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洒落怖

呪いの人形

俺は呪いをかけられた事がある。
忌々しいBに遭遇するかなり前の事だ。
呪いと言っても不発に終わった(というか失敗した)のだが、Aも出てくる話なので、書いてみる。

諸々の事情により、働きながら学校に通う二十歳過ぎの高校生なんてものをやっていた頃の話。
学校が夏休みになり、俺は職場、自宅、Aの家、心霊スポット、行き着けの食堂を巡る生活をしていた。
俺には霊感の強い知り合いが何人かおり、Aというのはその内の一人で、今でもよく遊ぶ友人だ。

その日仕事を終えた俺は、Aの家に向かった。
Aの家は元は下宿寮だったとかいう古いアパートで、妙な怪談も有る曰く付きの物件だった。
(実際には何も存在しないが)
Aはベースで何かの曲を弾いていた。確かプリティ・ウーマンだったと思う。
「お前、呪われてるぞ」
その言葉は確りと覚えている。唐突にベースを弾くのを止めていきなり言われたんだ。
ニヤニヤ笑いのAに、俺はむっとして言った。
「呪われてねえよ」
俺は憑かれたりすると自分でわかる性質で、その特は特にそんな感じがしなかった。
「いいや呪われている」
Aがからかっていると思って、俺尚更ムカついてきた。
「見えんのかよ」
「いや、」
Aは携帯を開く。待ち受けを開いて、俺に言った。
「証拠が有る」
俺の名前が書いてあった。人の形に切り抜かれた紙に。その真ん中には、釘。
「な、呪われてるだろ」
ぐうの音も出ない。

532 自治スレでローカルルール他を議論中 sage New! 2010/10/16(土) 03:37:15 ID:8Rm6kYGVO
経緯はこうだ。
日課にしている散歩(というかなんというか)をしていたAは、明け方近くに近所の神社に立ち寄った。
そこは本当に神社なのかと疑問に思うような小さなところで、御神体だか何だかを収めた小さな社と、
腕に抱えられるくらいの小さな賽銭箱と、古い鳥居しかないようなところだった。
もしかしたら、神社じゃないのかもしれない。
その日は特に何も無かったため、Aは何か無いかと普段は行かないそこに向かったらしい。
松の木に囲まれたそこに入ったAは落胆した。何も無い。
もう帰ろうかとも思ったが、近くのコンビニから買ったビールを飲むことにしたそうだ。
家で飲むよりはマシかと思って飲んでる内にに夜が明けてきた。ビールも無くなり、さあ帰ろうかという所で
「見付けた」
とのこと。
その粗末な紙人形を写メに収め、映りが良いものを待ち受けにしてAは上機嫌で帰宅。
そして俺がやってきた朝に至る。

Aが写した紙人形は、正直に言って不出来だった。
人の形に切り抜かれた人形にはうっすらと青の罫線が引いてあり、
大学ノートから切り抜いた物であることが分かる。
その罫線に添って、つまりノートに書くのと同じような感覚で俺の名前が書いてある。
シャーペンで書かれた弱々しい字。ふざけた子供が呪いの人形を作ろうとして失敗したような出来だ。
「こんなので丑の刻参りが成功すると思うか」
「しないだろうな」
人形はあまりにも簡単に作られている。呪われたという実感は無い。憑かれたという感覚は無い。
儀式は失敗している。
「で、どうする」
「付き合えよ」
だが、自分が誰かから呪われるというのは気分が悪い。俺たちは丑の刻参りの犯人を見つけることにした。

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