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占い・おまじない、呪い 洒落怖

呪いの実体

長くなると思う。

私は小学校を卒業して、私立の中学校に行くようになった。
私立といっても、金を払いさえすれば、いつもテストで赤点を取っていた私でも入れるような私立だった。
私の周りの親戚は皆頭が良くて、皆私立や名門学校に通っていた。
しかし私たち兄弟といったら皆絵に描いたような馬鹿で、親は親戚の集まりの時いつも嫌味を言われていた。
それに母がうんざりしたらしく、「お前、中学は私立に行きなさいよ」といわれた。お金は出すから、と言われたが、もちろん私は嫌だった。仲の良い友達と同じ中学校に行きたかったのに…。
うちはそれほど金持ちというわけでもないのに、なぜ無理して金を出してまで私立に言って見栄をはらなくちゃならないのか。
しかし反対は押し切れず、私はそのまま私立に入れられた。
周りはもちろん知らない奴しかいなくて、教師も皆感じ悪かった。
よく見て見れば、私以外の生徒もほとんど馬鹿そうな、金出して入った奴ばかりだった。
ガラの悪そうなのも何人かいて、私は本当にこんな学校来たくなかったと思った。
入学式の時、私のとなりに男子がいた。
しかし私はそれに気づかずに、その男子の足を踏んでしまった。
「いてぇっ!」と大げさに男子は声を出したんで、私は慌てて「ごめん」とあやまった。
しかし、私は元々声が小さいので、その男子には聞こえなかったらしく
「足踏んどいてあやまりもしねぇのかよ、ブス!」と言われた。
それからというもの、目を付けられてしまったらしく、毎日毎日、
私に嫌味を言ってくるようになった。「お前キモいよ」と私のところにわざわざ来て指差して言ったり、
私の机の上に置いてある物を床に落として踏んづけたり、
最初は我慢していたが次第に我慢できなくなり、私は放課後誰もいなくなった時そいつの教科書を破いたり、
上履きのヒモをぶち切ったり、陰湿な事をするようになっていた。

そしてある日、また、散々その男子にこびられた日にそいつの机を蹴り飛ばして倒した時のことだった。
引き出しから、その男子の写真が出てきた。カメラ目線で満面の笑みでピース。
私にはその姿が憎らしくて仕方無かった。しかし次の瞬間思いつく。
「呪いに、この写真を使ってやろう」そう思った。
前に一度、「あいつに呪いをかけてやろう」と思った事があった。しかしパソコンで呪いの事について調べて見ると、
「呪うのに必要なのはその呪いたい人間の体の一部か、その人間だけが映っている写真」と書いてあった。
体の一部は入手不可能だった。あいつは私が近づいただけで「キモい」だの「死ね」だの言ってくるんだから。
写真だって、入手する機会がない。呪い作戦は私の中で完璧にあきらめていたことだった。でもこの写真があればできる…。
私は喜んでその写真を持ち帰って、調べたとうりに呪いを実行した。
別に本当にあいつに呪いが掛けられるわけでなくても、行えるだけで私の気分はすっきりしていた。
そして呪いをかけても何にも起こらず、一週間ほどたった。

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予知・予言

天咲24年

これから話す内容はムラさん(仮名)から聞いた話。
その日、僕はムラさんの部屋で男二人飲んでいた。ムラさんの仕事はフリーの社会派ライター。
当時、部落や公園を回っては浮浪者からなぜ今の生活に落ち着いたのかなど過去を聞いて回り、
いずれ本にまとめて発表する予定だった。
「でもそんな簡単に浮浪者が話してくれるんスか?」と僕が聞くと、
「ウラワザがあるんだよ」とニッと笑って、部屋にある一升瓶にアゴをやった。
手土産として酒と簡単なツマミでも持っていくと、連中の口も軽くなるという寸法らしい。
そうしてムラさんが集めた体験談によると、昔は小さな町工場を経営していたという者、
田舎の農村から冬場の稼ぎのために上京しそのまま浮浪者になったという者など。
様々な過去話が聞けたそうだ。「面白い経歴の浮浪者はいなかったんスか?」
僕がそう尋ねると、ムラさんはちょっと考えたような顔つきになり、黙ってタバコを吹かす。
「使えない話ってのがあってな。明らかな大ボラとか、頭がおかしくなってる奴の話なんだが」
そこで言葉を切り、タバコを消すムラさん。「聞かせてくださいよ!」
妙にもったいぶるその仕草に僕は急かす。
「自分はテンショウ24年の未来から気たって男がいてな」
「ぷっ、未来人スか?バックトゥザフャーチャーじゃあるまいし、
どうやって未来から来たって言ってたんスか?
それにテンショウって、昭和の次の元号のつもりですかね?」
突然のトンデモ設定に僕も思わずニヤニヤしてしまう。
堅物のムラさんが語るにしては面白そうな話だ。
「まあ待て、あったあった、これだ。天咲(てんしょう)24年」
ムラさんが手帳を取り出し僕に元号の字を見せてくれた。

ここで突然僕の記憶は霞がかかったように途絶えている。

177 未来予知スレから転載 2/3 sage 2010/07/31(土) 22:25:29 ID:EHe8ix6E0
そして次の記憶は、手帳を見ながらムラさんが色々と
その浮浪者(姓名も恐らく聞いたはずだが思い出せない)について語っていた。
「こいつ(浮浪者)のいた時代の首相は、森ナニガシ(名前不肖)という歴代初の女の首相らしい」
「おー、女性首相、遂にきちゃいましたか!」僕が相槌を打つ。
「こいつは学校には通ってなかったらしい。コンピューターで特別な授業を受けて育ったそうな」
「という事は未来では学校が無いって事スかね?」
「メモには書いてないな。聞いたような、聞かなかったような。俺も冗談半分聞いてたからな」
ムラさんがメモをめくる。
「未来では大きなアーケード状の建物の中に車が走る道路や公園、店や団地が全部あるそうだ」
「屋外って概念が無いって事スか?核戦争で汚染されてるとか」
「いや、これは主に人が多い都心部だけで、地方ではそこまでは整備されてないらしいな」
ムラさんがまたメモをたどる。
「あったこれだ、こいつは15歳のある日、気が付いたらこの時代の代々木の辺りにいたらしい」
「そりゃまた随分と唐突なタイムスリップっスね」
「激しいパニックに陥ったところを警察に見つかり保護されたが、身元も分からない上に話は要領を得ない」
「隙を見て逃走した彼は、途方に暮れたまましばらくの間、隠れるように町の片隅で生活していたが、
○○公園(失念)の浮浪者の顔役に声を掛けられて、以来18年ずっとそこで暮らしてきたらしい」
「つー事はそいつは今33歳スか。まだ若いですね」
「戸籍が存在しないから働きようがない、と本人は言ってたが」
「未来人を騙る、働きたくない今時のグータラな若者ってやつですかねー」
こんな感じでムラさんの話は終わった。

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師匠シリーズ

夢の鍵を求めて

967 1/5 ウニ 2006/01/21(土) 11:43:38 ID:9bX5hJte0
大学2回生の夏休み。
オカルトマニアの先輩に
「面白いものがあるから、おいで」
といわれた。
師匠と仰ぐその人物にそんなことを言われたら行かざるを得ない。
ノコノコと家に向かった。
師匠の下宿はぼろいアパートの一階で、あいかわらず鍵をかけていないドアをノックして入ると、畳の上に座り込んでなにかをこねくり回している。
トイレットペーパーくらいの大きさの円筒形。
金属製の箱のようだ。表面に錆が浮いている。

「その箱が面白いんですか」
と聞くと、
「開けたら死ぬらしい」
この人はいっぺん死なないとわからないと思った。

「開けるんですか」
「開けたい。けど開かない」
見ると箱からは小さなボタンのようなでっぱりが全面に出ていて、円筒の上部には鍵穴のようなものもある。
「ボタンを正しい順序で押し込まないとダメらしい」
師匠はそう言って夢中で箱と格闘していた。

968 2/5 ウニ 2006/01/21(土) 11:44:08 ID:9bX5hJte0
「開けたら、どうして死ぬんですか」
「さあ」
「どこで手に入れたんですか」
「××市の骨董品屋」

「開けたいんですか」
「開けたい。けど開かない」
死ぬトコ見てみてェ。
俺はパズルの類は好きなので、やってみたかったが我慢した。

「ボタンは50個ある。何個連続で正しく押さないといけないのかわからないけど、音聞いてる限りだいぶ正解に近づいてる気がする」
「その鍵穴はなんですか」
「そこなんだよ」
師匠はため息をついた。

2重のロックになっていて、最終的には鍵がないと開かないらしい。
「ないんですか」
「いや。セットで手に入れたよ」
でも落とした。
と悲しそうに言う。
「どこに」
と聞くと
「部屋」
探せばいいでしょ。こんなクソ狭い部屋。

師匠は首を振った。

969 3/5 ウニ 2006/01/21(土) 11:44:51 ID:9bX5hJte0
「拾っちゃったんだよ」
「ハァ?」
意味がわからない。
「だから、ポケットに入れてたのを部屋のどっかに落としてさ。
 まあいいや、明日探そ、と寝たわけ。その夜、夢の中で玄関に落ちてるのを見つけてさ、拾ったの」
バカかこの人は。

「それで目が覚めて、正夢かもと思うわけ。で、玄関を探した
 けど、ない。あれー?と思って部屋中探したけど出てこない。
 困ってたら、その日の晩、夢見てたら出てきたのよ。
 ポケットの中から」
ちょっとゾクっとした。
なんだか方向性が怪しくなってきた。
「その次の朝、目が覚めてからポケットを探っても、もちろん鍵なんか入ってない。そこで思った。

 『夢の中で拾ってしまうんじゃなかった』」
やっぱこぇぇよこの人。
「それから、その鍵が僕の夢の中から出てきてくれない。
いつも夢のポケットの中に入ってる。夢の中で、鍵を机の引き出しにしまっておいて、目が覚めてから机の引き出しを開けてみたこともあるんだけど、やっぱり入ってない。どうしようもなくて、ちょっと困ってる」
信じられない話をしている。

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師匠シリーズ

顔

423 顔 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:07:12 ID:3rNkYIQb0
大学1回生の冬。
大学生になってからの1年弱、大学の先輩であり、オ
カルト道の師匠でもある人と様々な心霊スポットへ足
を踏み入れた俺だったが、さすがに寒くなってくると
出不精になってくる。
正月休みにめずらしく師匠が俺の下宿に遊びに来た。
とくにすることもないので、コタツにもぐりこんで俺
はゲームボーイを、師匠はテレビをぼーっと見ていた。
ふと、師匠が「あれ?」
と言うので顔を向けると、テレビにはダイバーによる
どこかの海の海底探査の様子が映っていた。
「この石像って、あ、消えた」
すぐに画面が切り替わったが、一瞬だけ見えた。
地中海のエジプト沖で、海底にヘレニズム期の遺跡が
発見されたと、アナウンサーが報じていた。
海底に沈んだ石造りの古代の建造物が、ダイバーの水中
カメラに映し出されている。
その映像の中に、崩れた石柱の下敷きになっている石像
の姿があったのだ。
なにかの神様だろうそれは、泥の舞う海の底で苦悶の表
情としか思えない顔をしていた。

424 顔 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:07:58 ID:3rNkYIQb0
最初からそんな表情の石像だったとは思えない、不気味
な迫力があった。
何ごともなく、番組は次のニュースへ移る。
「こんなことって、あるんですかね」
と言う俺に、師匠は難しい顔をして話しはじめた。
「廃仏毀釈って知ってる?」
師匠の専攻は仏教美術だ。日本で似たような例を知って
いるという。
江戸から明治に入り、神仏習合の時代から仏教にとって
は受難といえる神道一党の時代へ変化した時があった。
多くの寺院が打ち壊され、仏具や仏像が焼かれ、また神
社でも仏教色の強かったところでは、多くの仏像が収め
られていたが、それらもほとんどが処分された。
「中でも密教に対する弾圧は凄まじかった」
吉野の金峰山寺は破壊され、周辺の寺院も次々と襲われ
たが、その寺の一つで不思議なことがあったという。

426 顔 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:08:58 ID:3rNkYIQb0
僧侶が神官の一党に襲われ、不動明王など密教系の仏像
はすべて寺の庭に埋められて、のちに廃寺とされた。
弾圧の熱が収まりはじめたころ、貴重な仏像が坑された
という話を聞きつけて、近隣の山師的な男がそれを掘り
起こそうとした。
ところが土の中から出てきた仏像は、すべて憤怒の顔を
していたという。
元から憤怒の表情の不動明王はともかく、柔和なはずの
他の仏像までもことごとく、地獄の鬼もかほどではない
という凄まじい顔になっていたそうだ。
その怒りに畏れた男は、掘り出した仏像に火をかけた。
木製の仏像は6日間(!)ものあいだ燃え続け、その間
「おーんおーん」という唸り声のような音を放ち続けた
という。
あまりに凄い話に俺は、気がつくと正座していた。

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師匠シリーズ

坂

456 坂 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:46:17 ID:3rNkYIQb0
大学1回生の夏。
『四次元坂』という地元ではわりと有名な心霊スポットに挑んだ。
曰く、夜にその坂でギアをニュートラルに入れると車が坂道を登っ
て行くというのだ。
その噂を聞いて僕は俄然興奮した。
いたのやら、いなかったのやら分からないようなお化けスポットと
は違う。車が動くというのだから、なんだか凄いことのような気が
するのだ。
とはいえ一人では怖いので、二人の先輩を誘った。

夜の1時。
僕は人影のない最寄の駅の前でぼーっと立っていた。
隣には僕が師匠と仰ぐオカルトマニアの変人。やはりぼーっと立っ
ている。
いつもなら僕がそんな話を持って行くと、即断即決で「じゃあ行こ
う」ということになる人なのだが、その時は肝心の車がなかった。
師匠の愛車のボロ軽四は原因不明の煙が出たとかで、修理に出して
いたのだった。
僕は免許さえ持っていない。
そこで車を出せる人をもう一人誘ったのだが、ある意味で四次元坂
よりも楽しみな部分がそこにあった。

457 坂 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:47:07 ID:3rNkYIQb0
闇を裂いてブルーのインプレッサが駅前に止まる。
颯爽と降りてきた人はこちらに手を振りかけて、すぐに降ろした。
「なんでこいつがいるんだ」
京介さんという、僕のオカルト系のネット仲間だ。
「こっちの台詞だ」
師匠がやりかえして、すぐに険悪な空気に包まれる。
まあまあ、と取り成す僕に師匠が「どうしてお前はいつも、俺とこ
いつが一緒になるように仕向けるんだ」というようなことを言った。
面白いからですよ。
とはなかなか言えないので、かわりに、まあまあ、と言った。

師匠と京介さんは仲が悪い。強烈に悪い。
それは初対面のときに、京介さんが師匠に向かって、
「なんだこのインチキ野郎は」
と言ったことに端を発する。
お互い、多少系統は違えどオカルトフリークとしては人後に落ちない
自負があるらしい。
いわば磁石のS極とS極だ。反発するのは仕方のないことかも知れない。

458 坂 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:48:19 ID:3rNkYIQb0
「まあまあ、四次元坂の途中には同じくらいの激ヤバスポットもあ
 りますし、とりあえず楽しんで行きましょう」
なんとか二人をなだめすかして車に押し込める。
当然師匠は後部座席で、僕は助手席だった。
「狭い」
師匠の一言に京介さんが、黙れと言う。
「くさい」
と言ったときは、車を停めてあわや乱闘というところまで行った。
やっぱりセットで呼んでよかった。最高だ。この二人は。
そんな気分をぶっこわすようなものがいきなり視界に入ってきた。
対向車もいない真夜中の山中で、川沿いの道路の端に巨大な地蔵が浮か
び上がったのだった。
比較物のない夜のためか、異常に大きく見える。体感で5メートル。
「あれが見返り地蔵ですよ」
車で通り過ぎてから振り返ると、側面のはずの地蔵がこっちを向いてい
て、それと目が合うと必ず事故に遭うという曰くがある。
二人が喜びそうな話だ。
喜びそうな話なのに、二人とも何もいわず、振り返りもしなかった。
ゾクゾクする。
怖さのような、嬉しさのような、不思議な笑いがこみ上げてきた。
振り返れないから、僕のイメージの中でだけ道端の地蔵は遠ざかり、
曲がりくねる闇の中に消えていった。
もちろんそのイメージの中では、こちらを向いていた。無表情に。

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師匠シリーズ

四隅

770 名前: 四隅 2006/08/28(月) 20:24:24 ID:9j0TgqFm0

大学1回生の初秋。
オカルト系のネット仲間と「合宿」と銘打ってオフ会を開いた。
山間のキャンプ地で、「出る」という噂のロッジに泊まることにしたのである。
オフ会は普段からよくあったのだが、泊まりとなると女性が多いこともあり、あまり変なメンバーを入れたくなかったので、ごく内輪の中心メンバーのみでの合宿となった。
参加者はリーダー格のCoCoさん、京介さん、みかっちさんの女性陣に、俺を含めた計4人。
言ってしまえば荷物持ち&力仕事専用の俺なわけだが、呼ばれたことは素直に嬉しかった。
日程は1泊2日。レンタカーを借りて乗り込んだのだが、シーズンを外したおかげでキャンプ地はわりに空いていて、うまい空気吸い放題、ノラ猫なで放題、やりたい放題だったはずだが、みかっちさんが「かくれんぼをしよう」と言い出して始めたはいいものの、CoCoさんが全然見つからずそのまま日が暮れた。
夕飯時になったので放っておいてカレーを作り始めたらどこからともなく出てきたのだが、俺はますますCoCoさんがわからなくなった。
ちなみに俺以外は全員20代のはずだったが・・・・・・

771 名前: 四隅 2006/08/28(月) 20:25:05 ID:9j0TgqFm0

その夜のことである。
「出る」と噂のロッジも酒が入るとただの宴の会場となった。
カレーを食べ終わったあたりから急に天気が崩れ、思いもかけず強い雨に閉じ込められてしまい、夜のロッジは小さな照明が揺れる中、ゴーゴーという不気味な風雨の音に包まれている、という素晴らしいオカルト的環境であったにも関わらず、酒の魔力はそれを上回っていた。
さんざん芸をやらされ疲れ果てた俺が壁際にへたり込んだ時、前触れもなく照明が消えた。
やたらゲラゲラ笑っていたみかっちさんも口を閉じ、一瞬沈黙がロッジに降りた。
停電だぁ、と誰かが呟いてまた黙る。屋根を叩く雨と風の音が大きくなった。
照明の消えた室内は真っ暗になり、ヘタレの俺は急に怖くなった。
「これは、アレ、やるしかないだろう」
と京介さんの声が聞こえた。
「アレって、なんですか」
「大学の山岳部の4人が遭難して山小屋で一晩をすごす話。かな」CoCoさんが答えた。
暗闇のなか体を温め、眠気をさますために4人の学生が部屋の四隅にそれぞれ立ち、時計回りに最初の一人が壁際を歩き始める。次の隅の人に触ると、触られた人が次の隅へ歩いていってそこの人に触る。これを一晩中繰り返して山小屋の中をぐるぐる歩き続けたというのだが、実は4人目が隅へ進むとそこには誰もいないはずなのでそこで止まってしまうはずなのだ。いるはずのない5人目が、そこにいない限り・・・・・・

772 名前: 四隅 2006/08/28(月) 20:25:38 ID:9j0TgqFm0