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洒落怖

悪友

483 悪友1 sage 2009/06/16(火) 15:58:00 ID:KeXnxx6w0
蝉の鳴き声がする
身を焦がす強い日差しに、夏の匂い

その日俺は時間がないのに二度寝という、学生だからこそできる
最高の贅沢を貪っていた
昨日、不良仲間達が他校のやつらにやられ、仕返しに行って逆にボコボコにされて
帰ってきた時の腫れが痛い
だが本当に痛いのはプライドの方だった
仇を取るなんて大見得を張った手前、学校に行きづらい
1対多数だったなんて言い訳はしない
俺は負けたのだ
格下だと思っていた、馬鹿にしていた高校に「負けた」のだ

俺のプライド、俺を支えていた一本の支え木が見事に折られた
金属バットや角材で殴られるのはもう慣れている
前歯は入れ歯だが、プライドだけは守ってきた

一筋の涙が頬を伝う音がする

487 悪友2 sage 2009/06/16(火) 16:09:12 ID:KeXnxx6w0
一人暮らしの家のチャイムが鳴る
鳴るというか鳴り響く

出てみると悪友が馴れない笑顔を見せ、そこに立っていた
よくみると素足で、肩で息をしている
何事かと思い、家に招いたがなにか妙だ
2人しかいないのに3人、いや、もっと多い気配だ
それも喧嘩の最中、生死を賭けた本気の戦いをしているような殺気だった気配
悪友の、こいつの狙いはなんだ?俺を外に誘い出して仲間と闇討ちでもかけるつもりか?
そんな事を考えているとふと、悪友の持っている物が見えた
人形?なぜこいつが人形なんか大事そうに抱えてるんだ?

俺は殺気立ってる気配に聞かれないように耳元で呟いた

「おまえ、人形なんか抱えてなにしてんだよ」

491 悪友3 sage 2009/06/16(火) 16:25:19 ID:KeXnxx6w0
その時、見る見る悪友の顔が変わる
その目は、その顔は、どんなに強敵でも、どんなに怖い奴でも喜び勇んで飛び込んで
殴るわ蹴るわを繰り返してた奴の顔じゃない
明らかに何かに恐怖している
張り詰めた空気が流れるが事情を知らない俺はただ、その変化を見守る事しかできなかった

瞬間、悪友がその唯一の手荷物の人形を投げ捨て、雄たけびを揚げ
走り去って行った
いや、この場合は逃げる、が正しいだろうか
「おまえ、この人形どうするんだよ!!」と叫んだが悪友はそれでも走っていった

悪友が去った後、部屋に残る俺と人形と複数の殺気立った気配
悪友がおかしくなったのはこの人形について尋ねた瞬間からだった
俺は人形を広いあげ、ソレを見つめる
人形と目が合う
「こんな普通の人形になにをそんなに・・」

ギ・・ギ・・

494 悪友4 sage 2009/06/16(火) 16:39:41 ID:KeXnxx6w0
全身の毛が逆立つ
本能がソレを手に持つ事を拒む
明らかに「ソレ」は表情を変えた
白い能面的な顔だったが明らかに「ソレ」は俺に敵意を持った
今にも動き出して俺をどうにかしようという意思をはっきりと汲み取った

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人形にまつわる話

人形

473 人形1 sage 2009/06/16(火) 14:54:13 ID:KeXnxx6w0
みんなこれだけは絶対に苦手or怖い物ってあるよな
それは人それぞれだろうけど俺の場合は「人形」なんだ

高校の頃、少し荒れてた学生生活を送っていた俺はいつものように
カバンに鉄板を詰めて昼休み登校しようとしていた
家は裕福な家庭で、世間体もよく、そこが俺が荒れる原因でもあったのだが
コレは関係ないので省きます
実はそのとき、妙に生暖かい空気を感じていたんだが、
気にもせず玄関へ向って階段を下りたんだ

蝉が鳴いているはずの外、外の工事などの雑音、近所の暇なおばさん達
いつも聞こえるはずの雑音が一切聞こえない
音という感覚が一切遮断されたかのような静かで大きな玄関

そこで俺はその「人形」と目が合った

475 人形2 sage 2009/06/16(火) 15:06:58 ID:KeXnxx6w0
大きな玄関の真ん中に、小ぶりで着物を着た表情のない日本人形
あるはずのない「ソレ」は静かに、ただ静かに俺を見ている
なぜかわからないが「ソレ」を俺の全神経が拒絶した
脳で考えるよりはやく体が動いたんだ
1階にある部屋の一室に飛び込み、窓ガラスを叩き割り
裸足で全力で走った、いや逃げた
とにかく逃げた、不良で喧嘩に明け暮れていた男が涙を流しながらただ逃げた

その日、俺は恐怖で家には帰れなかった
悪友の家に転がり込み、そんな事を相談すればハブられると思い
打ち明けられずにいた俺に悪友はぼそりと耳元で呟いた

「おまえ、人形なんか抱えてなにしてんだよ」

476 人形3 sage 2009/06/16(火) 15:14:17 ID:KeXnxx6w0
全身から汗が吹き出る、奥歯がカチカチ鳴る音が聞こえる
今まで気がつかなかったが確かに俺はなにかを抱えてる
待てよ、俺は鉄板入りのカバンを家から持ってきたはずだ
なら俺が抱えてるのはカバンだろ?

目が「ソレ」を見るのを拒む
緊張感で目が震える
見たいけど「ソレ」を見たら戻れなくなりそうで怖い
涙は恐怖で出てこない

そんな長い長い一瞬の出来事の間に目の前に全身鏡があったのを思い出した
見る気が無いのに見えてしまった

俺が抱えているのは間違いなく、「人形」だった
それも今朝、俺が見た「人形」

477 人形4 sage 2009/06/16(火) 15:24:22 ID:KeXnxx6w0
瞬間、悲鳴なのか雄たけびなのかよくわからない声を揚げる
無我夢中で「ソレ」を放り出し、また逃げる
友人がなにか言っていたようだが俺の耳にはもう届かない
頭の中はパニックと、「アレ」といままで一緒に居た事実の恐怖とでなにがなんだかわからない

家に帰り、祖母に泣きつく
文字通り泣きついた
顔中涙まみれにして、奇声を上げ、突っ張っていた男が泣きつく

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武勇伝

294 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/27(水) 14:40:38 ID:LXxnOGtu0
父方の田舎にあるお寺の話

そのお寺に大きな蔵があって、年に一度、村の檀家衆が集まって蔵の中の掃除と中にある物を虫干しする日がある
ただ、その蔵には二階があるんだけど、そこだけは何故か立ち入り禁止になっていた
消防の頃に疑問に思って親に聞いても「二階は使ってないから」とかいう答えが返ってくるだけだった

でもって、入っちゃいけないと言われたら入りたくなるのが消防の悪ガキの常というか、今まで誰も入ったことのない場所に入るという前人未到の武勇伝を成し遂げる! っていうガキの浅はかなノリで俺と友人たちで侵入を試みることにしたわけだ
決行日は年に一度の蔵掃除の日の正午、大人たちが昼飯を食べに家に帰って蔵に誰もいなくなる空白の時間
俺たちはその僅かの時間を狙って綿密なプランを立てたわけだ

そして、決行日当日
俺らは早めの昼食を済ませてお寺の裏山に集合した
リュックには懐中電灯とスナック菓子、水筒にお茶も忘れない
Bのやつは駄菓子屋で買った忍者刀セットとか持ってきてやがる
まぁ、俺はトウガラシ水を入れた水鉄砲を持っていったわけだが

そして、正午になり親たちが蔵から引き上げたのを確認して蔵に忍び寄る俺たち
和尚がこの時間は本堂で読経するのが日課なのはすでに調査済みだ

297 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/27(水) 14:53:34 ID:LXxnOGtu0
窓からの日が差しているとはいえ、薄暗い蔵の中を慎重に進む俺たち一行
二階への階段は蔵の奥の右手にあるのは去年の掃除のときに手伝いと言って入って調べ済みだ

窓からの明かりもろくに届かない奥まった場所にその階段はあった
階段の下から二階を見上げてみるも、真っ暗で何があるのかはわからなかった
俺たちはリュックの中から各自で用意しておいた懐中電灯を取り出す
これからが本番だ

一番先にリュックから懐中電灯を取り出したCが二階を照らしてみたが、子どもの小遣いで買える安物の懐中電灯の明かり程度では下から照らしたくらいではあまり意味がなかった
全員の準備が整ったところでいざ、という段階で、問題が発生した
誰も自分が先頭になって行こうとはしなかったのである
蔵に突入前までは皆が「俺が一番乗りな!」とか言っておいて、意気地のないやつらめ
多分、俺も含めて全員がそう思っていたはずだw

しかし、ここで留まっていては何も始まらないし、早くしないと昼飯に行った親たちが帰ってくる
そこで俺たちは忍者刀(の玩具)を持ったBを半ば無理やり先頭に立てて二階への階段を上っていった

309 294-297の続き sage New! 2009/05/27(水) 18:13:40 ID:sH38iju70
二階に上がると薄暗い中に日本人形とか雛人形とか鎧兜とかが置いてあった
はっきり言って一階と代わり映えしない物置状態
1階と違うのは置いてある品物が手入れもされずに埃まみれになっているところだった

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一致

347 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/27(水) 23:50:05 ID:PZVZtEQm0
どこに書き込んでいいかわからないけど、気持ち悪いからオカ板に書く。

化粧板に
「若い頃の自分の痛いファッションを白状して楽になろうぜw」
というような趣旨のスレがある。

数年前、そこに自分の厨房~大学時代のイタかった話を書き込んだ。
詳しくは略すが、
【大学時代に外国人ミュージシャンMに憧れてものすごいパーマをかけた】
という内容が含まれていた。

自分の過去は書いてスッキリしたので、それ以降は読んでいなかったが
久々にスレを開き、まとめサイトや過去ログ倉庫が作られているのを見て、
また笑かしてもらおうと過去ログを1から読んでいった。

過去ログの6スレ目に自分の書き込みはあった。
そのまま読み進めていくと、9スレ目におかしな書き込みがあった。

「久々にここに来た。まだ書いていない事があったから書く。
 私は6スレ目でMに憧れていたと書いた者です。」

348 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/27(水) 23:51:03 ID:PZVZtEQm0

ここで解説しておくと、
それまで読んでいたログの中に、Mの名前は私の書き込み以外に登場していない。
【Mに憧れて格好を真似た】というのも女性としてはかなり稀なケース。
(だからこそイタい過去なんだけど)
思い違いか、間違えたのかな?と思って読んでいくと、おかしな事に気付く。

書き込みの主は異様にテンション高めの文章で
「そのMの音楽ジャンルにハマる前、
自分は色々なサイズのキューピーをコレクションしていて、
いつも連れ歩いていた為、友人達もかなりヒイていた」
事を延々綴っていた。

私は、現在ではコレクションの大部分を処分してしまったが
そのMに傾倒する以前から、キューピー人形を集めていた。
お気に入りを持ち歩いて友人にどん引きされた事もあった。

慌ててそこまでのログを全部さらい直し、
【M】に関する思いつく限りのワードを検索した。
結果、自分のレスしか出てきませんでした。
気持ち悪い。

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大騒ぎ

445 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/28(木) 23:03:37 ID:TOV4WpKD0
もう何年も前だけど、ウチは古い住宅地にあるんだけど
夜の11時くらいにウチがある区画を救急車がサイレン鳴らしながら一時間くらい
グルグル回り始めた。
近所の人皆出てきて「うっせーぞ!」みたいになったんだけど、救急車は止まることなく、あっちに入りこっちに入りしながら路地裏を走り回ってた。

そしたら裏の筋で近所のじいさん婆さんや子供らが「火の玉だ!!」ってギャーギャー騒ぎ始めた。
えっ!?て思ってなんか怖くなったとこに、裏口から母親が戻って来て「あんた、おばけやで!!おばけーー!」って騒ぎ始め、布団の上に突っ伏した。
俺も騒ぎと母親の言動に怖くなって、そのまま座ってたんだが、裏の婆さんが「死人が迷うー!」って道ばたで大声で泣き出した。その直後、一筋離れたとこにある火の見櫓(っていうにか?鉄の梯子みたいなやつ)の鐘がガンガン鳴らされた。

次の日、あの後ウチの近所で救急車が壁に突っ込んで大破したっていうのをニュースで見た。
(関西の人なら聞いたことあるかも?)

それから何ヶ月か、ウチの通りのいたるところに日本人形の着物の合わせのとこに手紙みたいなのを挟んだ奴を
近所のお婆さんたちが置き始めて怖かった。
母親が子供の時にもあったらしいけど、おばけを見たっていう点については
「知らん知らん、お母さんそんな事言ってない!」とシラを通してるな

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車掌の警告

21 お人形の話 sage New! 2009/05/10(日) 15:41:44 ID:pidysoFG0
列車は順調に走っていた。今夜は満月である。車窓では月明かりが沿線に広がる湖を浮かび上がらせている。
夕餉時となり、私たちの車両にも売り子が巡回してきた。
当地名物の和邇の鴫焼き弁当と暖かい茶の入った土瓶を買い求める。
友人が持参した乾し肉を取り出すと、猫は「ピャーン」と珍妙な歓声をあげた。
飲み水は茶売りが分けてくれた湯冷ましをめんぱの蓋に入れて与える。
私たちも弁当の蓋を取り、いただきますをしようとして違和感に気づく。
確か、弁当は2つ買った筈。然し、実際には3つ分の代金を払い3つ受け取っていたのだった。
茶の土瓶についてきた湯飲みも何故か3つある。

あまり一つの弁当は、蓋を取らずに私の籠の傍らの窓枠に置いた。湯呑にお茶を注ぎ、そこに添える。
いただきますをいうと、私たちは黙して食べ始めた。
後ほど売り子が、空の弁当と土瓶を回収にきたので器を取りまとめた。
窓辺に置いた湯呑は空になっており、そばの弁当の蓋を取ってみると、綺麗に残さず食べ終えてあった。
列車は湖に別れを告げ、残雪残る山々へと向かっている。車内の気温も下がってきた。
午後9時をまわり車内の照明が少し落とされ、人数分の毛布が配られた。
車掌見習いの男の子が、私たちの席にも毛布を4枚置いていった。
猫と籠に毛布をかけてやり、各々も包まっていると、今度は箱席ごとにカンテラが配られた。
車内に、車掌のアナウンスが流れた。
「毎度ご乗車頂き、真にありがとうございます。列車は定刻どおり、午前零時に乱杭峠を通過致します…
通過の際に、車内の照明を一旦停止致します。
窓は必ず施錠頂き、お客様お手元のカンテラの火は絶対にお消しになりませんようお願い致します。
終点T町への到着予定時刻は午前7時07分でございます…それでは、おやすみなさいませ。よい夢を」

22 お人形の話 sage New! 2009/05/10(日) 15:43:27 ID:pidysoFG0
就寝前のトイレから戻ってくると、さっきの子どもが私に柊の小枝を差し出した。
「おじいちゃんから」祖父から貰った物を私にも分けてくれる、ということらしい。
私はお礼をいって、子どもがしているのを真似て、窓枠に枝を差し込んだ。
友人は私の毛布、猫の毛布、彼の毛布の端を其々結び合わせた。
彼は連日の疲れもあったのか、それからすぐに寝息を立てはじめた。猫は相変わらずその膝を枕にして丸まっている。
カンテラの火から、窓に映る車内に視線を移すと、友人の隣の猫が2匹になっていた。

いつの間にか寝てしまっていたらしい。何かの声で目が覚める。
目を開けるが、そこは深淵の闇だ。しまった。灯火が消えてしまったようだ。
辺りを見回すと猫の目だけが光っている。猫は友人の膝の上に乗っているようだ。啼いているのは猫ではない。
通路の反対側の席や他の席のカンデラの明かりも全く無い。窓の方向から「ガチャガチャ」と聞こえる。
誰かが窓を開けようとしている…列車の外側から。「ビャウビャウ」また聞こえた。苛立ったような声だ。
「フォォォォォウォォォォォォ」これは猫だ。かけていた毛布がグイグイと引っ張られる。
咄嗟に今は空いている猫が座っていた席へ移動した。私が掛けると猫の足がストンと膝の上に着地した。
目を開いていてもなにも見えない。私は目を閉じてみた。私たちと向かい合わせの席、窓辺に誰かが居た。
誰か、が窓に向かい、深呼吸をするような動作をすると、窓ガラスから動物のようなものが染み出てきた。
沸いて出たそれらは、次々と誰かの口の中に吸い込まれてしまった。
助けを呼ぼうと叫びかけたところ、プニ、と肉球が私の口に押し付けられた。鼻息も感じる。
プニプニプニ フンカフンカフンカ クルルルルルルクルルルルルルルクルルルルルル
私はそのまま眠ってしまった。