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A日新聞奨学生

186 名前:どこいったの?実話さん? 投稿日:04/06/08 14:43 ID:FKKbjLwO
1980年の4月
 大学という大学を落ち、オレは予備校生の身となった。

「浪人」という名の何者でもない19歳の男に、親はもう一度無駄な期待と金を使い、さして意味の無い「新生活」が始まった。

3月の半ば、念仏のように「やればできる」と繰り返す母親に頷きながらダメ人間の見本のようなオレは、テーブルの新聞広告に眼の焦点を合わせていた。

 「A日新聞奨学生」    それがこの話の全ての始まりだった。

予備校の入学金を出してくれて、しかも家賃はタダ。食事も付いてる。
親に黙っていれば、親から預かった金は全部小遣いになる-何の文句も無い天国のような話だった。もちろん受験勉強など最初からする気はなかった。

 新聞配達なんてバイトの延長(というかそのもの)とタカをくくっていたオレのアテが外れたのは、初日の挨拶の時だった。まず320部の朝夕刊配達を言い渡され、その日の夕方には、「今日から折込みもやってくれよ」と販売店舗のオヤジから宣告を受けた。
つまり毎日2時起床ということだ。

188 名前:どこいったの?実話さん? 投稿日:04/06/08 14:45 ID:FKKbjLwO
 午前3時、配達を始める。見ず知らずの街、こんな事でもなきゃ一生関わ
り合わなかった街を「順路帳」を頼りに駆け回る。
鼻をつままれても分からない闇の中を、「赤い郵便受けから2m左、奥に曲
がって3軒目、そのまま後ろ2つ目ドア」・・・順路帳は街を1本の線に変えてしまう。配達員はそこをひたすら走る鼠だ。

 まるで巨大な迷路に迷い込んだような気分だった。

 夜の闇は人間を本能的に恐怖させるらしい。
だが、配達員は死んだ人間=幽霊よりも生きている人間の方が恐ろしい。
ほとんど毎月、この地区のどこかで窃盗や殺人事件が起こっているという話
を聞いていたし、暗闇に身を潜めている姿を見ても気付かないふりをしろと
アドバイスされていた。

 大阪の新興住宅地といえば聞こえはいいが、ようは昔から住み着いている
貧民と浮世離れした若い世帯の肥溜めだ。街中が無関心と孤独の冷気で沈んでいるように思えた。

 そして何の変哲も無い、当たり前のようなF営住宅501から「それ」はオレの世界に入り込んできた。いや、正確には「それ」が居ることに「気が付いた」。

189 名前:どこいったの?実話さん? 投稿日:04/06/08 14:45 ID:FKKbjLwO
やっと仕事に慣れてきた5月、オレは集金業務までやらされていた。集金の
辛さはやったものじゃなきゃ分からない。わざわざ新聞代を払って引っ越すような人間はこの街にはほとんどいない。何日か新聞受けに新聞が溜まって
から、ようやく「居ない」ことに気付く。

501もそんな溜まり具合だった。

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温泉

643 名前:チキン 投稿日:2001/04/30(月) 17:18
母と娘が旅行に行った。
娘はもうすぐ嫁ぐ身、最後の母子水入らず。
ありきたりの温泉宿で特徴は海に面した・・・それだけ。

部屋に通されるとやる事がない。

駅から続く温泉街の土産物屋はだいたい覗いて来たし、夕食
までにはまだ時間があった。
そこで二人はお風呂に行く事にした。

「この先の廊下を行くとあります。今でしたら丁度夕日が綺
麗ですよ」
女中さんはそう言って忙しそうに戻って行った。
言われた通りに進むと一本の長い廊下に出た。
左右にはバーや土産物屋が並んでいた。
そこを通り過ぎて行くと、廊下は右に曲がっていた。
その正面には『男湯』『女湯』の暖簾が。
中から音は聞こえない。ふたりで満喫出来そうだ。

支度を済ませ浴場に入ってみると、案の定誰もいない。
「うわー、素敵ねぇ」
娘は感嘆の声を挙げた。
正面は全面開口の窓、窓に沿って長方形の湯船。
その窓の外には夕日に光る一面の海。
二人は早速湯船に入った。

娘は湯船の右奥が仕切られているのに気付いた。
1メートル四方程の小さなもの。
手を入れてみると、飛び上がるほどの熱い湯だった。
「きっと足し湯ようなのね」
母の言葉で娘は途端に興味を失った。

風呂は全く素晴らしいモノだった。
湯加減、見晴らし、なにより二人きりの解放感。
窓と浴槽の境目にはちょうど肘を掛けるくらいの幅があった。
母は右に、娘は左に、二人並んでたわいもない話をしていた。
ゆっくりと優しい時間が過ぎて行く。

続く。

644 名前:チキン 投稿日:2001/04/30(月) 17:42
続き。

その時、母は突然悪寒を感じた。
自分の右の方から冷たいモノが流れて来るのを感じたのだ。
普通ではない、なぜかそう直感した。
あの熱い湯船の方から冷たい水が流れてくる等ありえない。
それに視線の端に何かがチラついている気がしてならない。
急に恐怖感が涌いて来た。
それとなく娘の方を見てみる。

母は血の気が引く思いがした。
娘の表情。これまでに見た事のない表情。
しかも視線は自分の隣を見ている。
口はなにかを言おうとパクパク動いてるが、声は出ない様子。
母は意を決して振り返って見た。

確かに誰もいなかったはず。
また、後から誰も入って来てはいないはず。

が、自分の右隣には見知らぬ女がいた。
しかも自分達と同じ姿勢で肘をついて外を見ている。
長い髪が邪魔して表情まではわからない。
しかしなにか鼻歌のようなものを呟きながら外を見ている。

「おか、あさん、その人・・・」
娘はようやく声を絞り出した。
「ダメ!」
母は自分にも言い聞かすように声を挙げた。

続く。

646 名前:チキン 投稿日:2001/04/30(月) 18:03
続き。

母の声に娘はハッとして口を押さえた。
そう、別の客かも知れない。
そうだとしたら、あんな事を言うのはとても失礼な事だ。
けど。
誰かが入って来たなら気付くはず。
ましてや自分達のすぐ近くに来たなら尚更だ。
やっぱりおかしい。
そう思って母の方を見ると、さっきの女はいなくなっていた。
しかし母に視線を合わすと、今度は洗い場の方を指指している。
そこには。

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着物の少女

772 本当にあった怖い名無し sage 2005/07/26(火) 18:17:06 ID:amlXWpEo0
着物の少女

 毎年夏、俺は両親に連れられて祖母の家に遊びに行っていた。
俺の祖母の家のある町は、今でこそ都心に通う人のベッドタウンとしてそれなりに発展しているが、二十年ほど前は、隣の家との間隔が数十メートルあるのがざらで、田んぼと畑と雑木林ばかりが広がるかなりの田舎だった。
同年代の子があまりいなくて、俺は祖母の家に行くと、いつも自然の中を一人で駆け回っていた。それなりに楽しかったのだが、飽きることもままあった。

 小学校に上がる前の夏のこと。俺は相変わらず一人で遊んでいたが、やはり飽きてしまっていつもは行かなかった山の方へ行ってみることにした。祖母や親に、山の方は危ないから言っちゃダメと言われていて、それまで行かなかったのだが、退屈にはかなわなかった。
 家から歩いて歩いて山の中に入ると、ちょっとひんやりしていて薄暗く、怖い感じがした。それでもさらに歩いていこうとすると、声をかけられた。
「一人で行っちゃだめだよ」
 いつから居たのか、少し進んだ山道の脇に、僕と同じくらいの背丈で髪を適当に伸ばした女の子が立っていた。その子は着物姿で、幼心に変わった子だなと思った。
「なんで駄目なの?」
「危ないからだよ。山の中は一人で行っちゃ駄目だよ。帰らなきゃ」
「嫌だよ。せっかくここまで来たんだもん。戻ってもつまらないし」
 俺はその子が止めるのを無視していこうとしたが、通りすぎようとしたときに手をつかまれてしまった。その子の手は妙に冷たかった。
「……なら、私が遊んであげるから。ね? 山に行っちゃ駄目」
「えー……うん。わかった……」
 元々一人遊びに飽きて山に入ろうと思い立ったので、女の子が遊んでくれると言うなら無理に行く必要もなかった。
 その日から、俺とその女の子は毎日遊んだ。いつも、出会った山道のあたりで遊んでいたので、鬼ごっことか木登りとかがほとんどだった。たまに女の子がお手玉とかまりとかを持って来て、俺に教え込んで遊んだ。

774 本当にあった怖い名無し sage 2005/07/26(火) 18:18:04 ID:amlXWpEo0
「健ちゃん、最近何して遊んでんだ?」
「山の近くで女の子と遊んでる」
「女の子? どこの子だ?」
「わかんない。着物着てるよ。かわいいよ」
「どこの子だろうなあ……名前はなんつうんだ?」
「……教えてくれない」
 実際その子は一度も名前を教えてくれなかった。祖母も親も、その子がどこの子かわからないようだった。とりあえず村のどっかの家の子だろうと言っていた。
 その夏は女の子と何度も遊んだけど、お盆を過ぎて帰らなきゃならなくなった。
「僕明日帰るんだ」
「そうなんだ……」
「あのさ、名前教えてよ。どこに住んでるの? また冬におばあちゃんちに来たら、遊びに行くから」
女の子は困ったような何とも言えない顔をしてうつむいていたが、何度も頼むと口を開いてくれた。
「……名前は○○。でも約束して。絶対誰にも私の名前は言わないでね。……遊びたくなったら、ここに来て名前を呼んでくれればいいから」
「……わかった」
 年末に祖母の家に来た時も、僕はやはり山に行った。名前を呼ぶと、本当に女の子は来てくれた。冬でも着物姿で寒そうだったが、本人は気にしていないようだった。
「どこに住んでるの?」「今度僕のおばあちゃんちに遊びに来ない?」などと聞いてみたが、相変わらず首を横に振るだけだった。
 そんな風に、祖母のうちに行った時、俺はその女の子と何度も遊んで、それが楽しみで春も夏も冬も、祖母の家に長く居るようになった。
 女の子と遊び始めて三年目、俺が小二の夏のことだった。
「多分、もう遊べなくなる……」
 いつものように遊びに行くと、女の子が突然言い出した。
「何で?」
「ここに居なくなるから」
「えー、やだよ……」
 引越しか何かで居なくなるのかなと思った。自分が嫌がったところでどうにかなるものでもないとさすがにわかっていたが、それでもごねずには居られなかった。

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餓鬼と即身仏の話

605 餓鬼と即身仏の話 1/4 sage New! 2006/10/29(日) 04:01:55 ID:uUnEHXO40
即身仏で思い出しました。北関東の田舎の、あるお寺のお坊様から聞いたお話。

「即身仏はなぜ尊いとされたのでしょうか」と、その寺のお坊様は私に尋ねました。
「それは『餓え』という生命全てが持つ生存欲を意志の力で越えていく行為ゆえです。
 大乗仏教では個人的な苦行は否定されていますが、即身仏のみ、自らの餓えを以って
 他者の餓え、大きな飢饉を贖おうとする、キリスト教的な価値観が見て取れるのです」
人間の3大欲求である性欲、睡眠欲そして食欲。餓えとは、その最大の欲求である食欲
が満たされない時に発生する、生命体の最大の試練なわけです。

最近、育児放棄による乳・幼児の餓死が多数報道されるようになっていますが、実はこうした事例は昔から多くありました。そうして亡くなった方はあまりの食への妄執の強さ故、餓鬼道に堕ちてしまうそうです。それは徳を積んだ高僧が目的を持っての餓死であれば回避できるそうですが、幼く、餓死する必要もない子供であったりする場合、「餓えて死ぬ」と、魂が磨耗してしまうそうです。前世の悪行故に今生で幼くして餓えて死ぬ運命を背負って生まれてきたのだ、という人もいますが、そのお坊様によると、そういう魂はバングラデッシュやアフリカなどの皆が餓えているところに出る、この日本の今の時代に餓えて死ぬというのは、今生で生じた悪縁によるところが大きいそうです。

606 餓鬼と即身仏の話 2/4 sage New! 2006/10/29(日) 04:02:27 ID:uUnEHXO40
その話は、祖父の何回忌かで、施餓鬼というものをやった時に聞きました。餓鬼道に堕ちた餓鬼に施しを与え、現世に悪さをしないようにする祟り避けの儀式だそうです。
その時は、お団子をたくさん作って、お仏壇の前に小さなテーブルを祭壇にして供えました。そのお坊様が来てお経を上げて、
「何かを食べる時にはいつも『頂きます』食べ終わったら『ご馳走様』と口に出して言ってください。その感謝の念が餓鬼に届きます」「そう言わない食生活、ただ口に食べ物を運ぶだけの生活をしていると、物を食べていても餓鬼道に近づきます。
餓鬼道は私達のすぐそばにあるんですよ」とお話して帰りました。その夜のこと。

ふすま1枚隔てて祖父の仏壇の隣の部屋で、母と姉と女3人で寝ていた(父は仕事があるので夕食後に一人で帰りました)のですが、夜中におしっこがしたくなり起きてしまいました。祖母の家は当時まだ汲み取り式で、深い穴がちょっと怖かったのですが、別に3色の手が出てきてお尻をなぜるということもなく、無事におしっこをし終えて部屋に戻ったのです。私は当時確か小学校5年生でした。

部屋に戻ると、母と姉を起こさないようにそおっと布団の周りを回って、真ん中に敷いてあった自分の布団に潜り込もうとしましたが、祖母の家で飼っているキジトラの猫が布団の上に寝ていて布団に入れません。その子を抱っこして一緒に布団に入ろうとするとその子はフゥッ!とうなって、隣の仏間に走りこんでしまいました。
ああっ
そっちはお団子が飾ってあるから入っちゃダメだよ!と思って私も隣の部屋に四つんばいになったまま入りました。思えばなぜふすまが開いていたのか。

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潜むもの

572 ポコペン sage New! 2006/11/27(月) 17:20:29 ID:yiUB0udH0
オレの仕事が、住宅工事の現場監督だったころの話。
まだ、若造で現場監督といっても、新卒で名ばかりの監督だった。
現場の職人さんは丁度親爺くらいの年齢でとても面倒見がよかった。
そんなある日、台風かなんかでエライ雨風の強かった日、
まだ屋根が上がったばかりの現場で、心配だったオレは
事務所で工程表などの調整が終わり帰りがけにその現場に
寄っていくことにした。夜の9時くらいだったと思う。
その現場は、まだ分譲したてで、周囲には民家もなく、
他の住宅メーカーの建設途中の家がいくつかあるだけの場所で
街灯もその住宅集合地に1本薄明かりが立っているだけだった。
そんな中、建設途中の家の中に水漏れ等がないか懐中電灯で
点検している最中、雨と風の音に混じって家の中から
なにかゴソゴソ音がする。

「ホームレスかな?(怒)」と思ったら
隣にあった、仮の水道管からスプリンクラーのように
水がブシュ~ッ!プラス「アァァァァァ…」で声。
もうバカかと。アホかと。
ダッシュで外に飛び出して車の中でガクブル(((;゜д゜)))
数分後…本当にホームレスだったりしたら下っ端のため
会社の上司や職人にどやされるな…(実績はまったくないが
名目は現場監督なので現場の責任はオレにある)
勇気を出して再度突入!

つづく

573 ポコペン sage New! 2006/11/27(月) 17:21:34 ID:yiUB0udH0
今度は玄関じゃなく、勝手口からまわってやろうと思い、
雨が45度斜めに降る中、恐る恐る裏にまわる…
その時、床下換気口(家の基礎についてる通気用の小窓)
からヌゥっと手が出てきた。
情けないことにオレは腰が抜けて動けない
そのうちその手がどんどん出てきて、頭、胸、体…と貞子のように
這って出てくる…。正直「あぁオレの人生ここで終わりだ…」
って思って、もう覚悟してたのよ。
その影はゆっくりと立ち上がり「ヌアァァァァ」と声を上げた。
そのシルエットは鬼?みたいにガタイがよくて
頭はボッサボサで風にゆれて落武者見たくなってる。
オレは動けない体を、なんとか動かし必死に車まで帰ろうとした。
その影はゆっくりと俺に近づいてくる。
なんとか車へ逃げ込み急いでエンジンをかけようとしたら
ソイツが車の5m位前に立ってンの(((;゜д゜)))
突っ込め!と思いアクセルベタ踏みでソイツに向かって
突っ込んでいく。
ソイツはヒラッと身をかわしたんだが車のミラーあたりに
ぶつかり視界から消えた。(感触はあった)
なぜがやっつけた…って感じがしてしばらく放心状態だったが
「ホームレスだったらオレやばいな…」
とおもい外に出て確認しようとした。
ふと、車のノブに手を当てた瞬間、運転席の窓にソイツがバンッ
と張り付いてきた。
「ギャdfbギhdfcンvl」
声にならない声を叫びハンドルに頭をかかえてふさぎこむ。
深夜の工事現場に長々とクラクションの音が響いた。
次の瞬間、助手席のドアがひらいてソイツが乗り込んできた。
必死で車を降りようとしたがドアが開かない(運転席は施錠していたw)
あたまの中は「サヨウナラ、ミンナ サヨウナラ…」と繰り返していた。

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箪笥

425 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/02(土) 19:26:23 ID:MHU6YZnE0
物心がついたときからすでに気づいていた。
俺の両足はいつも傷だらけだ。
別に何かしてるってわけでも無い、只いつの間にか傷ができていた。
傷は時々多かったり少なかったりと、決して無くなった時は無い。
昔から今に至って。
そして、その傷の原因がなんなのかを知ったのは小学生の四年生
のくらいのときだった。

四年生の夏休み、暑さに弱い俺はほとんど家にいた。
扇風機とアイス、それだけで夏はほとんどが満たされていた。
そんな夏のある日の事、俺は何がきっかけだったか、
家の二階のある部屋に行こうとした。
昔からその部屋には行くなと言われていて、何が中にあるのか
すら知らない。
だが、そこは子供の探究心。知りたくなるのが普通の子供というものだろう。
俺は決して広くは無い家のたった一つだけ行った事の無い部屋まで
期待を胸に膨らませながら階段を上っていた。
階段を上ってすぐ左。
部屋はそこだ。
入る事なんて何時だって出来る。鍵なんてかかっていない。
それなのに出入り禁止とはどういうことだ。
入るなと言う方がおかしい。
俺は扉を開け、初めて中を見た。

426 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/02(土) 19:27:07 ID:MHU6YZnE0
机に、椅子。
そして、その奥にある鎖のかかった箪笥。
机の上にはなにも無く、窓からは夏の日差しが差し込んでいる。
何の変哲も無い部屋だ。暫く部屋の中を歩き回る。
埃の臭いが凄くする。使われていないことを部屋が訴えている。
しかし、箪笥だけが妙に気になった。
箪笥は大きく、どうやら天井と繋がっているみたいだ。
トっての前まで来ると、かかっている鎖をいじる。
何でかかっているのか。
子供心に何かを感じていた。
そうして、手を離した瞬間だった。
鎖が切れた。
唐突に、何の前触れも無く切れて、落ちた。
足元に衝撃がした。見ると鎖がある。
変な臭いがする。
臭い、鼻を突くような、酸味の濃い臭い。
そう、何かが腐ったような。
それは、この箪笥の向うからだと、直感的に理解した。
これを、開けようか。
無意識に手が動き、取っ手に触れた。
激痛が襲った。
尻餅をついて、痛みのする箇所を探す。
足だ。
しかし、尋常ではない。
血がかなりでている。元からあったたくさんの傷跡からだ。
初めて見る大量の血に、いつの間にか俺は気絶していた。

427 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/02(土) 19:27:56 ID:MHU6YZnE0
目を覚ますと、そこには家族全員が集まっていた。
誰よりも真っ先に気づいたのは婆ちゃんだった。
すると、婆ちゃんは部屋から皆が出るように言うと、皆は黙って
出て行った。
全員が不思議そうにしていたが、父だけが苦い顔をしていた。
部屋に二人だけになると、婆ちゃんは変な事を話し始めた。
婆ちゃんは、部屋に入った事には怒ってないとか、無事で何よりだ、とか
最初は俺が無事だったことについて話してた。
けど、急に話の雰囲気が変わった。
婆ちゃんは普段凄く優しくて、いつもニコニコしてる人なんだけど、
その時の顔は凄く険しくて、真剣そのものだった。
婆ちゃんが俺の脚の傷のことを話し始めた。
最近は傷の数はどうだいと聞かれた。。
婆ちゃんには、一度もその話をしたことが無かったが、毎日会ってるし、
見たこともあるだろうと思い、よく見て無いから分らないと答えた。
すると婆ちゃんに足を引っ張られ、何をするかと思うと
婆ちゃんはまじまじと見始めた。
しばらくして見終わると、こんな話をし始めた。