネルで置き去りにされるに決まっている。
「へぇ~そうなんですか、楽しみですね。」
といった感じに明るく振舞っていた。しかし、すでに異変は始まっていた。

同乗していたMが突然「気分が悪い」といって、車を停めてくれと言うのだ。
先輩は「え、ここで!?困るなぁ。」と言って、なかなか停めてくれない。
とりあえず俺がビニール袋を渡したが、何度もおぇっ!おぇっ!となるばかりで、一向にモノは出てこない。
仕方ない、といった表情になった先輩が、車を停め、俺に向かって「中に居ろよ。」と言った。
同い年が気分を悪くしているのに、先輩にそんな事をさせるわけにはいかない。
とMを降ろそうとしている先輩に声を掛けたが、「いいから居ろ。絶対に外に出るなよ。」と逆に釘を刺されてしまった。
後ろの車両を見ると、Tさんも同じようにHとOに外に出ないように言っているようだ。

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洒落怖

着信アリすぎ

147 コンビニ sage 2006/11/11(土) 00:58:37 ID:3k3fy5g80
ちょいMとの事で今週あったので投下
例によって長文だがそこは瀬戸内海のような広い心で勘弁してくれ

塩事件の後、俺はMからのメールは無視していた。
心霊現象とか俺は関わりたくなかったのが本音だし、正直チキンなので
自分から心霊現象に近寄る事もせんしせいぜい洒落怖スレで友人と話を
するネタを探しながらガクブルする程度だった。

塩事件の後この先は何もねえだろうと高をくくっていたのかもしれん
7日の夜俺が家に帰ると妹(学生)が帰っておらず、不機嫌な親に聞くと
バイト先の男先輩3人と心霊スポットに出かけたという。
おまwww危ないwwwww幽霊より狼に気をつけろwwwww
と思いつつ一応親とも面識のある男性陣なのでそっち方面の心配はなかった。
妹はバイト終わって10時過ぎに出たらしく、テレビで取り上げられた
心霊スポットのT山?とかそんなところに行っていた。
一応心配だったので何度か電話をするが出ない。
まあそんな事もあるさ…と兄の感慨にふけながら母に言われて
妹が帰ってくるまで起きて待つことに。

150 コンビニ sage 2006/11/11(土) 01:14:21 ID:3k3fy5g80

ワーイヾ(*´∀`*)ノ堂々と今のPCでエロ画像見れるぜ!と深夜のパソコンの前で
ハアハアしながら待っていた。俺の電話をシカトした妹は高校生のほうの妹に
メールで連絡してきて帰りが2時過ぎになるとのこと。
そんくらいの時間なら普通に起きてるし余裕余裕それよりもシコってる所に
妹が帰ってこないかが心配だぜwなんて風呂入ってモニタ画面に向かった。
そこで携帯に着信。出ようとしたところで切れた。
妹からかと思ったが非通知だったのでイタズラか間違いだと判断して
もう一度パソコン画面へ。12時半過ぎてたんでこの時点でマナーモードにする。
巡回サイト行ったりしているうちに深夜1時。おっと携帯が点滅してるぜと
履歴を見るとなんと着信11件。……おお?!バイト先か?!妹か?!
焦って確認すると全部非通知。流石に気味悪くなって
非通知番号を拒否る事にした。操作中にメールが入り、
見るとバイト先の女先輩。シフト交換の件だった。
それに返信している最中に丁度非通知から電話。おうおう出てやろうじゃねぇか
可愛い声で「ごめんなさぁい(涙」って言わない限りは許さないからな!
しかし俺が通話ボタンを押すのと同時に電話は切れた。
畜生!ちょっと期待してたのに!イライラした俺はその怒りをスケベ心に切り替え
モニタの美少女にぶつける事決定。
1時半回った頃にバイブの音にビビって軽く悲鳴をあげた。
だだだだ誰だ!宇宙人か?!未来人か?!超能力者か?!
うろたえつつ画面を見ると妹。(´Д`;)=3オオオオ驚かすなよ!もう!

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一喝

102 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/08(金) 16:33:15 ID:7sT5VjxJ0
今から5年程前の大学時代、俺は友人二人を連れて心霊スポット荒らしをしていた。
いわゆる肝試しのようなものではなく、(もちろん普通の肝試しの要素も含んでいるが)
曰くつきの場所に行っては飲めや歌えのどんちゃん騒ぎをやり、
他のグループがいればドライアイスや挽肉などの小道具を使い、
そいつらを脅かして反応を楽しむ、というものだった。(片付けはちゃんとしてたよ)
女もおらず金もなく、あるのは時間と若さだけという俺達にとって、
心霊スポット荒らしは絶好の暇つぶしだった。
しかし、そんなことをしていれば当然いくらか霊体験をする。
今日は数あるエピソードの内の一つを書き込もうと思う。
状況を明確に伝えるために、多少脚色された芝居がかった台詞や説明くさい台詞が出てくるが、
基本的には全て現実に起こったことである。

103 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/08(金) 16:33:54 ID:7sT5VjxJ0
大学二年の夏休み、俺達はS県にある「出る」という噂の廃屋で宴会をする計画を立てた。
そこは、「住んでいた家族が一家心中した」とか「強盗に一家全員惨殺された」とか
「狂った父親が家族全員を殺して食った」などという胡散臭い噂のある場所で、
幽霊の目撃例もかなり多かった。
ど田舎で辺りは緑に囲まれており、騒ぎまくっても問題ないだろう。
幽霊が見れたら万々歳だ。というのがそこに行くことを決めた理由だった。
俺のアパートから1時間ほど車を飛ばしてついたその家は何処にでもあるような2階建ての家だったが、
四方を森に囲まれていたためか、はたまた草木も眠る丑三つ時だったためか、
何が出てもおかしくないようなおぞましさを醸し出していた。
地元ではそれなりに有名なスポットなのだがその日は自分達以外に人はおらず、
「派手に騒げるな」などと笑いながら俺達三人は割れた窓から中に侵入した。
家の中は想像していたよりずっと綺麗だったが、真夏であるにも関わらずひんやりと肌寒く、
それでいて夏特有のじめっとした湿気の不快感を感じた。
「こりゃ期待できるんじゃないか?」
と、背の高いYがニヤリと笑う。
「廃墟ってのは大抵馬鹿どもの溜まり場になってぼろぼろに荒らされるもんだが、ここは綺麗なままだろ?多分みんな荒らす前に逃げ帰ったんだぜ」
周囲をきょろきょろと見回しながらYが続ける。
「いや、溜まり場にするには市街から遠すぎるだけなんじゃないか?」
と、茶髪のAが反論する。
「どっちでもいいよ、それよりさっさと全部見て回って飲もうぜ」
俺はそう言いながら懐中電灯の灯りを点し、先頭に立って動き出した。

104 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/08(金) 16:34:36 ID:7sT5VjxJ0
俺達が侵入した場所は一階のダイニングで、それからぐるりと回るように風呂場、トイレ、仏間(座敷)、居間、階段、寝室、子供部屋、と一通り家の中を見て回ったが何も出ない。
(こりゃはずれか)
と思い、宴会をするために一番広かった居間に入ろうとドアに手をかけたとき、猛烈な悪寒が走った。
全身を冷や汗が流れ、一瞬で気温が10度も下がったように感じ、本能がそのドアを開くことを拒んでいるようだった。だが、
「どうした?早く開けろって」
とのAの言葉に押され、そのドアを開け放った。
居間の中央には一人の幼い男の子が座っていた。
(こんな時間にこんな場所に、こんな小さな子が一人で?さっきはいなかったのに?)
この世のものでないことは明らかだった。
男の子は固まっている俺達を見るとニッコリと笑い、笑顔のままゆっくりと近づいてきた。
だが、その近づき方も尋常じゃない。一歩こちらに近づくたび、男の子の身体は崩れていくのだ。
皮膚が破れ、血がしたたり、肉がえぐれ、内臓が飛び出て、
それでも笑顔を崩さずにこちらに近づいてくる。
私はというと完全に身体が硬直してしまい、指一本動かせないような状態だった。(金縛りだったのかも)
そんな中、今にも発狂しそうだった私を押しどけ、Aが前に進み出た。そして
「ぬるい!出直せ!!」
幽霊を一喝した。突如怒鳴られた男の子は笑顔を崩し、悲しいような困ったような顔をして消えていった。
そこでようやく身体が動くようになった私は脱兎のごとく廃屋の出口目指して駆け出したが
Yに阻まれ、結局そこで宴会をやり一晩明かすことになった。
「すごかったな、もう一回出ないかな」
と笑うY
「もっとグロいのもってこいや!」
と叫ぶするA
こいつらはきっとどこかおかしいのだろう。ちなみにこの後はもう出なかった。

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影のない女

207 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/10(日) 00:48:31 ID:/WktQKKN0
「一度霊体験をするとそれからしばらく霊体験をしやすくなる」
という話を聞いたことがあるだろうか?
霊感が強くなるのか、霊とベクトルが合うようになるのか、はたまた霊を意識するようになるのか、
理由はよくわからないが、とにかくそういうことはあるらしい。
これから書き込むのは、数年前、当時大学生だった俺がのっぽのYと茶髪のAという
二人の友人を引き連れて心霊スポット荒らし(心霊スポットでバカ騒ぎしたり、カップルおどかしたり)
をしていたときに体験したいくつかのエピソードの内の一つで、俺達の最初の霊体験の話だ。

208 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/10(日) 00:49:03 ID:/WktQKKN0
大学1年の後期、冬休みを目前に控え浮かれていた俺達は、
週末にF県にある某神社にキャンプをしに行くことにした。(心霊スポット荒らしの一環)
その神社は「女性が強姦されて殺された」「いやいや、強姦されて世を儚んだ女性が首を吊ったのだ」
といった噂のある場所で、ようするに「出る」と言われる場所だった。
夕方に神社についた俺達は早速テントを立て、各自分かれて辺りを散策しはじめた。
見るからに古そうな神社で、鳥居の塗料はほとんど落ちており、周囲にぽつぽつとしかない民家が
いっそう寂しさを引き立てていた。
(なるほど、こりゃ妙な噂が立つのも頷けるな)
俺はそう思いながら、一人神社の周囲をぐるぐると見て回っていた。
三人で1時間ほど神社を見て回ったが、不思議なことも起こらず不気味なものにも遭遇せず、
「やっぱり幽霊なんていねーよな」
等と笑いながら、俺達は夕食のカレーを作り始めた。
肉を切り、野菜を切り、米を炊き、
粗方完成したカレーを持ってきたカセットコンロで煮込んでいるときだった。
「何してるの?」
と、不意に声をかけられた。
声のした方を見てみると、俺達と同年代か、あるいは少し年上くらいであろう女性が一人立っていた。
「ねえ、何してるの?」
女性は再び問いかけてきた。
突然声をかけられたことに一瞬びびったが、そのときの時間はまだ午後8時前くらい。
若い女性が一人で歩いていてもおかしくない時間帯だったので、俺達はすぐに平常心を取り戻した。
「あぁ、キャンプですよ」
とY
「今晩飯のカレー作ってるんです」
と俺
「お姉さんもよかったらどうですか?」
とAが続ける。
「いいの?」
と言いながら、女性は俺達の方にゆっくり、本当にゆっくりと近づいてきた。

209 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/10(日) 00:50:41 ID:/WktQKKN0
そこで俺はその女性の姿に妙な違和感を覚えた。上手く言葉にできないのだが、何かがおかしい。
YとAも同じような感じだったようで、俺達三人は顔を見合わせたり小首を傾げたりしていた。
手を伸ばせばもう手が届く、というところまで女性が近づいてきたところで、
俺はようやく違和感の正体に気付いた。
この女性には影が無い――
ありがちだな、と思った人もいるかもしれない。
しかし俺が言っているのはいわゆる影法師のことではなく(影法師もなかったかも知れんが)
人間の身体にかならずあるはずの、鼻の下や目の窪みといったところに出来る影のことだ。
まるで小学生が描いた人物画のように、その女性には陰影が全くなかったのだ。
その女性は、俺が違和感の正体に気付いたと知ってか知らずか俺の隣に座り
にたりと(決してにっこりと言ったようなものではない)歯を剥き出しにして笑った。
そこで俺はもう一つ、奇妙なことに気付いてしまった。
女性の首が異様に長いのだ。
最初は普通だったはず(暗くて距離があったとしてもさすがに分かる)なのに、
今俺の隣に座っている女性の首は、常人のそれの二倍以上はあるようだった。
YもAも、女性の異常さにとっくに気付いているようだったが、恐怖のためか
身体が全く動かないようだ。当然俺も蛇に睨まれた蛙のような状態で、指一本動かせなかった。
逃げ出すこともできず、目を逸らすこともできず、
俺達はひたすらこの異常な状況が終わるのを待つしかなかった。
どのくらい経っただろう?俺には1時間にも2時間にも感じられたが、実際は数分だったと思う。
唐突に、女性が声を上げて笑いはじめた。ゲラゲラと狂ったように、壊れた人形のように。
恐怖の限界に達していた俺達は、その笑い声を皮切りに猛ダッシュで車まで逃げ込み、
近くのコンビニまでフルアクセルで飛ばした。その間も笑い声が耳から離れず、
本気で気が狂いそうだったように思う。

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雨降る祭り

218 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/10(日) 02:27:04 ID:/WktQKKN0
O県N市・・・
まぁ俺の地元なのだが、ここにはいわくつきの祭りというものがある。
Y川下流域の河原で毎年夏の終わりに行われているT祭りというもので、
元々は、大昔にY川が干上がった際に人柱にされた二人の兄妹への鎮魂とためのお祭りだったそうだ。
「妹は妊娠していた」とか「兄妹は迫害されており、無理やり人柱にされた」
といったような穏やかでない話がたくさんあるが、真偽のほどは定かではない。
ただ、あまり納得のいく形で人柱にされたわけではないことは確かなようで、
その証拠に、兄妹の恨みか悲しみか、毎年お祭りの日には必ず雨が降ると言われている。
事実、俺が知る限りでは毎年その日は雨が降っていたように思う。
どんなに晴れていても、必ず通り雨などがあるのだ。

という話を数年前、俺が大学生だった当時、一緒に心霊スポット荒らし
(心霊スポットでバカ騒ぎをしたり、カップルを冷やかしたり)
をしていたのっぽのYと茶髪のAという友人二人に話したところ、
「是非行ってみたい」「連れて行かないとお前の車ぶっ壊す」
と聞かない。
「高3まで毎年行ってたけど何も見たこと無いし、期待できないぞ」
と言ったのだが、
「大丈夫だって、最近なんか俺ら霊感強いみたいだし、きっとなんか出るよ」
と笑顔で返され、渋々ながらも久しぶりに地元の祭りに行くことになった。大学二年の夏である。

219 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/10(日) 02:27:35 ID:/WktQKKN0
さて、友人を祭りに連れて行きたくなかった理由は二つある。
まず一つは、祭りで出店を出しているおっちゃん達が結構な確率で知り合いだということだ。
田舎は実に狭い。冷静に考えればどうでもいいことなのだが、何か妙に恥ずかしい気がする。
そしてもう一つ、最近の自分達の霊との遭遇率を考えると、本当に何か出そうな気がしたからだ。
幼い頃から慣れ親しんだ地元の祭りで霊体験などしてしまったら、
恐ろしくて地元に帰れなくなるかも知れない。
そんな心配をよそに、俺の運転する車の中でAは爆睡、
Yはカーステレオから流れてくるB’zの曲を熱唱していた。実に腹立たしい。

現地に到着し、車を近くの臨時駐車場に止め、しばらくは普通に祭りを楽しんだ。
天気はやはり雨だったが、降ったり止んだりで、傘もいらない程度の弱さだった。
俺は中学、高校時代の友人に会って世間話をし、Yは出店の料理を片っ端から食い、
Aはプレステ2が景品の(当時は発売されてからあまり経ってなかった)クジ引きにはまっていた。
やめとけA、そのクジ引き屋のおやじは俺が小学生の頃からいるが一度も2等以上を見たことがないぞ。
祭りも終わりの時間が近づき、しょぼい花火が上がり、出店のおっちゃん達は勝手に酒を飲み始め、
ほとんどの出店が開店休業のような状態になっていった。田舎の祭りなんてこんなもんだ。
「で、お前ら何か見えたか?」
皮肉交じりに俺がAとYに尋ねる。
「焼きそばの素晴らしい旨さが見えた」
とY
「あのクジ引きは詐欺だってことが見えた」
とA
お前ら舐めてんのか。つーか3000円もクジにつぎ込むな。

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おくびょうもん

372 おくびょうもん sage 2006/12/12(火) 05:33:11 ID:yXjzOsZx0
関東近郊で眠らない町と聞くとまずどこを思い浮かべるだろうか。
新宿、と思いつく人も少なくないと思う。
確かにここは眠らない。
JR駅から二十分も歩けば高層ビルの裾野に広がったかのように住宅街がひしめくというのに、その界隈すら普通の住宅街に比べ密度の高い街灯で煌々と照らし出される。
そんな場所に、心霊スポットがあるとしたら信じてくれるか?
俺もついさっきまではただの偶然だろうと思ってたから無理だろうな。

そこは俺の家から歩いて三十秒もかからない、大通りに抜けるのに俺の家からだとかなり便利な小道だ。
新宿というのは区画整理がのつけを住宅街に支払わせた町並みを持っていて、実は舗装された道路に面していない場所というのは多い。
これもそうした道の一つだ。
おれがいまの家に越してきてからこの小道の近辺では色々な事があった。

373 おくびょうもん sage 2006/12/12(火) 05:33:41 ID:yXjzOsZx0
記憶にあたらしいものでかつ鮮明におぼえてるものとなると、朝の捕り物だな。
なにやら外が騒がしくおきてみるとその小道の出口をふさぐようにぴしっとした制服に身を包んだ警官達が警棒を手にして何かを待ち構えていた。
張り詰めた空気は見下ろす俺にもつたわってきて息をのんで見守ってみる。
少しして両脇と背後を計三人の警官にかためられ、うなだれた男が出てきた。
ちょっとは抵抗したのかほっぺたが赤くはれ上がりつつある、多分殴打されたかぶつけたんだろう。
だが異様だったのは男ががりがりにやつれていたことだ。
血色がいいのはそのはれあがりつつある頬だけで髭も伸び放題、髪は二階から見下ろしていてもわかるくらいフケだらけだった。
後々、この男は空き巣でその小道の場所に立つ古いアパートの使われない部屋に潜んでいた所を逮捕されたと知った。

こんなこともあった。
ある日仕事からの帰りにやけに饐えたにおいがたちこめていた。
小道沿いの背の高いビルの上のほうからばたばたと音がした。
見上げてみると青のビニールシートと黄と黒の警戒識別用の色彩の取り合わせのテープが四階あたりの非常階段のやすっぽい鉄柵の向こうにみえた。
吹き降ろす風が鼻につんと来る刺激をもった饐えた腐敗臭を運んできてたみたいだ。
何があったかは知らないが多分人が死んでいたんだろう。
あるいは犬や猫の類だったのかも知れないが、それにしてはやけにものものしすぎた。

374 おくびょうもん sage 2006/12/12(火) 05:35:50 ID:yXjzOsZx0
まあこのほかにも大体三ヶ月もあればいっぺんはろくでもない事がその小道沿いでおきる。

このあいだなんかはどうやら隣のご主人が浮気をしたらしく、(安普請だから怒鳴っている内容が全部聞こえる。)大喧嘩の末扉が荒々しく開く音がした。
落ち着けという叫び声にただならぬ気配を感じて、扉をあけて外に出てみるとと奥さんが包丁を持ってだんなさんをその小道側に追い込んでいた。
内容はよくおぼえていないが、どこをほっつき歩いてるとかどこの女のとこにいるとか考えるのはもう疲れた、休ませてよそんな事言ってたと思う。
怖かったけど俺は奥さんに落ち着いてとつとめて穏やかに声をかけた。
振り向いた奥さんの顔はまるで幽鬼の如く頬がこけて目だけがらんらんと輝いているように見えた。
包丁を握った手を腰にあてがうように構えなおして殺されるかもしれないと戦慄して少々、やがて奥さんの目はふっと突然理性を取り戻してくれた。
表情もあれっ?ってかんじで前後不覚に陥ったのだけはわかったよ。
ひざが笑ってたし俺はとりあえずその場をすごすごと引き上げた。